尾崎世界観の「孤独」と「飢え」を暴くセルフポートレイト&インタヴュー
尾崎世界観とはどんな表現者か。一言でいえば、彼の表現の原動力となっているのは拭えない「孤独」と「飢え」である。満たされたと思っても次の瞬間には新たな空洞がぽっかりと空く、その空洞を埋めるためにまた音楽を作る――そうやって尾崎はクリープハイプを動かし、ここまで歩んできた。そんな尾崎世界観の本質をえぐる『BRIDGE』80号(4月21日発売)から、発売に先駆けて、尾崎の言葉をお届けする。そしてここに掲載した写真は、すべて尾崎自身がシャッターを切った初のセルフポートレイトである。
作ってるものが音楽として成立してるかどうかがわからなかったです、ずっと。人が聴いてくれて、いいと思ってもらえないと意味がないと――まあ今も思ってるんですけど。音楽ってCDにしない限り形にならないからすごい不安で。ずっとCD出したかったんですよね。とにかくCDにして形に残したいっていう気持ちがすごい強かった
人と一緒にやっていくことに対してうまくできないんですよね。なんでこうなるのかなっていつも思ってました。子供の頃からそうでしたねえ。人を疑うというか人の考えてることを気にしすぎるというか。友達に対してもずっとそんなこと思ってました。「遊ぼう」って電話かかってきても、俺は3番目ぐらいなんじゃないかとか。そういう癖がありました
ここまで時間をつぎ込んできたのに、誰かにこの椅子を横取りされたら悔しいっていう。パチンコしてて――僕したことないですけど、こんだけお金を遣ったのに、その台から離れたとたん誰かにものすごい大当たりが出たら悔しいじゃないですか。そういう気持ちでした
バンドやってても音楽シーンに居場所がないなってずっと思ってて。で、CD出したら出したでCD屋に居場所がないなと思って。「クリープパイプ」って書かれた、間違った名前の札が1枚刺さってるだけで、CDが1枚置いてあって。そもそも名前間違ってるし1枚しかないし……
ずっと予想は、妄想はしてたんですよね、スタジオに行く時の電車の中とかで、こういう会場で満員の中で歌うとか、こういう雑誌に載ったりとか、急にこういう売れ方をするとか、妄想して。チケットが5秒ぐらいで売り切れるはずなんだけど1ヶ月ぐらいかかってるなあっていう、そのズレを考えたりしてましたね
(メジャー1stアルバムは)『おぼっちゃまくん』のあの、後ろだけ着てない人いるじゃないですか? 前だけスーツ着てんだけど後ろは裸みたいな、そういう滑稽な部分。そういう気持ちのアルバムですね。なんか半分裸で半分すごい正装してるというか
ずっと同じことやっぱりやってるし、その時にいいと思ったものを同じ作り方で作ってて。本来なら同じことをずっとやってて、周りがいろいろ変わっても、それでもういいよって思えばいいんですけど、でもやっぱりそうは思えないんですよね、悔しい。1回手にしたものがなくなってくっていうのは許せなくて
今は満たされてしまってるとは思うんですよね、昔に比べたら。それを満たされてないですって言うのは嘘だと思うので、ちゃんとでもその満たされてることに飢えていけたらいいなとは思います
続きは2015年4月21日(火)発売のBRIDGE 80号で!
- BRIDGE 80号
個別撮り下ろしインタヴューでバンドを徹底解剖!
- ゲスの極み乙女。全員逮捕!? 初のメンバー個別撮り下ろし&インタヴューで、シーンを席巻するバンドのすべてを徹底解剖! 全58ページに及ぶ大特集
- ●雑誌コード:02474-06
- ●発売日:2015-04-21
- ●定価:639円 + 税