曲提供、そしてライヴでの共演も実現!
さらに深まるふたりの絆に迫る

ニコニコ動画を主戦場に活躍し、2015年4月1日、アルバム『Contrast』でCDデビューを飾った歌い手、まじ娘と、ストレイテナーのフロントマンとしてバンドを牽引し、メジャーデビューから10年以上第一線を張り続けているバンドマン、ホリエアツシ。高校時代にストレイテナーのコピーをしていたというまじ娘の熱烈なオファーに応える形で、ホリエがアルバムに”アマデウス”という楽曲を提供したのが両者の出会いだった。それをきっかけにして、6月13日に東京キネマ倶楽部で行われたまじ娘のワンマンライヴにはホリエがゲスト出演。そこでは”アマデウス”に加えもうひとつ、ホリエが提供した楽曲である”彗星のパレード”も披露された。なぜまじ娘とホリエのコラボレーションはこんなにも深く、熱いものになったのか。ふたりの対談でその真相を暴く!

司会:小川智宏 撮影:石井彩子

曲(“アマデウス”)作った時も相当自信があったんですけど、実際演奏して「かっこいいな」と思って。取り戻したいなって感じ(笑)(ホリエ)

返しませんよ! 絶対返しませんからね!(笑)(まじ娘)

――初めてのワンマンライヴ、どうでしたか?

まじ娘 あっという間に終わってしまって、感無量です(笑)。夢に見たワンマンだったので。しかもホリエさんとみきとP、憧れの人ふたりと立てて、嬉しかったです。

ホリエ ありがとうございます。

――ホリエさんがああいう形で人のライヴに出るのってあんまりないですよね。

ホリエ そうですね、初ぐらいの感じですね。

まじ娘 うわー! 嬉しい! ありがたい。一緒にハモってくれてたりもして、すごい光栄でした。「まさか学生時代にコピーしてた人が私の歌のハモを歌っている!」っていう熱いものが、胸熱的な感情に打ちひしがれてました。

――(笑)右向きゃホリエアツシ、左向きゃみきとPで。

まじ娘 もう「両手に花」みたいな(笑)。

――スタジオでは既にホリエさんと一緒にやっていて。それでいざライヴでやるっていうのはどうでしたか?

まじ娘 歌う前は、「どういうふうにしてこうかな」って思っていたんですけど、いざバンドで合わせてみた時にすっごい楽しい曲になって。アレンジでみきとさんが四つ打ちにしたんですけど、それがライヴ向けな感じで、「ジャンプしやすい感じになったかな」って思いました。なので、本番とか私あんなにテンション上がることって滅多にないんですけど、自分でびっくりしました。「すごい! 私テンション上がってるよ!」みたいな(笑)。「なんだこりゃー!」みたいな感じで跳ねて歌っていました。

――ホリエさんは一ギタリストとして一緒にライヴでやってみて、どうでした?

ホリエ 曲(“アマデウス”)作った時も相当自信があったんですけど、実際演奏して「かっこいいな」と思って。取り戻したいなって感じ(笑)。

まじ娘 返しませんよ! 絶対返しませんからね(笑)。

ホリエ (笑)結構難しい曲なんで「どうなるかな」って思ってたんですけど、ライヴで演奏してみると、わりとスイッチが外れた感じで、盛り上がってよかったです。

まじ娘 イヤモニをさしてたんですけど、抜けちゃって。だから最初完全にオムツ替えてもらってるおばあちゃんみたいな感じになってて(笑)、それは自分のなかで「おもしろいな」って思いながらも、今思い出すと恥ずかしいです。

――前に一度ライヴ観させてもらったんですけど、その時はあんなにテンション高くやるようなイメージがなかったので、新鮮というかびっくりしたところがあって。

まじ娘 私も気付いたら「跳べー!」って言ってて、自分自身で新鮮な自分を見ました(笑)。

――オラオラしてるっていう(笑)。

ホリエ そのオラオラな感じが本番にならないとわからなかったんですよね。普段こんな感じだし、持ち曲で今まで歌っていたのも“心做し”とかはバラードっていうか、入り込む感じだったから。いざお客さんを目の前にした時、どういう感じになるんだろうと思ったらあっさりフレンドリーに(笑)。

まじ娘 あはははは。自分でも不安で「どうなるんだろう?」って思っていたんですよね。MCもいろいろ考えてきたんですよ。「1週間前に見た天気予報だと今日は雨って言ってたけど、晴れたね」みたいなMCをしようと思ったんですけど、すっかり飛んでしまって、奇声しか発してないみたいな(笑)。「まじ娘です、うへへへ~」みたいなことしか言えなかったです(笑)。

レコーディングも立ち会ってわかったんですけど、(まじ娘は)相当プロっぽいっていうか、「どうやったらうまく歌えるだろう」とかいうレベルじゃなくて、「自分のこの声が好きだ」とかそういうところを選んでいく作業っていうか。「すげぇな、これ」って(ホリエ)

一番の強味は、いろんな声が出せるところですかね。それでときどき悩んでる人も見るんですけど、私は「全部私の声だ」って言える(まじ娘)

――まじ娘さんは、ニコニコ動画で歌を発表するところからスタートしてるわけですけど、そこからピンヴォーカルでワンマンライヴをやるようになって。その変化をどういうふうに感じてますか?

まじ娘 学生の頃はドラム&ヴォーカルだったんですよ。その時はその珍しさからか、それがアイデンティティになっていて。でも「やっぱり私は歌を歌いたい」っていうふうに思って専門学校入る時にぎりぎりでヴォーカルにチェンジして。「専門から歌を始めるのと高校からやってるのとじゃ絶対差がつくよね」みたいなことは思っていてすごく怖かったんですけど、自分なりに勉強して。失敗もしましたけど、今回のライヴはその第一の成果っていうのもあって。やっぱり歌を歌って体で表現するのは楽しいなあと思いました。

――人前で歌うのは好きだったんですか?

まじ娘 前まで大嫌いだったんですよ。「ライヴって何? 音源でいいじゃん」みたいな。前はドラム叩きながら歌うことで精一杯で、何かを表情で表すとか「伝えたい」みたいなのは全然なくて。でも初めて2年前にライヴに出させてもらった時に「生の声が聞ける、リアルタイムに反応がくる」っていうのがすごい楽しくて、「お客さんも楽しんでるし、私も楽しんでる。これって幸せだな」って思えたんですよね。

――ホリエさんから見て「まじ娘」っていうヴォーカリストの魅力、あるいはライヴにおける彼女のすごさってどういうところだと思いますか?

ホリエ レコーディングも立ち会ってわかったんですけど、まじ娘は相当プロっぽいっていうか、「どうやったらうまく歌えるだろう」とかいうレベルじゃなくて、「自分のこの声が好きだ」とかそういうところを選んでいく作業っていうか。「すげぇな、これ」って。で、逆にライヴは1回きりなので、終わったことをあんまり反省しないから男らしいというか。初めてのワンマンだし、置きにいってもおかしくないところを、イヤモニ抜けちゃうぐらい踊ったりできる野性的な(笑)。

まじ娘 あはははは、嬉しいです。

――まじ娘さんは自分の歌の一番の強味って何だと思いますか?

まじ娘 一番の強味は……何だろう……いろんな声が出せるところですかね。それでときどき悩んでる人も見るんですけど、私は「全部私の声だ」って言える。

――歌う時は、その曲に入っていく感じなんですか? それとも、曲を自分のなかに引き込んでいく感じ、どっちに近いですか?

まじ娘 歌詞は私が自分で書いているわけじゃないから、私が100%言葉にすることはできないんですけど、でも限りなく近付けたいとは思ってます。わざと滑舌を悪くするとか良くするとか、かすれさせるとか、いろんな表現を駆使して99.9%ぐらいまで寄れたらいいなって思いますね。

――“アマデウス”に関しては、ホリエさんが込めたものとか描いている情景みたいなものを、まじ娘さんと共有したりとかはしたんですか?

ホリエ してないよね(笑)。

まじ娘 してないですね。感じたまんまに歌いましたね。

ホリエ まじ娘が歌った“アマデウス”って曲を受け取った側が救われるような曲を書きたいなと思って。もともと、ちょっと陰があるところもあるから。

まじ娘 ほへ~~。

――なんで「陰がある」って言われて喜ぶの(笑)。

まじ娘 照れるじゃないですか(笑)。

ホリエ 初対面で食事しながら話してる時にも「ストレイテナーの曲でどんな曲が好きか」って訊いたら「暗めなのが」って(笑)。

――たとえば?

まじ娘 “SAD AND BEAUTIFUL WORLD”とか“Melodic Storm”は結構アップテンポですけど、あと《先週の月曜日からずっと同じ夢を見続けてる》――。

ホリエ “LIVES”だね。

まじ娘 あと“シンデレラソング”とか“KILLER TUNE”とか。entみたいなきれいな旋律を奏でる曲も好きで、“青い空の果てに”に、高校の頃助けられたんですよね。

ホリエ (笑)。基本「切なさ」みたいなのが常にあって。「救われてない感」みたいな、その時その時点ではハッピーに終われたとしても、その先には何があるかわかんないっていうのを感じているんだなと。でも最初は、「もっと暗い人だったらどうしよう」って思ってたんですけど、そうではなくて。奇妙なというか(笑)――。

まじ娘 あはははは。

ホリエ ファニーな部分があったのでよかったです。

まじ娘 私も最初会った時は「どうしよう! どうしよう!」って思って。ずっと食事も喉を通らず、みんなビール頼んでる時に、私だけ赤ワイン頼んじゃうみたいな(笑)。

ホリエ 一杯目から赤ワイン(笑)。

――ははははは。

まじ娘 でも、その時にもらったCDのサンプルも帰る時までずっと握りしめていて。で、私はきっと緊張してしまって、感謝の気持ちを言葉で表せないから、おいしそうなお菓子を買って行ってホリエさんにお渡しして。ホリエさんに「食べておいしかったの?」って訊かれた時に、「いや、おいしそうだったんで」って言ったら「食べてないんだね」って言われたのを、今でも覚えてます(笑)。

ホリエ 手土産をもらって、それが変わり種なお菓子だったんで。で、「これ好きなのかなあ」って訊いたら「いや、全然」「パッと見で選んだ」って(笑)。

まじ娘 「甘いの好きかなあ」と思って。

ホリエ ライヴの時にもお菓子を持ってきてくれたりして。楽しみですけどね、そのシリーズが。

まじ娘 おいしそうな、食べたことないお菓子を(笑)。

ホリエ 実験台っていう(笑)。

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