感覚ピエロ、2度目の47都道府県ツアー、そして切り拓いてきた『1826』日を大いに語る

感覚ピエロ、2度目の47都道府県ツアー、そして切り拓いてきた『1826』日を大いに語る

このビート感で、いわゆるいいことを歌うんじゃなくて、《おっぱい》って歌ってる。バカにすることで振り向いてもおうとしてるのが、今思うとかわいいですよね(横山)


――せっかく全曲収録されているので、ひとりひとりにとって、ターニングポイントになった曲を聞かせてもらってもいいですか。

秋月 これ、けっこう偏るんちゃう?

西尾 俺、わからないわあ……。

――西尾くんは、“LOVE GENERAL”かなと思いましたけど。基本的に、感エロの曲は、秋月くんと横山くんが作詞作曲をするパターンが多いけど、西尾くんが作詞をした曲のなかで、いちばんライブで欠かせない曲になってて。

西尾 そういう意味で言うと、“VONGOLE ~ナポリの潮風~”ですかね。

――最新アルバム『色色人色』のボーナストラックですけど、実は昔からある曲で。ラテン調のめちゃくちゃ遊び心のある曲で。

西尾 時系列的には、これが初めて作詞した曲なんです。ドラム以外で、自分がバンドのためにプラスになることができたのが嬉しかったんです。ふつうに自分の頭の中のことを出しても、このバンドは受け止めてくれるんやなと思ったんですよね。

――“七光りヒーロー”にしても、“ラブジェネ”にしても、西尾くんが手がけた曲って、数は少ないけど、キャラの濃い曲ばかりですもんね。

秋月 存在感がありますよね。

横山 タッキー(滝口)さんは? ターニングポイントになった曲。

滝口 “A-Han!!”かな。

秋月 あ、とられた~。

横山 俺もそれを言おうと思った!

滝口 初めてワンマンした頃に『TE-N-GU』(会場限定盤)をリリースして、その時のリード曲なんですけど。まだ全国流通盤を1枚も出してないのに、ワンマンをするっていうのが、すげえパンチがあったし、「みんな、こういう曲好きでしょ?」っていう歌詞も、当時はあんまりない感じだったんですよね。

――改めて『1826』を聴いて思うのが、初期の感エロの曲って、構造が複雑だったり、そんなにキャッチーじゃない曲も多いし、エロ要素もなかったじゃないですか。

滝口 初期の曲は尖ってましたよね(笑)。

――そういう中で、“A-Han!!”は、かなり飛び道具感がありましたよね。

滝口 あえてみんながカバーしやすい曲にもしましたからね。

――今、改めて自分たちの初期の曲を聴いてみて、どう思いますか?

横山 照れくさいですね。このあいだ、みんなで改めて聴いたら、「意外と凝ったことをやってたんだ」っていうのは思いましたけど。あの頃は、今とは違うこだわりがあって、その時の自分たちの目で見えてたもので曲を書いてたから。

――“A-Han!!”を出した時は、どういう心境だったんですか? 当時のバンドとして、曲の飛距離を上げていく必要があったのかなとは思いますけど。

横山 うん。どうやって振り向いてもらえるかっていうことですよね。その最終地点が、何かを小バカにすることだったんですよ。同じ頃に出した“O・P・P・A・I”にしても、このビート感で、いわゆるいいことを歌うんじゃなくて、《おっぱい》って歌ってる。バカにすることで振り向いてもらおうとしてるのが、今思うとかわいいですよね。

――当時、よりお客さんを振り向かせる曲が必要なんじゃないか、みたいな戦略も、秋月くんがメインで考えてたんですか?

横山 いや、曲をキャッチーにしていきたいよねっていうのは自然でしたね。だから、そのあとに“拝啓~”みたいな曲を社長(秋月)が持ってきた時も、今までとは全然違う曲調ではあったけど、「よっしゃやりましょうか」って思えたんですよ。「みんなに振り向いてもらいたい」っていうところで、僕らは同じ方向を向いて進んでこれたんですよね。

この曲(“メリーさん”)がなければ、今のバンドはなかったと思うから。僕は、この曲と、横ちゃんに人生を変えられたところがある(秋月)


――なるほど。じゃあ、横山くんにとってターニングポイントだと思う曲は?

横山 6年目っていうのを見据えて、あえて最近の曲を選ぶと、“変幻”かなあ。

――最新アルバム『色色人色』からですね。47都道府県ツアーでは、ほぼ全公演のセットリストに入ってたし、重要なポジションを担う曲でしたよね。

横山 “変幻”は、あえて1~2年目のフレッシュさに帰ってやってみた曲なんです。だから、あの時に感じてたことが正しかったのか、間違ってたのか。その答え合わせにもなるわけで。この曲を作り終えた時に、「あ、かっこいいな」って思えるっていうことは、1年目、2年目の僕たちを、今の僕たちが肯定してることにもなる。自分たちは今も変わらず持ってるものがあることを確認できて、これからも新しいものを作っていけるなと思いましたね。

――最後に秋月くんはどうでしょう?

秋月 “メリーさん”ですかね。この曲がなければ、今のバンドはなかったと思うから。僕は、この曲と、横ちゃん(横山)に人生を変えられたところがある。

横山 おおっ!

――“メリーさん”がバンドにとって、最初にできた曲だったんですか?

秋月 1曲目ですね。この曲を横ちゃんが持ってこなかったら、そのあとの曲もできてこなかったと思うし。今聞いても、間違いなくリードになる曲だと思うし。

滝口 いまだにライブでもやりますしね。

横山 でも、この頃はがむしゃらだったから、僕は「この曲ならいけるぜ!」とか考える余裕もなかったし、かっこいいものを残したいっていう一心でしたけどね。今、こうやって見ると、そこから社長が作る“拝啓~”が生まれて、バンドに二面性もできて……。

――エロとメッセージ性っていう。

横山 そう(笑)。そこも、69曲通して振り返った時の結果論だったりするから、どこかで1曲でも狂ってたら、それ以降の曲は生まれてなかったかもしれないんですよね。

――全部の曲がターニングポイントだったかもしれない、と。

横山 うん、めっちゃきれいにまとまりましたね(笑)。

――それを総括するアルバムのタイトル『1826』の数字が表すのは、5年間の日数?

秋月 そうです。うるう年を含めて、ですね。

――今はもう1827歩目以降を歩いてる感覚ピエロですけど。今年の秋にはツアー、さらに来年の秋には幕張メッセでのワンマンが控えてる、と。

秋月 これからの俺らは、その場所に向けて進んでいくっていう決意表明ですね。

――さっき5年目までは「振り向いてもらう時間だった」という話もありましたけど、6年目には何を大切にして向かっていくことになりそうですか?

横山 幕張のステージに立つ時には、感覚ピエロは圧倒的な存在になっていたいですね。47都道府県ツアーを2回やり終えた今でも、「感覚ピエロのライブって、どんなだろう?」みたいな探ってる雰囲気も感じるから。秋冬のツアーでは、感覚ピエロが出てきた瞬間に、こいつらが出てきたら、何も心配はいらないっていう、そういう楽しませ方をしていきたいと思ってるんです。で、来年の幕張の時には……もしかしたら、何かと比べる言い方は良くないかもしれないですけど、他のアーティストが何だとか、過去に幕張でやったバンドがどうだったかは関係なく、「感覚ピエロは感覚ピエロだし」って言えるようなライブをしたい。そういうふうなライブをするための6年目になるかなと思います。

秋月 振り返った時に、こないだのなんばHatchが霞むぐらいのライブにしたいね(笑)

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