「ただ楽しい」っていうことの尊さみたいなことを、こんなに全開で出せるのはすごく有意義(SKY-HI)
──この年のクリスマスソングというと、ハートウォーミングでしっとりあたたかい感じのものを想像したり求めたりしがちだけど、そうじゃないのがほんとにいい。ちゃんみな ふたりともこのキャラクターだからね。結構真面目なことを思ったり言ったりするタイプなので、そういうところを想像した人も多いかもしれないけど。
SKY-HI ほんとそうで、この2020年は音楽活動をする中で、すごく意義を求められたり、意義を提示しやすかったりするから、自然とそこが強く出ちゃうんですよね。そういうものではなく、「ただ楽しい」っていうことの尊さみたいなことを、こんなに全開で出せるっていうのはすごく有意義で、今こそ人間が「すごく楽しい」っていう感情を思い出すべきじゃないのかなと思って。でもMVはほんとにハートウォーミングですよ。最後まで観たらハッピーになれる。ほんと今こそ必要な曲だと思います。
──ほんとにそう思います。
SKY-HI いちばん危惧しなきゃいけなかったのは、ふたりのスキルから想像できるような曲になっちゃうことで。ボースティングみたいな、「ナンバーワン」とか「キング」とか「クイーン」とか、そういうところで攻めるのはたぶんいちばんやっちゃいけないことだったと思う。面白くないから、単純に。でもそうなってもおかしくないんですよ。普通にかっこ良くなるしね。やっぱかっこいいものって吸引力があるから、自然とそっちにいく。でもそうではなくて、もっと面白いことがしたい、もっとハッピーになりたいっていう結果、これができるっていうのはすごく純粋だし、すごく幸せなことだと思います。
──今回このコラボが実現したことで改めて感じたんですが、ちゃんみなさんとSKY-HIさんがシンパシーを感じ合う部分っていうのは、これまでのそれぞれの楽曲にも表れてるなあと思ったんですよね。たとえばちゃんみなさんが“I’m a Pop”で、ジャンルやキャラクターを枠にはめて語ることへのアンチテーゼを表現したことと、SKY-HIさんがアルバム『JAPRISON』でテーマとして打ち出したことには通底するものがあると思うし。
SKY-HI “I’m a Pop”と“Name Tag”とかね。マッシュアップしてみたらすごかったんだよね。
ちゃんみな そうそう。実は対バンすることが決まったタイミングで、彼の曲と私の曲でいろいろできないかなって、可能性を探りながらいろんなことを試してみたんですよ。それでお互いの曲を掘っていくほど、共通のテーマが見えてきたりして。
SKY-HI 同じようなテーマが、たまたま同じようなBPMで。
ちゃんみな そう。だから特にいじらなくても、そのままマッシュアップできちゃうくらいだったよね、“I’m a Pop”と“Name Tag”は。
スタイル的にどうとかは全然関係なく、志が同じという意味で同志だと思う(SKY-HI)
──SKY-HIさんは最初、ちゃんみなというアーティストの登場をどう捉えていましたか?SKY-HI 僕としては助かった、間に合ったっていう感覚でした。ちゃんみながもし、あと5、6歳若くて、世の中に出てくるのが、あと5、6年遅かったら、自分がこのスタイルで音楽をやれているかって言ったら、ちょっと難しい。だから間に合ったなっていう感じでした。
ちゃんみな 嬉しい。
SKY-HI ずーっと探してたから、そういう感じの子。それが女の子で、しかもこの感じで、プライベートでも仲良くなってっていうのはちょっと想像してなかったけど(笑)。ラップミュージックなんだけど、ポピュラリティを得るためにはどうすればいいかっていうことをエンターテインメント目線で考えるのは、実は今日本ではかなり厄介なことで。こんな厄介だとはオレも思ってなかったんだけど。たまに出てくるんですよ、踊れるラッパーの子とか、歌とラップを混ぜる子とかは。けど、やっぱ羽ばたく前に辞めちゃうんだよね。ああ、そうだよなあって思ってたんですけど、ちゃんみなは──特にここ数年のちゃんみなには、すごく「助かった」っていう思いです。良かった。
──やはりSKY-HIさんからしたら同志を見つけたような気分だったんですか?
SKY-HI スタイル的にどうとかは全然関係なく、志が同じという意味で同志だと思います。
ちゃんみな 戦友っぽいよね。ライバルではないんですけど、仲間っていう感じです。私は彼の痛みは経験できなかったけど、これから先経験するかもしれないし、その逆もしかりだと思うんですけど。違う種類の痛みをお互い味わっていて、しかもそれを楽曲に落とし込んでエンターテインメントとして表現して生きていってる人ですし。でも実は私、今回の作品では緊張してたんですよ。
SKY-HI オレもめちゃめちゃ緊張してたよ(笑)。プリプロの段階から、ちゃんみなキレキレだなあと思ってたし、Dr.Rのスタジオも初めてだったから。フィーチャリングとかで呼ばれてラップして、っていうんだったら役割は明確で、1バースずつやっていって、ちょっと3バース目は掛け合っとく?みたいな感じがほとんどだけど、今回はコラボレーションだから。
ちゃんみな 普段だったら、フィーチャリングするにせよ、自分の爪痕残すっていうか、私の哲学をどれだけ入れられるかとか、あとは曲のバランスを見るくらいなんだけど、今回に関しては自分の好きな人、プライベートから仲がいい人とやるっていうのが初めてだったのもあって、私もすごく緊張してたんですよ。私のせいでSKY-HIがダサく見えちゃいけないなって。MVもプロデューサー的に構成とかをやらせてもらいましたけど、そこの映りもめちゃくちゃ気にしましたね。ふたりが揃った時の彼の見え方。それは今回すごく気にしたかもしれない。観た人、聴いた人に「かっこ悪かった」とは言わせられないなって。でもこの楽曲は「SKY-HI最高だったよね」って、自分も参加してる曲だけどそう思えたから良かった。とにかく私の歌い方や歌詞のせいで、この人が安く見られるのだけは嫌だなって思ってたから。
SKY-HI ふたりともが、お互いの足は引っ張れないっていうところからのスタートだったからね。油断や妥協が許されなかったのは確かだし。スタジオで遊びながら作ったとはいえ、めちゃめちゃ真面目でストイックな時間でもあった。ただそれをずっと笑いながら、ふざけながらやってるんだけど。
ちゃんみな でも確実に、10年先、20年先にも「面白かったね」って言える楽曲になったと思います。
SKY-HI これ、50歳、60歳になって歌うのも、なんかかわいいよね。
──タイムレスな魅力を持つ楽曲ですしね。
SKY-HI そうですね。毎年クリスマスが来るとこの曲がかかるようになったら嬉しいです。
衣装協力
ちゃんみな
シンタロウ ヤマモト(03-6812-9117)、パメオポーズ(03-3400-0860)、イエロ(https://www.yelloshoes.com/)
SKY-HI
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