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    Dizzy Sunfist、最新作『ANDY』と「Dizzy Sunfist」を解き明かす。説得力がパワーアップしたメロディックパンク――その理由に迫る!

    Dizzy Sunfist、最新作『ANDY』と「Dizzy Sunfist」を解き明かす。説得力がパワーアップしたメロディックパンク――その理由に迫る!

    今回は自分をすごく掘り下げた気がします。原点のハイスタから聴き直しましたね(あやぺた)

    ――コロナ禍であれ、あやぺたさん育児中であれ、Dizzy Sunfistは通常運転な印象があって驚かされるのですが、いつ『ANDY』の制作は行っていたんでしょうか。

    あやぺた(Vo・G) 年明けから本気になりました(笑)。ギリギリになってやるタイプです。

    ――でも、年明けって、昨夏リリースされたEP『EPISODE Ⅱ』のツアー中でしたよね?

    あやぺた ツアー中に制作していました。

    ――なるほど! まず、表題曲の“Andy”は、どういう流れで生まれてきたんでしょう。

    あやぺた 形はもともとあったんです。ただ、私のメロディが決まらなくて。パッと思いついた時に持っていって作りました。前回のツアー、ワンマンやったんで、刺激が少なすぎて。私は結構辛かったです。

    ――そうなると、対バン以外の何かの刺激を探す、もしくは自分を掘り下げるなど、他の方法が必要だった気がするんですが、いかがですか。

    あやぺた 今回は自分をすごく掘り下げた気がします。原点のハイスタから聴き直しましたね。

    ――ただ、もともとの形は以前からあったんですよね?

    あやぺた はい。moAiが持ってきてくれました。

    ――楽曲のインスピレーションというか、発端はどういうものだったんでしょう。

    moAi(Dr・Cho) スタジオでギターを弾いたりするんですけど、手癖で弾いたものに、あやぺたが鼻歌を乗せて曲が作られていくことが多いんです。“Andy”も、そういう感じでした。僕が適当に弾いたギターに歌が乗っかったんだけど、その時は歌がハマらなくて「今じゃないのかな?」って先延ばしにして、今回形にしてみたっていう。だから、インスピレーションは、お互いの化学反応ですね。練れば練るほどいいってものではなく、お互いパッとハマったものがよかったりするので。

    ――バンドならではの制作スタイルですね。先延ばしっていうことは、どのくらい前からあったんですか?

    moAi アルバム『DREAMS NEVER END』(2018年1月リリース)の頃には、イントロのギターの感じとかがあったんですけど、なんか、その時じゃなかったっていう。

    ――それが、年明けに急展開を迎えると。

    あやぺた そうですね。私が、いきなりスタジオに「このメロディがいい」って持っていったので。ずーっと「この曲を完成させたいな」っていう気持ちがあって、考えてみたんです。

    ――いやまさんはどうですか? 3年ほど寝かせておいた楽曲が、ピタッと組みあがった時の感触って覚えています?

    いやま(B・Cho) そうですね。あやぺたとmoAiで固めたものを聴いた時は、最初はイントロを知っているから「ああ、この曲ね」って感じだったんですけど、メロディとかがしっかりできあがっていて、化けたというか、アップデートされた印象はありました。

    夢に出てくる友達もいるし、支えてくれているのは友達やし。コロナ禍で、そういう歌を今歌いたいっていうのはありました(あやぺた)

    ――きっと今だったんだろうなっていうのは、聴いていても思って。まず、歌がすごくパワーアップしていますよね。何かあったんですか?

    あやぺた 英語の発音を、もっと本気になろうと思って。発音専門の先生を見つけて、毎日レッスンしてもらいました。

    ――そんな努力があったんですね! なんで、そういうスイッチが入ったんでしょう。

    あやぺた ずっとYouTubeで発音を勉強していたんです。そうしたら、そのYouTubeをしている先生が直接教えてくれるって書いてあるのを見つけて、これは!って思って応募したんです。

    ――まさかのYouTubeでの出会い!(笑)。でも、ということはずっと気になってはいたんですね、もっと英詞を歌いこなしたいと。

    あやぺた レコーディングの時にネイティブの人が来てくれるんですけど、歌いたいように歌うと発音がダメになってしまって、のびのび歌えなかったんです。それがストレスで。だから、その悩みを先生に話して、今回から解決したところもあります。今までは、今日も発音あかんか……って感じやったんですけど、それがなくなって、思い通りに歌えて楽しかったです。

    ――さらに、バンドの相乗効果で、歌に負けない演奏になっていると思ったんですけれど、おふたりはあやぺたさんの歌に進化を感じたりしましたか?

    moAi 歌とか発音を気にしているのは知っていて。レコーディングの順番としては、歌を最後に録るので、今回は結果的に「歌がいい感じだな」っていうのはありましたね。

    ――じゃあ、むしろ演奏が歌に影響されただけではなく、歌が演奏に影響されたところもあるのかもしれないですね。

    moAi できあがった形で見ると、それを実感します。歌ももちろんだけど、サウンドも3人それぞれの底上げというか、バンドとしてのレベル、音源としてのクオリティがグワーッと上がったなっていうのは、録り終わった時にすごく感じました。

    ――制作中はツアー中だったじゃないですか。その影響も、今作には表れていると思いますか?

    いやま コロナ禍でツアーをやれるのか?っていう状況で、なんとか対策をしながらやり切って、2月にファイナルが終わって、そこから3月にレコーディングをしたので、その達成感みたいなものも、もしかしたらあったのかなって思います。

    ――ツアーをやり切れた自信も、音や演奏に表れたのかもしれないですね。あと、気になったのが“Andy”という曲名です。どういういきさつで、この曲名、歌詞になったんでしょうか。

    あやぺた 『トイ・ストーリー』です(笑)。ほんまに大事な友達の歌を歌いたくて、友達といえば……って、あの話がいちばん好きなので、そこから拝借しました。

    ――ストレートですね! 友達のことを歌いたいって思ったのは、何かきっかけがあったんですか?

    あやぺた 夢に出てくる友達もいるし、支えてくれているのは友達やし。コロナ禍で、そういう歌を今歌いたいっていうのはありました。

    次のページもっと音楽的に、っていうのは意識しています。「ああ、メロコアのカバーなら速くなっただけね」ってなっちゃうのが悔しいんですよ(moAi)
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