“INTO THE DEEP”ハ、コノバンドニ今ドンナジャンルノ音楽ヲヤッテホシイカ?トイウ視点デ作ッタ楽曲。
ソシテ、タイトルガナゼ“INTO THE DEEP”ナノカハ、映画ヲゴ覧ニナッテイタダケタラワカルハズ。観テノオ楽シミデスネ。
ジャン・ケン・ジョニー(G・Vo・Raps)よりコメント
ロックバンドは不屈であるし、MAN WITH A MISSIONもまた不屈である。そんな感慨を新たにするシングルが届いた。
MAN WITH A MISSIONが11ヶ月ぶりとなるシングル『INTO THE DEEP』を6月9日(水)にリリースした。ハリウッド版『ゴジラ』シリーズの最新作『ゴジラvsコング』の日本版主題歌となっている表題曲をはじめ、映画『ヒノマルソウル 〜舞台裏の英雄たち〜』の挿入歌である“Perfect Clarity”、そして6月〜7月のNHK『みんなのうた』でオンエアされる“小さきものたち”の全3曲に、“Dark Crow (LETHALDOSE REMIX)”のDJリーサル(リンプ・ビズキット)によるリミックス。すべてのトラックがまったく別のベクトルを指し示しながらも、そこには「それでもここだけは逃さない」という芯の部分が真っ直ぐに貫かれている。
昨年配信され『ONE WISH e.p.』にも収録された“All You Need”に続いて中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)が編曲に参加している“INTO THE DEEP”は、ハードなデジタルビートとヘビーなロックサウンドがデッドヒートを繰り広げる、まさにMWAMらしいデジタルロックだ。《永遠と続く長い回廊を歩く その先に何があるのか/並び立つ無数の扉を開くがどれが進むべきものなのか判らない》(訳詞)と始まるこの曲は、『ゴジラ』らしい雄々しさとスケール感と同時に、明らかにMWAM自身の揺るぎない意志のようなものを強く感じさせる楽曲になっている。《1 2 3 4 ビートを加速させフロアを虜に/5 6 7 8 ヒューズを飛ばして撒餌の準備》(訳詞)というフレーズが物語るように、音楽そのものが重要なモチーフとなっている“INTO THE DEEP”。MWAMらしいミクスチャーロックにのせて歌われる《燃え盛る炎の中僕は自分自身の灰をかき集めて再生しようと試みる》(訳詞)という言葉に、改めて自分たちのど真ん中を突き進む彼らのブレない精神が顔をのぞかせている。
まるで聖歌のようなイントロから聴くものを大きく包み込むようなサウンドとメロディが広がる中《Perfect clarity/Longing in insanity/さよなら世界/僕らは明日の先へとただ行くよ》と歌う“Perfect Clarity”もまた、自分自身の背中を押し、前へ前へと進んでいくという意志を歌っているように思えるし、MWAMにとって初の『みんなのうた』となる“小さきものたち”もそう。レゲエのニュアンスを帯びた穏やかな音像とともに紡がれる《歩いていくのさ 見つけに行くのさ/小さき僕らは 歩いていくのさ》という歌詞は、オンエアでこの曲を耳にする文字通り「小さきものたち」への言葉であると同時に、ロックバンドとロックミュージックの最も根源的な使命のようなものを伝えてもいる。俺たちは止まらない、俺たちは進み続ける、誰がなんと言おうと、どんなに時代が移り変わろうと。このシングルからひしひしと伝わってくるMWAMの思いは、僕なりに言葉にするならそういうものだ。それはもちろんこのコロナ禍に対するオオカミたちからのメッセージとして読み解くことも可能だし、今だからこそこうしたストレートな言葉やメッセージが出てきたというのも確かだろう。しかしそれよりもっと根本的な、ロックバンドが音楽を鳴らし、それを届けるとはどういうことかという「意義」や「役割」を、彼らはこの曲たちに込めたのではないか、と思うのだ。
『ONE WISH e.p.』についてインタビューした際、ジャン・ケン・ジョニーは「自分たちがこれがいいと思ったものを出していくのがいちばん正しいのかなと思います(以上日本語訳)」ということを力強く語っていた。それは単に方法論のことではなく、要するに彼自身がロックから何を受け取ってきたか、そこに何を見出してきたかにもう一度向き合う、という意味だったように思う(まさに“INTO THE DEEP”で歌われている《内なる深淵へもう一度飛び込むのさ》という言葉通りに)。このシングルはさしずめその「実践篇」だ。あくまでバンドの強固なアンサンブルを中心に置いたアレンジ、ルーツへのリスペクト(リンプとのコラボレーションとなった“Dark Crow”のリミックスはまさにその表れだろう)、どんな状況でも希望のほうを向き続けるという信念。“INTO THE DEEP”にしろ“小さきものたち”にしろ、そこには人生のシリアスな一面がはっきりと描かれているし、“Perfect Clarity”にはどこか哀しみが漂っている。それでもこのシングルを聴き通したあとには、はっきりと目の前に光が見える。かつてたくさんのロックヒーローがそうして多くの魂を救ってきたように、そしてMWAMのオオカミたち自身が救われてきたように、このシングルには世界を鼓舞するようなエネルギーが満ちている。
今年の2月9日から11年目に突入したMAN WITH A MISSION。10周年はコロナ禍の影響で思い通りにはいかなかったが、楽曲そのものが、彼らの次なる物語の幕開けを告げている。ロックバンドはこんなにも自由だし、止まらないし、そして強い。きっとここから先の10年をかけて、彼らはそれを身をもって証明していくだろう。“INTO THE DEEP”がバカでかい会場で鳴り渡る日が、今から待ち遠しい。(小川智宏)
現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』2021年7月号「SCENE」にMAN WITH A MISSIONが登場!