あいみょん、珠玉の新バラード“ハート”――そのすべてを語る

あいみょん、珠玉の新バラード“ハート”――そのすべてを語る

世の中はラブソング不足やっていう謎の持論がある。ラブソングなんですよ、世の中の曲すべて。ただ、スローテンポで、言葉がハキハキ聴こえるラブソングは少ない

―― “裸の心”は、「バラードはヒットしない」って言われて、「そんなことはない!」って言って出した曲だったじゃない?

「そうそう。“ハート”を出す手前にも、私には、世の中はラブソング不足やっていう謎の持論がありまして(笑)」

――聞きたいですね、その話。

「シンプルにガッ!ってくる、HYさんの“366日”みたいなラブソングって今ないよなって。それに似せたかったわけじゃないけど、私もバラードでラブソングが歌いたくて。ラブソングなんですよ、世の中の曲すべてにおいて。ただ、スローテンポで、言葉がハキハキ聴こえるようなラブソングは少ない気がする」

――でも本当にこの曲は、とても素晴らしい曲で。あいみょんの曲ではよくあるんですけど、歌いっぱなしなんですよ。

「歌いっぱなし?」

――ずーっと歌ってる。

「ああ! そうですね」

――でも、1サビの前は一瞬だけブランクがある。このインターバルが素敵だよね。豊かな余韻というかね。

「そうですね。『…』って書いています」

――それ以降は歌いっぱなし。なんでこの曲はドラマチックなのか考えて10回ぐらい聴いた時に「このインターバルが効いているからだ」ってハッと思ったんだけど。

「そのへんは、あんまりデモから変わっていないんですよ。でも、田中(ユウスケ)プロのアレンジが加わると、さらに抑揚も増しますし、勢いも変わるなって。ただ、サビ前の『…』はそのままです」

――この「…」、すっごい大事。

「この『…』、歌詞にはもともとなくて、あとから足したんですよ」

――そうなんだ。

「読み物として読んでほしい欲が強いので。ここはどこで改行したほうがいいのかとか、『、』や『。』がいるかとかは、読み物として読んでもおかしくないようにしておきたくて。ミックスの時にチェックしてます」

――歌入れとは別のタイミングなんだね。

「そうです。あと、歌だけ聴いていると関係ない部分ですけど、読む人がいると思うと『ここはあえてひらがなにしよう』とか思ったり。《ぬくもり》は漢字でも書けるけど、ひらがなのほうが丸っこくてあったかいっぽいな、とか」

――《貴方》については?

「『あなた』は、ひらがなだったり漢字だったりしますよね。バラードでゆっくりな曲は漢字が多くて、リズミカルな曲はひらがなが多いんじゃないかな? でも“森のくまさん”は《貴方》か。だから気分かも(笑)。あと、漢字がいっぱい入っている時は、漢字のほうが見栄えがいい。かわいいかそうじゃないかとか、見栄えがいいか悪いかとか――パセリがあるかないか、みたいな感じです(笑)」

遊ばれているような、実ってない、叶ってないっていう題材だけでこんなに違う女の子を書けるって思うと、すごく楽しい。言葉の選び方でこんなにも変わるんや、って

――“森のくまさん”も、とびきりグッドソングじゃない?

「歌うのも楽しかったです。ディレクターさんに、『《ブチギレた》って歌詞を初めて見た』って言われました(笑)。そういうの、すごくうれしいです。自分だけの言葉になったと思うから」

――あとね、サビ終わりの《進まない 距離も関係も》は、倒置法になってるじゃない? あいみょんは倒置法をよく使うんだけど、本当に上手だよね。

「国語は苦手だったんですけど、倒置法とかだけはできるんですよ(笑)。“森のくまさん”は、童謡の“森のくまさん”のイメージ。追いかけっこしてる感覚で、楽しみながら作った記憶がありますね」

――これは、さっき話してくれたように、“ハート”との主人公と置かれているシチュエーションはーー。

「わりと一緒。遊ばれているような、実ってない、叶ってないっていう女の子の状況だけど、ひとつの題材だけで、こんなに違う女の子を書けるって思うと、すごい楽しいなって思います。言葉の選び方で、こんなにも変わるんや、って。“森のくまさん”は暴力的(笑)。“ハート”は《起きてすぐ描くアイライン》、こっちでは《朝方乾いたファンデと口紅》。そういう、リンクする部分も、自然とあったりして、おもしろいかなって。“森のくまさん”は、10代の頃から作ってきた音楽な感じ。軽快な感じで辛いことを楽しく歌ってる曲は、今までも結構作ってきたので、こういう軸は全然変わってないなって、客観的に見ても思います。また、こんなだらしない女の子のこと書いてる、みたいな(笑)」

――もう、とびきりのあいみょんシングルって感じ。さすがです。

「いやいやいや」

――どのインタビューにも自分でコピーを付けるわけなんだけど、あいみょんのインタビューに関しては、「名曲」っていうコピーを使いすぎていて。毎回名曲なんだからしょうがないじゃん、とも思いつつ。でも、あいみょんの曲に対しては、「今年の桜もきれいだね」って言うのと同じ温度で、「あいみょんの今回の曲もいいね」って言いたいんだよね。

「四季は巡ってきますからね(笑)。『今回もいい曲出してるやん!』みたいな感覚で思ってもらえるのもいいなって。来年はとにかくライブライブの1年にしたいなと思いつつ、曲も頑張ります」


あいみょんが ニューシングル『ハート』について語ったインタビュー&撮り下ろし写真の全貌は、11月30日(火)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』1月号に掲載!


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