【インタビュー】「自分にもみんなにも正直でありたい」と願うUNFAIR RULEが、73秒の新曲“嘘”に込めた想い──さらけ出すバンドの核心に迫る

【インタビュー】「自分にもみんなにも正直でありたい」と願うUNFAIR RULEが、73秒の新曲“嘘”に込めた想い──さらけ出すバンドの核心に迫る
ライブをしないと自らの存在価値が消えてしまう、と言い切るほどとにかくライブハウスに立ち、山本珠羽(G・Vo)の実体験に基づいた恋愛模様や着飾らない言葉が並ぶ歌詞が多くの共感を呼んでいる岡山発ロックバンド・UNFAIR RULE
。ネクストブレイク筆頭と評され、ライブハウスで発してきた熱が今、さらに広く届こうとしている。バンドのスタンスやルーツ、そして4月24日にリリースした新曲“嘘”へ込めた想いを山本と杉田崇(Dr)のふたりに聞いた。

インタビュー=ヤコウリュウジ


ライブがないと自分の存在価値、消えちゃいます。私がどういう気持ちでその曲を歌ってるのかは、ライブハウスでしかわからないことだから。自分がいちばん自分でいられる場所がライブハウスです

──2019年6月に結成してから約5年、これまでの歩みは順調だったと思いますか?

山本珠羽(G・Vo) 恵まれてるなと思います。実体験しか歌えないから、ただただ歌いたいことを歌ってるだけなんですけど、こんなにも早くいろんな人に認めてもらえて。「こんなにも共感してくれるんだ」と思ってますね。

──杉田さんがバンドに加入されたのは2022年ですが、きっかけはなんですか?

杉田崇(Dr) みーちゃん(山本)の歌がめちゃめちゃ好きだったんです。前のバンドで対バンした時からずっとそう思ってて。最初はサポートとして参加する予定だったんですけど、1回目のライブで「これは入るしかない」「ついていきたい」と直感的に感じて、加入を決めました。

──山本さんは恋について歌うことが多いですよね。「恋を歌いたいから」なのか、自分にとってリアルなものが恋なのかでいうと、どちらでしょう?

山本 後者ですね。恋が書きたいというわけではなくて。

──結論が前提にない歌詞というか、抱えてる感情がそのまま溢れ出しているような印象もあります。

山本 確かに結論はないかも。簡単にはわかってほしくないというか──たとえば「会いたい」ってまっすぐに言う歌詞もいいんですけど、「こう言ってるってことは好きなのかな?」みたいに想像の幅が広がるような歌詞が好きなんです。聴いた人なりの解釈で、その人だけの曲にしてもらえたらいちばんいいなと思ってるんで、聴いた人が考えられる余白を作るようにしてます。

杉田 着飾った口調や言葉を使うんじゃなくて、山本珠羽にしか出せないような、ストレートな言葉を使ってるなと思います。だから、聴き手に素直な気持ちが伝わるのかなと。

──着飾るのは好きじゃない?

山本 絶対に無理っすね。自分にもみんなにも正直でありたいし、素直でありたいので。

──UNFAIR RULEには、ゆったりと心に染み渡るような曲もありますが、アップテンポで歪んだギターをかき鳴らす曲もあって、パンクロック的な熱量を感じます。

山本 メロコアが好きで、ルーツは完全にメロコアなんですよ。私たちには2ビートの曲はないんですけど、メロコアの「メロ」の部分には死ぬほど影響されてます。音がデッカくないと「物足りんな」って言って、音量上げちゃうし(笑)。

──ルーツとなっているアーティストは?

山本 3バンド挙げるなら、FOOL THE PUBLIC、BUZZ THE BEARS、OVER ARM THROWですかね。

杉田 いちばん最初に好きになったバンドはONE OK ROCKなんですけど、そこから04 Limited Sazabys、GOOD4NOTHING、Northern19、locofrankとか、いろいろ聴くようになりました。


──新曲“嘘”は、そのルーツも感じさせるスピード感溢れる1分強のショートチューンに、山本さんの実体験的な歌詞が乗った曲で。どういうきっかけで生まれた曲なんですか?

山本 恋愛において、たとえば(恋人が)元カノと会ったり浮気してたとして、そこに感情があってもなくても、私はそれを知らないほうが幸せなんです。「私が気づかないように嘘を貫き通してくれたら幸せでいられるのにな」と思って、「嘘をついてください」っていう曲を書いちゃいました。

──すべてを打ち明けることは、正直といえば正直ですけど、相手への思いやりによる行為じゃなくて、自分自身の心地よさを優先した行為だったりしますよね。

杉田 知りたくないことを隠しておいてほしいという気持ちは僕も強くて。自分を守るためにも、関係を壊さないためにも、必要な嘘はあるのかなと思います。

──この曲のリリース後には、「JAPAN JAM」や「VIVA LA ROCK」への初出演もありますが、意気込みは?

山本 会場がデカいと自分の声も感情も遠くまでいきそうな気がするので楽しみです。でも、どれだけ広い会場でもライブハウスにしたいと思ってます。

──UNFAIR RULEにとって、ライブハウスは生命線のような場所ですよね。

山本 そうですね。ライブがないと自分の存在価値、消えちゃいます。「私って本当に何かできてる人間なのかな」って考えちゃうので。ライブがないぶんSNSを頑張ろう、みたいなことも苦手だし、SNSは私をさらけ出せるツールではないので。ライブハウスだと、目の前の人にその日思ってることを言えて──私がどういう気持ちでその曲を歌ってるのかは、ライブハウスでしかわからないことだから。できればオフの日もライブハウスにいて何かを吸収したい。自分がいちばん自分でいられる場所がライブハウスです。


このインタビューは、4月30日に発売された『ROCKIN'ON JAPAN』6月号にも掲載中!
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