【インタビュー】DISH//の4人が語る、新曲“プランA”に感じた大いなる手応え。バンドはなぜ今、最高の充実期を迎えているのか?

【インタビュー】DISH//の4人が語る、新曲“プランA”に感じた大いなる手応え。バンドはなぜ今、最高の充実期を迎えているのか?

「別に今そこまでやんなくていいでしょ」ってことを作曲の段階からやるのがすごい好きで、ほんと音楽で遊んでる感じ(橘)

──“朝、月面も笑っている”のライブ初披露もありましたよね。

北村 柊生と大智がふたりで作曲する曲って、大智はギターで、柊生はピアノで曲を作るから、ふたりの個性が入り乱れてるミックス感みたいなものを感じるんですよね。ふたりの作るメロディが交互に来たりするから、通り一遍な曲ではないというか。この曲にもそういう多面的な立体感があるんですよね。ひとつの感情だけに寄り添うのではなくて、いろんな人の感情に寄り添う曲になるだろうという予感があって。DISH//のボーカルとして、僕はそれをすごく大事にしています。人それぞれが受け取ったままでいいんですよ。どう受け取ってもらっても構わないんです。“朝、月面〜”はほんとそういう曲で、ライブでこの曲を歌ったとき、最前で泣いてる子の横ですごい笑顔で聴いてる子もいて、「そうそう、そうだよね」って。

 僕らのこういうミディアムテンポのバラードって、意外とライブだと熱くなるんですよ。音源だと落ち着いたバラードっぽく聴こえるけど、ライブだとぐっと熱い感じになる。今回も4人だからこその熱さが出たと思います。


──そして、最新曲の“プランA”について訊いていきます。この曲、「まずは生きる」というメッセージがストレートに伝わってくる、とても明快なテーマを持つ楽曲ですよね。シャッフルのリズムに和の合いの手が入ったり、とてもDISH//らしい楽曲です。『逃げ上手の若君』のオープニング主題歌として、制作はどのように取り組んでいきましたか?

北村 作曲はまたこのふたり(橘・泉)が中心で、作詞は自分、そしてアレンジが古くからDISH//を知っていてくれる新井弘毅さんというスタイルで。DISH//には“勝手にMY SOUL”という、TVアニメ『銀魂 銀ノ魂篇』のオープニング主題歌だった曲があるんですが、それは新井さんが書いた曲だったんですね。今回、その曲が最初にリファレンスとして投げかけられていて、僕らとしてもどういう曲にするか、イメージするのは早かったんですよ。

──そうだったんですね。

北村 令和のアニメソングってまた毛色が変わってきていると思うんですけど、『逃げ上手〜』は、すごくいい意味で平成に取り残されてる感じがして、それがいいんですよね。オープニング映像もその空気感で、それでいて中身の作画はとても現代的。だから僕らもイメージするものは明確でした。でもふたりは“プランA”以外にも、候補曲をいろいろ作っていて、“プランA”とはまったく別の方向性とかも提示したり、楽曲制作はすごく面白かったですね。

──またテイストの違う曲ができていた?

 はい。まったく違う曲があって。僕はそっちの曲もかなりお気に入りなので、できればすぐに出したいくらいなんですけど(笑)。今後何かしら、アルバム曲なのか、シングルのカップリングなのか、もしかしたらシングルの表題曲になるのかわからないですけど、その曲を出すのもすごく楽しみにしています。

【インタビュー】DISH//の4人が語る、新曲“プランA”に感じた大いなる手応え。バンドはなぜ今、最高の充実期を迎えているのか?

──和のテイストを持つ曲として、合いの手の入り方などは作曲の段階でイメージしていたんですか?

 そうですね。合いの手は入れたいねって。和楽器もどんどんギミック的に入れようという話をずっとしてました。

 最初の段階から太鼓とか和楽器系の音を入れまくっていて、デモの段階で入れる必要もないんですけど、面白がってやってました(笑)。4人で曲を作るときもそうだけど、「別に今そこまでやんなくていいでしょ」ってことを作曲の段階からやるのがすごい好きで、ほんと音楽で遊んでる感じなんです。この曲もそうでしたね。「太鼓のこういう感じよくない?」みたいな。

──匠海さんはそのデモを受け取って作詞を?

北村 ふたりからデモをもらったときから景色は見えていたんで、あとは『逃げ上手〜』から何を吸い上げて、何を大事に書いていくかということだけでした。歌詞の完成は結構早かったです。

──“プランA”というタイトルは、どのように決まったんですか?

北村 世の中、逃げたいような局面がいっぱいあっても、子どもの頃からどこか「逃げるのはNG」、「立ち向かえ」みたいな教えを受けるんですよね。それは漫画やアニメもそうで。主人公はどんなときも立ち上がるものだと思われているし、僕もお芝居でそういう演技をいっぱいしてきました。どれだけぶん殴られても、どれだけぶっ飛ばされても立ち上がる。でも、現実世界においては「逃げる」ことが最善な場合もタイミングとしてはあると思うし、僕は戦い方として「最善であることがいちばんかっこいい」という考えなので、今思う自分の最善が逃げることなら、逃げることこそ勝ちじゃない?っていう。だからそれが一番手のプランでいいんじゃないかという意味で“プランA”とつけました。これは(アニメの主人公の)北条時行から受け取ったメッセージでもあるし、「逃げ上手」というのは果たして弱いのかと考えてみると、それは第1話での時行の表情からわかると思うんですよ。鎌倉があんなに燃えているときに、時行の表情は思ったよりも悲しそうじゃなかった。決して弱い人間ではないというのが第1話でわかるんですよね。「逃げる」=「弱い」という考えは、僕はもうある意味古いものとして、捨て去るべきだとも思っています。

【インタビュー】DISH//の4人が語る、新曲“プランA”に感じた大いなる手応え。バンドはなぜ今、最高の充実期を迎えているのか?

バンドに憧れていたバンドが、最近ではもう「これをバンドと呼ばずしてなんと呼ぶ」と思えるようになってる(北村)

──物語に寄り添う主題歌であり、匠海さんの思想もしっかり込められている曲ですね。

北村 ただ、僕らがオープニングで『逃げる』ということをまっすぐ題材にしたのと対照的に、エンディングにはぼっちぼろまるさんの“鎌倉STYLE”の遊びがあって。悔しかったですよ、俺。アニメを観終わったあと“鎌倉STYLE”を口ずさんでいる自分がいて(笑)

矢部 悔しいよね(笑)。僕もうわあって思いました。

──ところでこの曲、ライブで披露するにしても相当難易度高そうな気がするんです。特にこのシャッフルのリズムをタイトにキープするのは骨が折れるんじゃないかなと。

 基本的に新井さんのアレンジは忙しいというか(笑)。ドラムに関して常に決めとフィルとで進むみたいな。結構ライブ演奏はきつかったですけど、それこそこの曲はライブでめちゃくちゃ育ちそうだなと思いましたね。DISH//の新たなロック像を、今後“プランA”でまた作っていけそうだなと思っています。

 ライブはすごく高いテンションでできました。ライブ一発目のときからすでに、曲が育ちきった姿が想像できたりもして、それはなかなか珍しいことだなと。

矢部 ライブでは初披露でしたけど、すでにアニメで聴いてくれている人もいて、頑張って一緒に合いの手を入れてくれようとしたり、それが楽しかったですね。今後はそれこそフェスで演っても盛り上がると思うし、僕らの武器になるというのが、すごくイメージできる初披露でした。


──テレビですでに流れているとはいえ、リリース前の楽曲をライブでいきなり初披露できるというのは、バンドとしての自信の表れでもあると思うし、今、バンドはすごくいい状態なんじゃないかと思えます。

北村 ライブのMCでも喋ったことなんですけど、僕たちが本当に10代のときからやりたかったことができるようになってきて、バンドに憧れていたバンドが、最近ではもう「これをバンドと呼ばずしてなんと呼ぶ」と思えるようになってるんですよね。ただ、やりたいことをやるというのは、僕たちがすべて責任をとる覚悟を持って進むということでもあって、そこで生まれる壁も当然ある。その壁をどう壊すのか、乗り越えるのか、別の壁を探すのか、なんでもいいんですけど、これからまた僕たちは新しい道に進んでいくんだろうなと思います。いい状況だからこそ、今後またすごく悩むんだろうなというのも想像できる。でもそのほうがわくわくするし、楽しいですよね。

──ポジティブな悩みが増えるということですね。

北村 そうですね。楽しく音楽をやれているという状況なので、今のDISH//はすごくいいと思っているし、あとは今後、僕たち自身がどう成功体験を重ねていくか。そのためにはいろんな人との出会いだったり、いろんな作品との出会いだったり、その一つひとつを大切にしていきたいですね。メンバーそれぞれ個々に活動していることもあるし、そこで何かを得ていくチャンスもあるだろうし。DISH//は本当になんでもやれるバンド。だからこそ選択肢が多すぎて悩むバンドなんだろうっていう(笑)。でもそれがすごくいいと思えるので。

矢部 うん。今いちばんいい時期だと思うんですよ。DISH//のメンバーは4人ですけど、応援してくださるスラッシャー(ファンの呼称)のみなさん、そしてスタッフ──ライブに関わってくださるスタッフさんも含めて、みんな合わせてDISH//だと僕は思っているんですけど、チームDISH//が今、すごくひとつになっている感じがあって、ほんとにとてもいい状態だなって思っています。

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