【インタビュー】令和版シティポップが癖になる3ピースギターレスバンド・ココラシカ──上質な音楽を奏でる18歳の新たな才能をひもとく

【インタビュー】令和版シティポップが癖になる3ピースギターレスバンド・ココラシカ──上質な音楽を奏でる18歳の新たな才能をひもとく

《朝からなにも食べてないけど/手は塞ぎたくないからさ/右手にジュース 今日はこれで我慢しよう》とか、私より女心わかってんじゃない?って(らな)

──新曲からも、ココラシカの個性と新しい可能性が伝わってきました。“最後の花火”はサウンドプロデューサーとしてagehaspringsの横山裕章さんが参加。3ピースにシンセを加えたアレンジは、みなさんにとっても新たなトライですよね?

こうき そうですね。3人の音だけでやるのも違うと思うし、成長し続けたい、さらによくなっていきたいという気持ちがすごくあって。今は協力してくれる人も増えたし、「他の音を入れてみたい」「いろんな人と一緒にやって、学びをもっと深めたい」というのもあったので、今回はプロデューサーの方にも入っていただきました。曲を作っている中で普段は「これでいいのかな?」みたいなことが結構あるんですよ。“最後の花火”ではプロデューサーの方が入ってくれたことで、自分たちらしさを出しつつ、新しい表現へリードしてもらった感じでした。

──“最後の花火”にはベースソロもあって。アレンジはどうやって形にしたんですか?

らな そこはだいぶ変化しているんですよね。最初の頃はこうきがデモを作って、そこにベースとドラムも入ってたんですよ。それを実際に弾きながら、軽く自分でアレンジするみたいな感じだったんですけど、受験のための活動休止期間を挟んで、ちょっとずつ変わってきて。「この3人でやるからには、それぞれのパートを自分で作れるようになったほうがいいよね」というか。“最後の花火”も、ある程度の形をこうきが作ってくれて、ベースラインやベースソロは自分で考えました。1回作ってみて、アドバイスをもらいつつ、話し合いをしながら。

こた ドラムのフィルインなんかも自分で考えてますね。曲を邪魔しない、聴いていて違和感のないドラムを意識して。

──らなさん、こたさんのプレイヤーとしての個性が反映されることで、さらにバンドらしさが増しているのでは?

こうき そうだと思います。高校に通っているときは制作の時間もそれほどなかったので、僕がほとんど作ってしまっていて。卒業して「ここからさらに本気で音楽をやりたい」というタイミングで、ベースとドラムのフレーズを考えてもらおうと思ったんです。なのでデモ音源も今はすごくシンプルにしてますね。


──曲を書くときは、メロディが先ですか?

こうき そこは場合によるというか、歌詞を先に書くこともあれば、メロディやコードが先のこともあります。“最後の花火”は全部が一気に出てた感じですね。ループのコード進行でめっちゃシンプルな構成だから、最初はこの曲をやろうと思ってなかったんですよ。ありふれてるし、簡単すぎる気がして。そういう曲って、あとでつまんなくなっちゃうんですよ(笑)。

──飽きちゃう?

こうき はい(笑)。でも、いろいろ考える中で、キャッチーなメロディとえぐいフレーズが合致したタイミングがあって。《最後の花火が上がる頃どんな/音が聞こえてるのかな》というサビもパッと出てきて、これを曲にしようと。そのあとは1日くらいでできましたね。歌詞は語感を大事にするタイプで。そのうえで意味をどうするか?という感じで作るんですけど、この曲はシンプルだから歌詞も考えやすくて。音にもハメやすかったですね。

──“最後の花火”は夏の恋模様が描かれていて。「君」への思いが女の子の目線で描かれていますが、こうきさん自身がこういう恋愛を体験したわけではないですよね?……って、決めつけちゃいけないけど。

らな (笑)。

こうき 確かに体験はしてないですね(笑)。恋愛ソングも結構書くんですけど、高校入ってから全然恋愛してないので。

──音楽ばっかりやってたから?

こうき そうかも(笑)。映画とかに影響を受けることはあるんですけど、まったく恋愛してないのに失恋ソングを書いたりしてました。主人公の気持ちになりきるのが得意なんですよ。小さい頃からの教育もあると思います。人の気持ちを考えることを大事にしている家庭だし、それが音楽にも出てるんじゃないかなと。

らな “最後の花火”の歌詞を見たときは、女の子がリアルに体験するようなことが書かれているなと思いました。《朝からなにも食べてないけど/手は塞ぎたくないからさ/右手にジュース 今日はこれで我慢しよう》とか、私より女心わかってんじゃない?って。

──作詞家っぽい書き方なのかも。

こうき そうなのかな。友達には「普段の会話の語彙力がなさすぎて、お前が歌詞を書いてるとは思えない」って言われてますけど(笑)。

【インタビュー】令和版シティポップが癖になる3ピースギターレスバンド・ココラシカ──上質な音楽を奏でる18歳の新たな才能をひもとく

令和版のシティポップをイメージしつつ、ココラシカらしさもドカンと乗っけたサウンドになったと思います(こうき)


──“溶けないで”はどんな成り立ちの曲なんですか?

こうき この曲はまずイントロからできたんですよ。“最後の花火”はある程度できあがったものをプロデューサーの方にお渡ししたんですが、“溶けないで”はイントロだけを送って「これを膨らませていきたい」とお話しして。曲のコンセプトとしては、夏っぽさがありつつ、恋愛を通じて「大人になることへのもどかしさ」や「葛藤」を描きたいと思ってました。高校を卒業して、大人に近づいているんだけど「大人になりたくない」「このままあなたを追いかけていたい」という気持ちだったり。“恋よ、踊り出せ”の第2弾みたいなイメージもありましたね。

らな 歌詞はこうきがまとめてくれたんですけど、その前にみんなで一緒に考えたんですよ。スタジオにこもって、みんなでいろいろ想像して、フレーズを出し合って。

こた みんなで歌詞を考えたのは初めてで。30分くらい目をつぶって、頭の中で主人公になりきって。そのあと、「この場面はこうだよね」みたいなことをホワイボードに書き出して、「こういうバンドの形もあるのかな」って。


──あんまりない形だと思います(笑)。そうか、曲が生まれる瞬間も共有してたんですね。

こうき はい。僕は音楽にアウトプットするのが得意なんですけど、その前の段階、「何を表現したい?」「この主人公はどんな気持ちだと思う?」みたいなことを3人で考えるのが大事かなと思って。

──サウンド的には80’sのシティポップのムードがあって。こちらは保本真吾さん(SEKAI NO OWARI、Official髭男dismなどの楽曲を手がけるプロデューサー)が参加していますが、エフェクトした声を使っていたり、やはり新しいアプローチが施されています。

こうき 僕らとしては山下達郎さんなどのシティポップを今の自分たちでそのままやってみたいという気持ちが強かったんですけど、保本さんが「今までにないシティポップを作ってみたくない?」と言ってくださって。令和版のシティポップをイメージしつつ、ココラシカらしさもドカンと乗っけたサウンドになったと思います。

らな 保本さん、ビンテージの機材もたくさん持ってらっしゃって。今まで触ったことがないような機材も使わせていただきました。Motown D.I.(1960年代のモータウン・サウンドを再現する機材)を使ってベースを弾いたんですけど、めっちゃ音がよくて。新しい進化につながったと思うし、すごく勉強になりました。

【インタビュー】令和版シティポップが癖になる3ピースギターレスバンド・ココラシカ──上質な音楽を奏でる18歳の新たな才能をひもとく

──9月15日には自主企画イベント「Summer Endroll」をLIVE STUDIO LODGEで開催されますね。そもそもライブは好きですか?

こうき 好きです! ライブにもこだわりたくて、すごくアレンジするんですよ、僕たち。そういうことをする人たちって「セッションが得意」とか「セッションバーに通ってます」みたいなタイプだと思うんですけど、僕らはそうじゃなくて。3人でやることを大事にしながら、同じことをずっとやるより、どんどん成長していきたいという気持ちが強いんですよね。次のライブでも原曲とは違うアレンジにしたり、同期の音を導入して、成長した自分たちの姿を見せるための準備をしています。

こた 次のライブは初の取り組みばっかりですね(笑)。

らな そうだね(笑)。ライブの在り方については、一時期、悩んでいたことがあったんですよ。最初の頃は「うまく演奏しなきゃ」とか「しっかり曲を聴かせたい」みたいな思いがあったんですけど、それだけじゃダメなんだろうなと思い始めて。うまく演奏する、きちんと聴かせるだけじゃなくて、「何を見せたいか」を考えるようになってから、より一層ライブが楽しくなったんです。お客さんの反応も変わってきて、ライブ自体をよかったと言ってもらえることも増えましたね。

こた 僕、ライブだと人格が変わるんですよ。

らな 間違いない(笑)。

こうき 急にバーッとテンションが上がるんです、いい意味で。

こた こうきはキーボードを弾いてるし、らなもそんなに動くタイプじゃないから、ライブになると「自分がなんとかして盛り上げないと」って(笑)。最初の頃はうまくいかなかったり、アガっちゃっりして、ライブ後はすぐ反省モードに入ってたんです。誰ともひと言も話さないくらい落ち込むこともあったんだけど、いろんな経験をする中で、だんだんと「このライブで、みんなに何を与えられるだろう」「どうすれば満足してもらえるか」というマインドになってきて。そこからさらに「ライブ大好き、お客さん大好き」みたいになって(笑)、今は毎回のライブがめちゃくちゃ楽しみになってます。

こうき いちばん恥ずかしがらずにハシャいでくれるタイプですね。

らな ライブを楽しんでるのが、めっちゃ伝わってくるよね。

こうき 家族がライブに来てくれることがあるんですけど、「こたの表情、めっちゃよかったね」って言われますね(笑)。

──“最後の花火”“溶けないで”で新たな音楽表現に踏み出し、ライブでも果敢にトライを続けていて。この先の可能性は無限だと思いますが、ココラシカの次の一歩はどうなりそうですか?

こうき 今は自主企画ライブに集中していて。観に来てくださったお客さんに、これからの僕たちに期待してもらえるようなライブをしたいと思っています。この先も、ずっとワクワクしてもらえるようなバンドでいたいですね。ココラシカらしさを軸にしながら、「こんなココラシカもあるんだ?」「次はどんなココラシカが見られるんだろう?」って思ってほしいという気持ちはめちゃくちゃありますね。

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