──そして、そのツアーファイナルのHanedaで来年10月15日に初の日本武道館ワンマンを開催することを発表して。バンドマンにとって一生で一度の経験なわけですけど、どうでした?バンドはアリーナで演奏する想定でやってるんです。そこに向かっていく途中だから、武道館は本当に通過点としてしか考えてない
その一生に一度の経験を忘れてました(笑)。
──「忘れてた」って言って慌てて発表してたね(笑)。
とにかくあの日は瞬間を生きるんだって思いすぎて。あのあと“カスミソウ”だったんですけど、俺はそこでみんなの感情を見ながら、俺が歌ったほうがいいのか、みんなで歌ったほうがいいのかみたいなことを考えてたら、武道館を発表することを忘れちゃってたんです。
──ははは。武道館っていう大きな目標が1個、来年に向けてはできたわけですけど、そこに対する気持ちはどうですか?
バンドはもうアリーナを目指してやってるというか、自分たちがアリーナで演奏する想定でやってるんです。そこに向かっていく途中だから、武道館は本当に通過点としてしか考えてない。でも、いざ発表したらその途端に実感がなくなったというか、「本当にやるのか」みたいな感じになって。気合は入ってるんですけど、まだちょっと実感がないですね。いきなりふわふわし出して。
──まあ、その前に長いライブハウスツアー(「This is LAST one man live tour 2026」)もあるから、まさに一つひとつ全力を尽くしていく中で実感が湧いてくるのかもしれないね。
そうですね。ロングツアーをやるたびにThis is LASTはすごく大きな変化をしてきたので、今の状態でツアーに入ったら、バンドがどれだけ変わるかなって。もしかしたらまた別人くらい変わるかもなって、自分たちに期待してます。
──まさにバンドとしてもここから「シェイプシフト」していくという──。
話のシェイプシフトが天才すぎますね(笑)。
──(笑)新曲“シェイプシフター”はツアーファイナルで初披露していましたが、この曲も今話してくれたような気持ちの変化が結果的に出たような気がしていて。自分としてはどうですか?
この曲はもうやり尽くしました。タイアップのお話をいただいて、第1稿からこの形になるまでに、それこそ何回もシェイプシフトしてるんですよ。いろいろな変化をしてここに行き着いているのでアイデアや気持ちを最後の最後までできる限り盛りに盛って、そこから削られて残ったみたいな感じで、大変難産な子でした。
──最終的に完成したこの曲には、今まで以上に菊池陽報という人が出ている感じがするんですよね。
ドラマサイドのテーマとして、「変わりたい人の背中を押していきたい」っていうのがあって、そこに対して自分なりのテーマを持とうと思って書いたんです。ちょうど自分の変化についてすごく悩んで考えている時期だったので、自分の心が変われば未来が変わっていくということに対して、希望を持てたらいいなって。だから、ちょうど自分のそのときの悩みとリンクしてたこともあるとは思います。そこから、音楽的な理論でどうやって表現するか、歌詞として表現するかを考え始めました。
──サウンド的にはソウルっぽい雰囲気もあるけど、このグルーヴィな感じは今までやってこなかったですね。“シェイプシフター”は、いろいろなものに変化する妖怪の名前から取ったんですけど、変化することを楽しめる存在っていいなと思って。変わっていくことに対しての葛藤とか恐怖があったりするのは当たり前で、でも楽しいって思ってほしい
やってなかったですね。これもドラマサイドとの会話があったからこそ行き着いた先でした。自分ひとりで作ってたら、絶対この形は作れなかったなって思います。ギリギリまで大丈夫か?って思ってたんですけど、最終的にはすごくいいものになって。今までになかった出会いと、出会った人からもらった今まではなかった言葉が、この曲が生まれるきっかけになったと思います。
──そういう意味ではすごく新鮮ですけど、最近のThis is LASTが曲でやっている実験とは違う感じがします。
確かに、この曲に関しては実験をしてるというより実験を繰り返してきたことの一旦の研究結果みたいな感じです。変わっていくことを3分半の中でどう出せるかを考えましたね。サビの転調はもうちょっと気持ちいい転調があるんですけど、あえてそこではなく遠隔調という、元のキーからするといちばん遠い調に飛んでるんです。変わりたいって思ったときって、変わりたい先が遠く感じるんですよね。それを音楽的にどうやって表現できるかを考えてそうしたんです。
──音楽的にやりたいことと、メッセージとして伝えたいことがすごくいい形で融合しているよね。
本当にいろいろ計算して作ったけど、ちゃんとハートで通しましたね。ハートが乗っかってるのは、すごく大きいかなと思います。
──ハートという意味では、歌詞でも人の不器用な部分だったり、変わりたいけど変われない部分だったりに対してすごく優しい眼差しを向けているじゃないですか。今まではもうちょっと自虐にいっていたようにも思うけど、この曲はそれがない。
そうですね。ポジティブには持っていきたいなって気持ちがありました。あと、“シェイプシフター”というタイトルは、いろいろなものに変化する妖怪の名前から取ったんですけど、自分的には結構遊び心でつけたんですよ。いろんなものに変化することを楽しめる存在っていいなと思って。変わっていくことに対しての葛藤とか恐怖があったりするのは当たり前で、それはついて回ることなんだけど、でも変わっていくことは楽しいって思ってほしい。そっちにフォーカスしてほしいなって思ったんです。
──拳を握りしめて気合全開で「変わるんだ!」みたいな感じじゃない。
そこまでやっちゃったらもう、ゴリゴリバンドしてます。“ディアマイ”みたいな曲を書いてると思う。
──だから、今まではそうしてきたよね。
でも今回は、いろんな観点──音楽的な観点、時代的な観点、メロディの観点、歌詞の観点から見て、ちゃんとハートに行き着くように作れましたね。
──音楽的な挑戦をしていくうえで、This is LASTとしての芯みたいなものが1本通ったような手応えが、この曲にはある気がします。
自分が実験的にいろいろやってきたことが、この曲を皮切りにふんだんに使われそうな気持ちがしてきましたね。それが楽しくなってきてるのもあるんですけど、やりすぎないようにしようとは思ってるんですけどね。あくまでわかりやすい楽曲であるべきだと思うから。
このインタビューの完全版は、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』12月号に掲載!
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