This is LASTの楽曲を聴き、ライブを観て、インタビューをするたびに、実は僕にはちょっと引っかかるところがあった。簡単に言えば、バンドとしての理想像や音楽的な理論が先走って、もっとシンプルなところが置いてけぼりになりかけているようなアンバランスさを感じていたのだ。もちろん菊池陽報(Vo・G)が考えに考えを重ねることで前に進んできたミュージシャンであることも知っているのだが、理想や理論を強調してしまうと、彼らのパッションとか人間臭い部分が見えづらくなってしまうんじゃないか、と勝手な心配をしていたのだ。だがそんなこと、当人はとっくに百も承知だったらしい。9月から行われたZeppツアー「Roots」にも、ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の主題歌として書き下ろされた新曲“シェイプシフター”にも、そんなモヤモヤに対する明快な回答があった。来年10月には初の武道館ワンマンも決定。その頃にはひと回りもふた回りも大きくなったLASTに出会えそうな予感がしている。自分の心が変われば未来が変わっていくということに対して、希望を持てたらいいなって
インタビュー=小川智宏 撮影=川島小鳥
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年12月号より抜粋)
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