あいみょんはすごい。新曲が届くたびに(アルバム収録曲や、シングルのカップリング曲も含めて)、名曲だこれまた名曲だと喜んできたが、キャリア10年、ここにきてのこの瑞々しさの源は一体なんなのだろう。“マリーゴールド”以来の、タイアップを前提としない新曲ということだが、名曲だらけのあいみょんディスコグラフィーにおいても、”ビーナスベルト”のクオリティ、楽曲全体、その一分一秒から溢れ出す芳醇な満足感は格別だ。やっぱり、私といえばこれなんだよなって。いわゆる王道のJ-POP。こういう曲を出したいって、常々思ってる
これぞ王道。これぞJ-POP。これぞスタンダード。最高峰のメロディが、一本の糸のように滑らかに紡がれていく。あいみょんはこの楽曲を、《明らかに染まる》というワンフレーズを思いついたことで、一気に書いたという。
夕陽に照らされた公園の一角、砂場についた足跡、優しさと思いやり、そして相手への好きさが交わる思惑の交感。誰しもの懐かしさと逃れようのない切なさが押し寄せる夕暮れの一瞬──。ほとんど完璧な「物語」である。あいみょんはこのあまりに普遍的な情景を、ワンフレーズから一気に書いた。この素晴らしいメロディを含めて。
まるで奇跡のような所業だと思う。あいみょんが育んできた才能がその才覚のすべてを挙げて、この楽曲を生み出すために動き、そして脳内で並べられた言葉と旋律がはじまりから順々に紡がれて、あいみょんの歌を通してまるっと伝達されてくる。その源を探るにただただ神秘的な現象とのこんな邂逅こそ、音楽を聴く喜びだと僕は思う。
よくいう「ゾーン」という言葉で語ることもできるが、それ以上に、あいみょんと音楽の関係がひたすらに深まっている、相思相愛がひたすらに深まっていると語るほうが素敵だと思う。あいみょんに、その「深まり」について語ってもらった。
インタビュー=小栁大輔 撮影=大野隼男
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年12月号より抜粋)
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