【JAPAN最新号】心の濁流を越えて見つけた「透明」な愛のかたち──傑作『DEAR MYSTERIES』のすべてを語る、TOMOO初ロングインタビュー

【JAPAN最新号】心の濁流を越えて見つけた「透明」な愛のかたち──傑作『DEAR MYSTERIES』のすべてを語る、TOMOO初ロングインタビュー

人のことを愛せない、誰のことも通り過ぎてしまった、
木立を抜けるみたいに誰の影も通り抜けて、通り抜けて、
過ぎ去った景色みたいに置いてきてしまった時、
何が残ってるんだろう自分は、自己愛だけが残ってる、ああ、限界って思った

TOMOOは「愛」を歌うアーティストである。
もっと言えば、人として生きる限り目を背けることのできない「愛」という不確かなものに、身を削りながら肉薄し、その本質を描き切ろうとするアーティストである。だからこそ、楽曲には世代も時代も超える普遍的なパワーが宿り、リリースから時が経っても体温を失わず、聴き手とコミュニケーションし続けることができる。
2年前にリリースされた1stアルバム『TWO MOON』がロングヒットを記録し、タイアップや対バンオファーが相次ぎ、瞬く間にポップシーンの中心へと躍り出たことがその証左だ。

当然、2ndアルバムへの期待は大きい。しかし、11月12日にリリースされる『DEAR MYSTERIES』は、その期待を軽々と飛び越える傑作だと断言できる。豊潤なバンドアンサンブルと、そこに織り込まれたミニマルな美学。そして何より、アルバムを通して紡ぎ出される「愛」が、『TWO MOON』のフィロソフィーを継承しながらも、より内面的でディープなものとして結実している点が大きい。
アルバム前半では、少し俯瞰した場所から「愛」を見つめるような開かれたメッセージを響かせ、後半ではその視点がぐっと近づき、息づかいまで聴こえるような親密さと湿度を帯びていく。特に、重たいピアノの打鍵とともに熱情が迸る新曲“Lip Noise”は、愛せない自分を突きつけられた瞬間の痛みと、それでもなお誰かを想おうとする衝動がせめぎ合う、魂の臨界点のような壮絶な1曲だ。

「愛」という言葉が安易な共感ワードとして消費されがちな現代において、TOMOOは問う。他者への愛を装った自己愛ではない、本当の「愛」とは何か──。その気が遠くなるような問いを抱えながら、心の中の濁流を越えてTOMOOが見つけたのは、「透明」という心のあり方だった。アルバムの核をなす「透明」という言葉を手がかりに、TOMOOが描く「愛」の真実に迫っていきたい。

インタビュー=畑雄介 撮影=岩渕一輝(TRON)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年12月号より抜粋)


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