──ちなみに、この曲ができたのが大きかった、みたいな曲もあります?完全に“マッパ・ノ・オウサマ”です。もう2日に1回くらいレコーディングをしないと間に合いません、みたいなギリギリのスケジュール感になった時に、レコーディングから帰ってちょっと寝てから朝までかけて一曲書いて。“マッパ・ノ・オウサマ”の歌詞をケリー・ローランドの“Work”のインストに乗せたものを満身創痍で録ったら、むっちゃくちゃダサくて(笑)。でも、すごく長い間一緒にやってるNoconocoさんが、そのダサい没テイクを元に無茶苦茶かっこいいビートを作って持ってきてくれたんです。それでできたのが“マッパ・ノ・オウサマ”で。一度ゴミ箱行きだと思った曲をサルベージして、金ピカのマッチョにしてくれた。リリックとしてもラップが多いという点でも、アルバムに“マッパ・ノ・オウサマ”が入ったことで太い筋が通ったと思います。やっぱり自分は自分で光ってるわけじゃないなというのを痛感したし、この一曲のおかげでとんでもなく救われましたね。どの歌詞が好きですか?って言われたら、俺は“マッパ・ノ・オウサマ”をいちばんに挙げるかも。──これまでの歩みで感じてきたことや経験もちゃんと昇華できてる気がします。だと思いますね。HIPHOPっぽくないって言われても、もう響かなくなってきて。僕は僕でいい理由を見つけてメジャーでやっている最中なので。だからこういう毒というか、火を吹くのは最初で最後かなとも思います。でも、その感情をパッケージできたのはめちゃくちゃ大きいです。HIPHOPっぽくないって言われても、もう響かない。僕は僕でいい理由を見つけて、メジャーでやっている最中なので
──《為末北島ボルトイアンソープ》よりも。《チーター》よりも速いっていう(笑)。やっぱり、すごくかっこいい人だなって。──からの《それ残像だよーん♡》ですからね。やられちゃいました。あれ、やられポイントですよね。「ええー!? 残像かよぉぉ?」って(笑)。この曲がアルバムで最初にできたんですけど、これは「速すぎて見えない目まぐるしいキャリア、どんとこい!」というところからどんどん苦しくなってきて、でも負けられないよねっていう物語なんですよね。やっぱりアルバムに一貫性はあるかもしれないです。アルバムの1ページ目に相応しい曲になってると思います。
──もうひとつのフィーチャリング曲は“イッツ・ア・ニューデイ(feat. MONKEY MAJIK)”ですけど、これはどういう経緯でしょうか?自分が10代の頃、MONKEY MAJIKの“空はまるで”がリリースされたんですけど、実家に同居してる叔父がずっとアラームに使っていて。近くで寝てるもんで「この曲めっちゃかっこいいな」と思いながら目覚めてた時期が長くあって。それで、時を経て自分で音楽を聴くようになって、MONKEY MAJIKに辿り着いた時に「あ、あの時聴いてた“空はまるで”の人やんか!」って気づいたんです。めちゃくちゃかっこいいなって。──そこで繋がったんだ。だから、いつか一緒にやりたいと思ってました。MONKEY MAJIKがオファーを受けてくれることが決まって、叔父のアラームのことをメンバーにお話ししたんです。アラームって本来は夢から覚めるものじゃないですか。でも、夢から覚める時に聴いていたMONKEY MAJIKと今こうして曲を作れるっていう事実には、逆に夢が叶うアラームが鳴ったような感覚もあって。それで「アラームをテーマに書きませんか?」って言ったら、「めっちゃいい話じゃん!」ってすごく喜んでくれて。《魔法のアラームが/夢の夜明けに弾け飛ぶ》はそういうことです。さらに、皆さん粋なのが、“空はまるで”が好きならサンプリングしようってなって、《まるで君はあの日のまま/青く澄んでいつまでも》は“空はまるで”の歌詞の引用なんですよ。時を超えて同じ色の空っていうのがもう、むちゃくちゃエモくて。あの曲を聴いてた20年前の僕と同じビートの上で、同じ空の下で歌ってる、みたいな……なんか、ラップしててよかったなって。“空はまるで”を聴いてた20年前の僕と同じビートの上で、同じ空の下で歌ってる。ラップしててよかったなと思いました
──そんな思い入れもあるアルバム、改めてどんな作品になったと思いますか?メジャーのスピード感の厳しさを教えてくれたアルバムだという、結局はそこに行き着くんですけど。でもやっぱりこのアルバムを経て、アーティストとしての楽曲との向き合い方はひとつ変わりました。曲ができない時どうするかと問われたら、四六時中曲のネタ探しをしているべきですよねっていう、すごく厳しい意見になる。でもそれがメジャーだろうなっていう。自分がいる場所はまだ三合目ですから、高みを目指して登っていくことをやめたら終わってしまうなっていうのを思い知り……3年以内に国立競技場でやるために、もっと光の速さで作るっていう。だから次は『ザ・ライト2』でいきたい(笑)。このアルバムはいいも悪いも酸いも甘いも詰まってて、そういう意味ではすごい財産ですね。これを聴くとメジャーアーティストとしてのあるべき姿を思い出させてくれると思います。──ぴあアリーナMMでのライブも目前ですけど、そっちはどうですか?こんなに辛い制作期間でバシバシ曲作ったら、やっぱりワンマンってほんまにご褒美やなっていうか。ただのご褒美として手放しで楽しむのが正義で。俺を好きな人だけが観にきてくれてる、そんな最高なライブで「リハーサルが辛いです」とか思いたくもないから。もうめちゃくちゃ楽しいのはわかってるので、制作が辛かった分、こっから先は楽しませてもらいます!って、すごく前向きな心持ちになってます。──ご褒美タイムとして存分に照らしてくれ、と。そうです。ご褒美タイムに食べる果実の蜜を、今めちゃくちゃ溜め込んでるというか。やっぱりライブは戦いなんで──俺とお客さんのどっちが楽しめるか。俺はライブで裸になってますけど、お客さんも脱ぎ出したら勝ちだなっていうか、もう一個ステージ上がるなって想像してるんで、そこまで行ってみたいです。