これまでに何度もワンマンライブという場を踏んできているような気がしていたのだけど、「こんなにたっぷり時間をもらうことがないので」と、桃野がMCで言っていたように初めてのワンマンを行ったのが今年のことだから、そんなに多くの場数を踏んできたわけではないのだ。考えてみればメジャー・デビューからまだ1年半足らず。対バンライブでの短いセットでひたすらライブをこなし、その間ワンマン・ツアーを2回行い、その度に経験を積み重ねてきた2008年のmonobright。彼らの現在(いま)を凝縮したアクトだったと思う。と同時にこれからへ進むための通過点とも言えるライブだった。
初の赤坂BLITZということで、演出にも気合いが入っていた。ライブタイトルは『なるほど!ザ・ブライト 秋の祭典スペシャル』。ステージを覆う白幕にはご存知あの『なるほど!ザ・ワールド』をパロッた映像が流れオープニングを盛り上げる。“あの透明感と少年”のイントロがかき鳴らされると4人の影が大きく映し出された。よくある演出だけど、monobrightの影はなんかかっちりと4人のフォルムがキマってるなあと思った。そして、あの白幕がバッと下りる瞬間のドキドキ感もちょっと特別だった。
“あの透明感と少年”みたいなポップで爽快なナンバーから、一気にうねるような癖のある“週末アンセム”のようなロックナンバーへと引き込んでいき、会場はみるみるmonobright色に染まっていく。桃野が何か動きを見せる度に大歓声が上がり、いつものように水を飲むだけで一気コールもかかるし、空回りなMCもいつもどおり。でも、何度も繰り返すように桃野は言っていたが、相当緊張していたようだ。その緊張を相変わらずな下ネタと絡めたりもしていたけど、ちゃんと「2008年のベストアクトをします!」と堂々宣言した。
中盤は聴かせるナンバーでガッチリと固める。桃野が高校生の時に好きな女の子にもらったプレゼントから生まれた歌“魔法のライター”では、桃野はアコースティックギターに持ち替え、松下はバイオリンのように弓でエレキギターを弾いてアイリッシュ風サウンドを奏でる。そのまま“夏メロマンティック”に流れていき、これでもかと言わんばかりにオーディエンスを切ない想いにさせたかと思えば、ジャジーにアレンジされた“幽霊”のような妖しいロック・ナンバーでオーディエンスを惑わせる。そして、この会場を最もしんみりさせた最新シングル“涙色フラストレーション”。10代特有の不安や焦燥感、自らの存在意義を問うこの歌と自分を重ね合わせるように、オーディエンスが微動だにせず静かに聴き入っていたのが印象的だった。
そんなおセンチ・ムードから一転、「先月、『涙色フラストレーション』をリリースしたからって、いつまでもめそめそしているようなバンドじゃないんですよ。僕らはね、地獄のような顔をした悪魔のような存在です。もっとみんなを踊らせたいです!地獄のようなダンスミュージック・タイム!」と叫んで後半へ突入。“未完成ライオット”“WARP”の流れで4人のハイテンションぶりにフロアはハイジャンプで応戦! 最高潮を迎える。瀧谷の重厚で安定したドラミングと出口のグイグイ引っ張っていくようなベース、リズム隊の音圧がとにかく凄い。ワンマンならではのそれぞれのソロ演奏も挟んだメンバー紹介を経て、ラストは“頭の中のSOS”でフロアを熱狂の渦に巻き込んだ。
アンコールでは、なんと桃野がドラム、出口がギター、松下がベース、瀧谷がギター・ボーカルという編成で“ハイスクールキュンキュン”を披露。桃野がイントロのドラムを叩くと、瀧谷が若干照れながら歌った。元の位置に戻るのかと思いきや、観客からの「もう1回!」というアンコールで再び、同じ編成で“ハイスクールキュンキュン”を演奏。ワンマンならではのサプライズもたっぷり。最後には09年1月14日にシングル・リリースされる新曲“アナタMAGIC”もフルサイズで披露し、現時点でのmonobrightのすべてを出し切った。
すべてが終わった後、桃野はしばらくモニターを抱えるようにしてうずくまっていた。もう動けないほどに全部を出し切ったのだ。フラフラしながらステージを去っていく桃野。09年のmonobrightはこのライブでの経験からまた始まっていくんだろうなと思わせる、これからに繋がっていくライブだった。(阿部英理子)
1.あの透明感と少年
2.歌舞いた魚ディスコ
3.週末アンセム
4.デイドリームネイション
5.雲男
6.魔法のライター
7.夏メロマンティック
8.道標側ソウル
9.幽霊
10.学校
11.まぼろし
12.涙色フラストレーション
13.E
14.バタフライングリップス
15.未完成ライオット
16.WARP
17.バリアバニラ
18.頭の中のSOS
アンコール
19.ハイスクールキュンキュン
20.アナタMAGIC
21.R+C