NICO Touches the Walls@Zepp Tokyo

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ニコ タッチズ ザ ウォールズ、全開! この日のアクトを一言で表すなら、そんな言葉になるだろうか。8月19日に2度目の日本武道館ワンマンを控えたNICO Touches the Wallsによる、東名阪Zeppツアー「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ゼップ」ファイナルとなるZepp Tokyo公演の2日目である。今年2月に初のベストアルバム『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト』をリリースし、20日間の篭城型ライヴ『カベ ニ ミミ』を開催した彼ら。そんな大きな節目とチャレンジの季節を経て迎えたこの日のステージには、ここに来てなりふり構わず衝動を剥き出しにするに至った彼らの「今」が、古い曲も新しい曲も、メジャー曲もレア曲も一緒くたに披露されたアクトによって、堂々と刻みつけられていた。

開演時刻の17時ジャスト。軽快なケルト音楽のSEに乗って、白と黒のTシャツに身を包んだメンバー登場。「トーキョー! 今夜も一緒に遊んじゃいますか。準備はいいかぁー!?」と初っ端から声も掠れんばかりに叫びまくるのは、光村龍哉(Vo・G)である。そのまま古村大介(G)のメタリックなギターフレーズから“ローハイド”へ突入すると、ステージ背後のドレープ掛かった赤いカーテンが切って落とされ「ニコ タッチズ ザ ウォールズ」のバックドロップが露わに! 砂埃を上げて荒野を爆走するようなパワフルなサウンドに乗せて、熱い拳がフロアで突き上がっていくさまは壮観である。続く“Broken Youth”では、一転して青く硬質なサウンドがスパーク。さらに複雑な曲展開の中で4人の音が妖しく絡み合う“チェインリアクション”、攻撃性たっぷりの“マトリョーシカ”とノンストップで畳み掛け、アップダウン激しいジェットコースターばりに変化に富んだ情景をスピーディーに見せていく4人なのであった。

NICO Touches the Walls@Zepp Tokyo
NICO Touches the Walls@Zepp Tokyo
「このZeppツアーは、僕らが今聴いてほしい曲をひたすら皆さんにお見舞いするツアーです。昨日とはガラッと曲を変えてお送りします」という光村の挨拶に続いて、「超久しぶりにやる曲」とスタートしたのは1stアルバム収録曲の“anytime,anywhere”。さらにベスト盤に収録された新曲“パンドーラ”、3rdアルバムの“サドンデスゲーム”と、新旧入り乱れたセットリストでライヴは進んでいく。とはいえ、その展開が目まぐるしすぎて感傷に浸っている暇などない、というのが正直なところ。先述した光村の言葉通り「ただひたすらに」曲を叩きつけていく4人の姿には、バンドのキャリアを総ざらいしているという感覚よりも、バンドの「今」を鳴らしているという気概に満ち満ちていた。古い曲も新しい曲も、今の彼らにしか鳴らせない音になっているとでも言おうか。とにかく「4人で音を鳴らすのが楽しくて仕方ない」というような自由で野性味あふれるエネルギーが、どの曲にも宿っていたのだ。2月の『カベ ニ ミミ』では、20日間にわたり過去のリリース曲すべてを演奏し切った彼ら。そこで自らのキャリアに真正面から向き合ったことで、すべての曲に新鮮な息吹が与えられたのだろう。初期衝動剥き出しの“有言不実行成仏”も、宇宙規模の広がりを見せる“夏の大三角形”も、熱い血がドクドクと脈打つ地続きの音楽として力強く鳴っていたシーンは、特に圧巻だった。

NICO Touches the Walls@Zepp Tokyo
“夏の大三角形”のアウトロでは光村/古村/坂倉心悟(B)それぞれの前にドラムが持ち込まれ、メンバー全員での祭り太鼓でフロアを圧倒。そして「こういう大きい会場ではなかなかやれない曲もやっています。次の曲も今だからこそ聴いてほしい曲です」と披露されたのは、インディー時代の2007年に限定生産され、今では入手困難となっているCD『Eden』に収録された“雲空の悪魔”だ。真っ直ぐ上昇していくエモーショナルなメロディと、濃密に絡み合うスローテンポのグルーヴが印象的なこの曲。メジャー・デビュー以前から確かな演奏力と奥深い歌心で円熟の音世界を描いてきたNICOのポテンシャルの高さを物語る名曲である。さらにステージ上で炎がメラメラと燃える中、渾身の勢いで放たれた“武家諸法度”からクライマックスへ向けて猛ダッシュ! “夜の果て”では光村の伸びやかなシャウティング・ヴォーカルが届けられ、“THE BUNGY”では対馬祥太郎(Dr)の前のめりなビート上で、光村/古村/坂倉の掻き鳴らすフレーズが壮絶なデットヒートを繰り広げる。そして梅雨の中休みとなったこの日の天候を祝福するような“ニワカ雨ニモ負ケズ”を爽やかに打ち放った後は、“demon (is there?)”で本編終了。ステージ後方から放たれる真っ白な光を背負って威風堂々としたアンサンブルを奏でる4人の姿が、とにかく格好よかった。

NICO Touches the Walls@Zepp Tokyo
NICO Touches the Walls@Zepp Tokyo
アンコールでは、まずは「2014年最強のダンスミュージックが出来上がりました」と最新シングル“天地ガエシ”を投下。ケルト音楽のエッセンスを盛り込んだ疾走感抜群のサウンドに乗せて、まさに天地が引っくり返るような狂乱空間と化したフロアでは、彼らのライヴにしては珍しいサークルモッシュがあちこちで形成されていく。さらに「いろんな曲があって、たぶん日本一変なバンドが俺らだと思います。不格好で不器用なバンドかもしれないけれど、その泥臭さで日本を引っくり返そうと思います。だから俺らについて来い!」という光村の宣誓に熱い拍手と歓声が向けられたところで、盛大なハンドクラップが響きわたった“手をたたけ”、ひときわ力強い拳が振り上げられた“N極とN極”と連打してフィニッシュ。「武道館で待ってるぞ!」という絶叫と共に、最後はメンバー手を繋いでの一礼で2時間強のステージを締め括った。

キャリアを経るごとに新たなテーマを見出して、明確なコンセプトのもとに新作をリリースしてきたNICO Touches the Walls。その過程を通して日本きっての幅広い表現を獲得するに至った彼らの「今」が、とにかくバラエティ豊かな楽曲とともに艶やかに花開いたステージだった。何より素晴らしかったのは、この日プレイされた全ての曲が確かな自信と鮮烈さのもとに生き生きと鳴っていたことである。前日のZepp Tokyo公演はもとより、すべての公演がまったく違うセットリストで展開されていたという本ツアー。しかし今の彼らなら、どんな曲をやっても聴き手の歓喜を底から突き上げるような大きな興奮を生み出すことができる。そんな想像が容易にできたし、このツアーを発火点として8月の武道館では更なる大きな爆発を遂げてくれることだろう。今になって思えば、スーツスタイルが慣例だった最近になってTシャツ1枚でステージに立つ回数が増えているのも、よりガムシャラに音楽と向き合いはじめている証拠。デビュー当初から彼らの武器であった創造上のポテンシャルの高さに加え、結成したてのバンドのような自由で野性味あふれるエネルギーを全開にしはじめた彼らは、今まさに無敵のレベルに到達したと言える。(齋藤美穂)

■セットリスト
01.ローハイド
02.Broken Youth
03.チェインリアクション
04.マトリョーシカ
05.anytime,anywhere
06.パンドーラ
07.サドンデスゲーム
08.夢1号
09.鼓動
10.有言不実行成仏
11.夏の大三角形
12.雲空の悪魔
13.武家諸法度
14.夜の果て
15.THE BUNGY
16.ニワカ雨ニモ負ケズ
17.demon (is there?)

(encore)
18.天地ガエシ
19.手をたたけ
20.N極とN極
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