all pics by 柴田恵理4月頭から3か月間、全国25公演で繰り広げられてきた、フラワーカンパニーズの「フラカン結成25周年ワンマンツアー『4人で100才』」。リキッドルーム2デイズの2日目、つまりファイナルのダブルアンコールに応えようというとき、竹安堅一(G)が「最後だから訊きたいんだけどさあ! 『4人で100才』って、なんで足しちゃったの!?」と、詰めかけたファンを代表するかのように疑問を投げ掛けていた。それに対してリーダー=グレートマエカワ(B)。「4人足したら、本当は177才じゃんねえ(笑)。昔、学校の集会で、1人のやつが1分だけ遅れたのよ。そしたら○○先生が、××人集まってるんだから××分遅れたのと同じだ!って怒ってて。みんな、ん?ってなって(笑)。それがおもしろくてさあ、いつか使おうと思ってたの」。まあ、脱力感を禁じ得ないというか、真実は得てしてこういうもの、という話ではある。しかし、肝心のライヴの内容はと言うと、これがもう素晴らしすぎた。激情を迸らせつつ、鉄壁の4ピース・アンサンブルに支えられた、これが不動の4人×25周年=100才のフラカンだという、全編ハイライトのステージだったのである。


4人が揃ってオーダーメイドしたというブラックのスーツ(デザインはそれぞれに違っていて、マエカワはダブル)を纏い、オーディエンスの喝采を浴びて姿を見せたフラカン。鈴木圭介(Vo)の「フラワーカン@$△*%#——!!、『4人で100才』、最終回〜っ!!」という勢い余ってよく分からなくなっている第一声、そしてけたたましくブルース・ハープを吹き鳴らして披露されるオープニング・ナンバーは、ファースト・シングル曲“孤高の英雄”だ。《空が茜色に染まっていきます/そろそろやらねばなりません/いろいろお世話になりました/達者で暮らしてください》という歌詞が、25周年の舞台に映えてグッとさせられる。続いてゴリッゴリのサウンドにオーディエンスの掌が揺れ、自然発生的にシンガロングが立ち上がる“煮込んでロック”、アグレッシヴに搔き鳴らされる竹安のギターに導かれた“BELLBOTTOM JACK”と続き、序盤からこんなに飛ばして大丈夫か、といった思いが脳裏を過るのも束の間、早くもエモーショナル日本語ロックの金字塔“深夜高速”が投入されてしまった。25年を経てなお、生の実感を摑み取るために渇望し、大きな身振りを交えながらグルーヴを乗りこなして歌う圭介である。


そんな圭介がスーツについて思いつくままに語るMC(オーダー時に、手を挙げたりターンしたりというステージ・アクションを執拗に伝えていたことやら、着るのはまだ3回目で減価償却してないから破るわけにはいかないことやら、前日に汗だくになったけどファブリーズって凄いよね、という話やら)を飛ばしまくり、そこにマエカワが「シマヘビ」(圭介のネクタイ柄を指して)と身も蓋もない一言ツッコミを入れながら、ステージは進む。筆者はリキッドルーム初日を見逃していたのが悔やまれるのだが、歴代のアルバム曲も交えて濃密なセットリストを組み上げ、勢いを殺すことなく4人の音と声がくっきり浮かび上がる、そんなベテラン・バンドの頼もしいパフォーマンスだ。突き飛ばすように前のめりなビートから、ふんぞり返るようなタメを効かせたビートまで、歌心を捉えながら自由自在に打ち鳴らされるミスター小西(Dr)のプレイも最高である。「21世紀に入って4回ぐらいしかやってないんじゃない?」「でも昔、ロッキング・オン・ジャパンの兵庫さんも、これは凄いよって言ってた」というセカンド・アルバム収録の“紅色の雲”も、一体どこのスタジアム・バンドかという迫力の名演であった。
そして、“ロスタイム”“ビューティフルドリーマー”“246”“エンドロール”という、雄弁なサウンドの広がりと作曲経験値が落とし込まれた、近年の楽曲群が並ぶ時間帯。インディーズ時代に粘り強く生み出して来た楽曲群が、フラカンへと寄せられる信頼感をより大きなものとし、そしてメジャーで再出発して「大人のロック・バンド」として戦い続ける現在進行形の姿が、今を生きる人々に寄り添う。25周年ツアーだからといって懐古的にはならない、25年分のキャリアが今この場で花開いているという手応えが、なんとも素晴らしい。途中、「唯一、友達の結婚式とかで歌える歌」として披露された“君のこと”も、そのノスタルジックな情景がキャリアのぶんだけ、味わいを増していた。「ファイナルなのに、初めてやる曲がある(笑)。今が、一番いい感じでツアーをやれてます(竹安)」「こんなにたくさん集まってくれて、続けてやってて良かったなと思える(小西)」といった言葉の端々からも、山あり谷ありのフラカンでしかありえないキャリアが滲み出ていた。

本編終盤は、賑々しいコーラスを巻いて走る“馬鹿の最高”、汗まみれで必至な生き様がサンバ・グルーヴと手を取り合う“ラララで続け!”、満場のOIコールを浴びてヒート・アップする“俺たちハタチ族”、そしてコメディ映画のハッピーエンドを観ているかのような光景だった“チェスト”と、アッパーな楽曲群で駆け抜ける。「燃え尽きる」といった感じではなくて、周到に打ち立てたプラン通りに戦って、勝つ。25年分の楽曲が戦略的に配置され、ライヴ一本分のストーリーを形作る、そういう本編フィナーレであった。そう、フラカンらしい完全燃焼を見せるのは、アンコールに入ってからだったのだ。再登場するなり暗転したステージから放たれた“東京タワー”の、分かっていても涙を禁じ得ない絶大なエモーション。そして一気にレッド・ゾーンへと振り切れる“白眼充血絶叫楽団”から“最高の夏”の爆走ぶり。更にダブルアンコールにも応えると、マエカワは早くもこれからのフラカンの季節に踏み出すような白いオーバーオール姿に着替えており、「もう俺はあとは踊りたいだけなんだ!」という圭介の煽り文句と共に繰り出される“真冬の盆踊り”でフロアを跳ね上がらせ、最後には“サヨナラBABY”も届けられてフィナーレを迎えるのだった。「25年間ありがとう!、これからも続くぞー!」「永遠に、普通の男の子には戻りません!」と宣言した圭介は、言ってから恥ずかしくなったのか、顔面を掌で覆い隠してしまっていた。
今後も、年内にアコースティック・ツアー、真心ブラザースとの両者25周年企画ライヴ、そして対バンを交えた新ツアー(詳細はこちらのニュース記事を→
http://ro69.jp/news/detail/105041)と、25周年のスケジュールががっつり埋め尽くされているフラカン。竹安が語っていたように、本当にライヴそのものが充実していることを、観る側にも伝えて嬉しくさせられる。ROCK IN JAPAN FES. 2014では、初日の8/2(土)、11:40からPARK STAGEにて出演予定だ。こちらもぜひお楽しみに。(小池宏和)
■セットリスト
01.孤高の英雄
02.煮込んでロック
03.BELLBOTTOM JACK
04.深夜高速
05.人生GOES ON
06.スマイル
07.はぐれ者讃歌
08.世田谷午前三時六分
09.紅色の雲
10.ロスタイム
11.ビューティフルドリーマー
12.君のこと
13.246
14.エンドロール
15.馬鹿の最高
16.ラララで続け!
17.俺たちハタチ族
18.チェスト
(encore1)
19.東京タワー
20.白眼充血絶叫楽団
21.最高の夏
(encore2)
22.真冬の盆踊り
23.サヨナラBABY