宇宙まお×BOMI×小南泰葉@TSUTAYA O-nest

「現実のことなんてわすれてしまえ! みんなを宇宙に連れていくぞー!」とはしゃぐ宇宙まおの弾ける笑顔と掛け声――宇宙まお初の自主企画「宇宙ツアーズvol.1-女子旅編‐」が、TSUTAYA O-nestで行われた。1stフルアルバム『ロックンロール・ファンタジー』が発売された今年の春頃から構想をしていたという本企画。「最初に呼ぶなら絶対この人だと思った」との宇宙まおからの熱烈なラヴコールに応えたのは、小南泰葉とBOMIのふたり。若き女性シンガーソングライター3人が導く宇宙旅行、果たしてどのような旅になるのか?――

会場が暗転し宇宙まおがステージに登場すると、「オープニング映像を作ったので観てください!」とフロア横にあるスクリーンを指した。画面には宇宙ツアーズの事務所が映し出され、ツアーコンダクターである宇宙まおが登場。これまでに様々な惑星を旅行してきたという彼女が「お客様にぴったりの、とびきりスペシャルなプランがございます。出発の準備はできていますか? それでは、栄えある旅が待っています」と促すと映像が途絶え、幻想的な音楽が会場を包み込む。これから何が起こるんだ?という観客の期待に満ちた空間に彗星の如く勢いよく登場したのは、トップバッターの小南泰葉だ。

宇宙まお×BOMI×小南泰葉@TSUTAYA O-nest
<小南泰葉>
「こんばんは小南泰葉です!盛り上がる準備はできてますか!?」と挨拶すると同時に、手に持っていた金色の紙吹雪を豪快にばらまく。さらにフロアに身を乗り出して会場を煽ると、その勢いのままに“ルポルタージュ精神病棟”へとなだれ込んでいく。鍵盤が奏でる不協和音と小南のシャウトが胸に突き刺さり、さらに続く“嘘憑きとサルヴァドール”では美しいファルセットが心を抉る。華奢で小柄な見た目からは想像ができないほどエネルギッシュな歌声には、曲数を重ねるたびに驚かされる。髪を振り乱し感情的に歌い、時に背筋が凍るような目つきで会場を見渡したかと思うと、次の瞬間には少女のような優しい微笑みを投げかけ、自身の感情の赴くまま自由に会場を染め上げていく。MCではこの日彼女が着ていた猫が描かれたTシャツ(中川翔子プロデュースのブランドのもの)について、「しょこたん曰く、宇宙と猫は繋がってるらしい」と、この日の「宇宙ツアー」にちなんだ話も飛び出した。「今日のために新曲を持ってきました」と披露された新曲“POP LIFE”では、タイトル通りのポップなメロディーに乗せて小南がフロアに降りてはしゃいだり、自らスティックを手にしてシンバルを叩き鳴らす場面も。“蜘蛛の糸”では言葉の洪水で会場を飲み込み、ハイテンションな小南と共鳴するかのように観客のテンションも上がっていった。そんな会場をさらに盛り上げたのは、この日に情報解禁となった石崎ひゅーいとのツーマンライヴの発表だ。「会場は大阪だけど、今日くらい素敵な日にします」と話し、会場からは歓声と拍手が沸き起こった。そんな温かい雰囲気のなか小南がラストに選んだ曲は、“やさしい嘘”。インディーズ時代にお世話になった方の訃報を受けたと話す彼女が「大切な人を想って聴いて下さい」と祈るように歌った歌声は、天に届くように高く真っ直ぐ響いたのだった。

宇宙まお×BOMI×小南泰葉@TSUTAYA O-nest
<BOMI>
小南からバトンを受け取ったのは、歌手業のみならずモデル活動等様々な分野で精力的に活動しているBOMIだ。割れんばかりのハンドクラップに招かれてステージに登場した彼女が「今日にピッタリな曲を持ってきたよ!」と1曲目に選んだのは、新曲“Fridaynight butterfly”。ミディアムディスコなサウンドが鳴り出すと同時に回りだしたミラーボールに照らされた会場の雰囲気は、一気にダンスホールに。さらに続いた“+magnet-”ではショルダーキーボードを携え、弾けるようなポップで可愛らしい音を次々と紡ぎ出した。「初めましての人もいると思うので自己紹介。B.O.M.Iでボーミと言います!」と挨拶し、「(小南)泰葉のライヴどうだった?カッコ良かった?」と観客に矢継ぎ早に質問すると、沸き起こった拍手に対し自慢げに「せやろ?カッコええやろ?」と笑ってみせた。「泰葉とは大阪時代からの友達で、もう4,5年友達なんだ!」と無邪気に話す様子からも、今日のライヴを心から楽しみにしていたという気持ちが伝わってくる。そして「今日演っているのは主に新曲なんですけど、ここからもどんどん新曲をやっていきます」という大盤振る舞いなセットリストの3曲目に彼女が選んだのは“Mayday”。クールなダンスビートに乗せてBOMIの真っ直ぐな歌声が加速すると、その勢いのまま“Y.O.U”で飛び跳ねながらクラップを誘い出す。そして、本日4曲目の新曲“さよならミゼラブル”。去年様々な別れを経験した自分の背中を押してくれたという本曲を披露すると、強い決意を宿した真っ直ぐなその歌声に会場は聴き入っていた。ラストの“iYo-Yo”に至るまで終始真摯な姿勢で会場と向き合ったBOMIに、会場からは力強い拍手が贈られた。

宇宙まお×BOMI×小南泰葉@TSUTAYA O-nest
<宇宙まお>
そして宇宙旅行最後を締めくくるのは、ツアーコンダクター宇宙まお! 「渋谷―!」と満面の笑顔で呼びかけると、会場は待ってましたと言わんばかりの大歓声で応えた。そんな熱気溢れる会場を“ブルーナ”の爽やかなメロディーが吹き抜け宇宙空間に染め上げていくと、そのまま哀愁漂うナンバー“つま先”へ流れ込む。歌っている時も終始笑顔が絶えない宇宙まおに「みんな、ここは宇宙だよ! 宇宙楽しんでる!?」と呼びかけられたら、こちらも問答無用で笑顔になってしまうし、ここが本当に宇宙のように感じられる。そういった一面からも感じられるのは、宇宙まおは太陽のような歌い手だということだ。女の子らしいルックスと明るい歌声という点だけなら、星の数ほどいるのだろう。しかし彼女ほど、纏う空気だけで「楽しい! 嬉しい!」を表現する人はいない。人はどこかでマイナスの感情を抱いているし、それをちらつかせる人も少なくない。なのに宇宙まおはむしろ、人からそういった負のエネルギーを吸い取って、プラスの力に変えてくれる気さえする。自転車が大好きだという彼女が歌う“自転車”を聴いた後に自転車に乗ると、ただの鉄の塊がとても愛おしいものに見えてくる。彼女の言葉には、そういう不思議な温かい力があるのだとひしと感じた。そんな彼女が「今年に入ってから人との関わり方が変わってきたなと思っていまして。今までやってきたところとは全く違う場所でライヴするようになったりして。去年までは自分の声をみんなに届けたいと思ってきたけど、今年は、〈みんなと、みんなの大切な誰か〉へ向けた歌を書いていきたいと思いました」と弾き語りで歌ったのは、現在無料配信中である新曲“おいしいごはん”。大切な人と向き合って食べる何気ない日々の食事の愛おしさに気付かせてくれる、炊きたてのご飯のように優しく温かいミディアムバラードだ。そして、ここで投下するのは、キラーチューン“あの子がすき”! 宇宙まおバンドのメンバーである三澤平和(G)、桑原康輔(Key)、関口孝夫(Dr)、ドギー豪(B)の紹介やコール&レスポンスを交えて盛大に歌い切り、ラストの“わたしが死んでも”まで全身全霊で幸福を演出した。

宇宙まお×BOMI×小南泰葉@TSUTAYA O-nest
鳴り止まない拍手に呼ばれてステージに現れたのは、お揃いのTシャツに身を包んだ宇宙まお、小南泰葉、BOMIの3人。先日行ったツイキャス内で披露したダンスに合わせて宇宙まお書き下ろしの新曲“宇宙で逢いましょう~宇宙ツアーズのテーマ~”を堂々披露! ピンクレディーやキャンディーズを彷彿とさせる振り付けと近未来的なサウンドと客席からの歓声が、宇宙空間いっぱいに響き渡った。そんなど派手な祭の後のステージには、アコースティックギターと宇宙まおだけが残った。「宇宙ツアーズというイベントはまだまだ続けていきたいと思っています。次会う日までみなさんお元気で、という曲を歌って終わりにします」と最後に歌われたのは“百年の夢”だった。宇宙ツアーはこれからも続く、という言葉を聞いて安心した。また〈ひと晩の旅〉に出る日を楽しみにしたい。(峯岸利恵)

■セットリスト

<小南泰葉>
01.ルポルタージュ精神病棟
02.嘘憑きとサルヴァドール
03.終わりなき炎症
04.POP LIFE
05.蜘蛛の糸
06.やさしい嘘

<BOMI>
01.Fridaynight butterfly(新曲)
02.+magnet-
03.Mayday(新曲)
04.Y.O.U(新曲)
05.さよならミゼラブル(新曲)
06.iYo-Yo

<宇宙まお>
01.ブルーナ
02.つま先
03.かわいい人
04.自転車
05.誰も知らない国へ
06.声
07.おいしいごはん(弾き語り)
08.あの子がすき
09.わたしが死んでも

(encore)
01.宇宙で逢いましょう~宇宙ツアーズのテーマ~
02.百年の夢(弾き語り)
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