KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - SLIPKNOT ©KNOTFEST JAPANSLIPKNOT ©KNOTFEST JAPAN
2012年に米本国で初開催された、スリップノット主催のフェス「KNOTFEST」。その初開催時は彼らのホームステイトであるアイオワとウィスコンシンで、今年10月にはカリフォルニアで2日間、ラウド・ミュージック・モンスターたちの祭典が繰り広げられてきた(今年の初日10/25には、マキシマム ザ ホルモン、ONE OK ROCK 、MAN WITH A MISSIONと日本勢も参加)。そのKNOTFESTが、いよいよ日本にも来襲。米国外での開催は今回が初めてで、2日間共にヘッドライナーを務めるスリップノットは、10/15にリリースされた最新アルバム『.5: THE GRAY CHAPTER』がオリコンの総合ウィークリー・チャートで1位を記録した。もちろん、チケットはソールドアウトの熱い2日間である。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - HenLee ©KNOTFEST JAPANHenLee ©KNOTFEST JAPAN
<HenLee>
会場はSTAGE AとSTAGE B、連結した2ステージのレイアウトで、次々に出演バンドが登場する。まずはオープニング・アクト1組目のHenLee。メンバー4人が囚人服のような衣装とフランケンシュタインのマスクで勢い良く飛び出すと、「KNOTFEST、日本で最初にライヴをやったのがHenLeeだ! 覚えて帰れー!!」とSaji(Vo)が満面の笑顔で告げながらパフォーマンスに突入。11/26リリースのミニアルバム『DANCER’S PIT ANTHEM』も告知しつつ、キャッチーなフックと攻撃的なダンス性を振り撒いて1日のスタート・ダッシュを決めてくれた。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - Crystal Lake ©KNOTFEST JAPANCrystal Lake ©KNOTFEST JAPAN
<Crystal Lake>
オープニング・アクトのもう一枠は、目下全国ツアー中のCrystal Lake。初っ端からフルスロットルで浴びせかけられるRyo Kinoshitaのスクリームと、獰猛なヘヴィ・サウンドでオーディエンスを大振りなヘドバンに巻き込んでしまった。NUMBのSENTA(Vo)や女子ダンサーをゲストに迎えて、同日出演のリンプ・ビズキットをトリビュートするように放たれる“Rollin'”のカヴァーから“Beloved”と、4曲という短いパフォーマンスでありながらも絶大な存在感を刻み付けた。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - coldrain ©KNOTFEST JAPANcoldrain ©KNOTFEST JAPAN
<coldrain>
時刻は正午というところで、STAGE Aの背景、紅く染まったバンド・ロゴが浮かび上がると、大歓声の中に登場するのはcoldrainだ。思い切りの良い音出し一発からオーディエンスの歌声を導く“No Escape”。握りしめたスケルトン・マイクに齧り付くようにしながらエモーショナルなメロディを放つMasato(Vo)は、「14歳のときスリップノットに出会って、“Spit It Out”の歌詞を覚えて早口に必死でついていこうとしました。今日、俺たちの後ろには、スリップノットの機材が置いてあります」と感慨を溢れ出させるように語り、“Aware And Awake”に向かってゆく。coldrainらしい荘厳で美しいメタル・サウンドも会場内を満たし、最後はスリップノットに捧げられた猛爆グルーヴの“The Revelation”。リスペクトの思いがひしひしと伝わるステージだ。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - MISS MAY I ©KNOTFEST JAPANMISS MAY I ©KNOTFEST JAPAN
<MISS MAY I>
米オハイオ州トロイ出身の5人組。メンバーの平均年齢はまだ20代半ばだ。4枚目のアルバム『ライズ・オブ・ザ・ライオン』を引っさげての2度目の来日である。彼らの持ち味である、リーヴァイ・ベントン(vo)の強烈なスクリームと、ライアン・ネッフ(b,vo)のクリーン・ヴォーカルのメロディアスなパートの対比をうまく生かしたツイン・ヴォーカル、そして時に激烈なリフを刻み、時に綺麗なハモりを聴かせるツイン・リード・ギターの絡みが効果的に発揮されたライヴだった。リーヴァイは「ここが世界中で一番好きな場所だ!」と適度にリップ・サーヴィスを挟みながらも、観客に積極的なコミュニケーションをとる姿も好感が持てた。アメリカのシーンの層の厚さを感じさせるライヴだった。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - MEANING ©KNOTFEST JAPANMEANING ©KNOTFEST JAPAN
<MEANING>
10/22にリリースされた初のミニ・アルバム『150』を携えてツアーに乗り出しているMEANINGは、豪放極まりないメタル・サウンドとパンク・スピリットを抱き、HAYATO(Vo・G)が「東京から、ライヴハウスから来たMEANING、始めるぞー!」と言い放ってスタート。雄々しいコーラス巻いて爆走するさまも、吹き荒れるメタルなギターも、いちいちダイレクトに胸を焦がしてくれる。“INFECTION”や、“Hope”といったナンバーも披露しつつ、「いろんな考え方の、いろんなバンドがいるけど、まあ楽しんで帰るから、よろしくお願いします!」「あんたらとこの規模でやることが正しいのか分からねえけど、同じ目線で、同じ熱量でやってくから」、といったふうに、HAYATOは慎重に言葉を選びながら、しかし彼自身の主張をしっかりと届け、またフロアに飛び込んでは狂騒をリードしていた。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - BRING ME THE HORIZON ©KNOTFEST JAPANBRING ME THE HORIZON ©KNOTFEST JAPAN
<BRING ME THE HORIZON>
英シェフィールド出身の5人組。昨年ギタリストが脱退してキーボードが加入したことで、最新4作目『センピターナル』では微妙に音楽性が変化していた。今回のライヴもその変化を踏襲しており、荘厳なオープニングに始まり、エレクトロニクスを多用した洗練と荒々しさが同居する音楽性は、初期のデスメタル的な強迫感というより、ポスト・ハードコア的な叙情性を感じさせた。照明など演出も含め、よく構築された完成度の高いパフォーマンスだったが、わりと同じ調子でキーボードの全音符が続く曲も多く、もう少しメリハリがつけば、と思わせる場面も。とはいえリンキン・パークにも通じるスケールの大きなパフォーマンスは、ワンマンで見たいと思わせるクオリティの高いものだった。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - Crossfaith ©KNOTFEST JAPANCrossfaith ©KNOTFEST JAPAN
<Crossfaith>
現在はアルバム『APOCALYZE』のEU/UKツアー真っ只中でありながら、タイトなスケジュールの合間に帰国してKNOTFEST JAPANに出演を果たすCrossfaith。壁のように積まれたアンプからぶっ放される凄絶なエレクトロニコア・サウンドの精度と迫力は、また一段階上のレヴェルに到達している気がする。インダストリアルな手応えの最新シングル曲“MADNESS”を叩き付けると、Kenta Koie(Vo)は「俺らは誰や? お前らは誰や? 今日ここに集まってる奴は、全員Maggots(スリップノットのファン)とちゃうんかい!」「青春時代に多大な影響を与えたバンドがいて、合間に日本のバンドがいて、同じステージのつもりで出てるけど、俺たちが高校生ぐらいのときには、考えられなかったことです。このことは、みんなに誇りに思って欲しいと思います」と語り、ただでさえみっちみちのフロアにオーディエンスを屈ませてから爆発するラストは“Leviathan”だ。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - LAMB OF GOD ©KNOTFEST JAPANLAMB OF GOD ©KNOTFEST JAPAN
<LAMB OF GOD>
米ヴァージニア州リッチモンド出身。スレイヤーやメタリカ、あるいはパンテラといったバンドの系譜を継ぐピュア・パワー・メタルの正統派は、今回も期待に違わぬ圧巻のパフォーマンスを披露。出てきた瞬間の音圧の凄さに圧倒され、音の強度、スケール、重量感に圧倒され、その男臭く硬派な佇まいに圧倒され、モッシュやウォール・オブ・デスを繰り返すフロアの熱狂に圧倒される40分だった。結成以来25年近く。ZZトップかグレイトフル・デッドかという、むさ苦しいひげ面長髪のメンバーははっきり言っておっさん臭く、女子ウケしそうな雰囲気はまったくないが、その徹底したストロング・スタイルの無骨そのもののライヴは、まさしく「男どもの饗宴」と呼ぶに相応しかった。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - SiM ©KNOTFEST JAPANSiM ©KNOTFEST JAPAN
<SiM>
SiMのMAH(Vo)もまた、「俺もさあ、スリップノットの幕張メッセとか、リンプ・ビズキットのJCBホールとか、チケット買ってモッシュ・ピットに行きました」と、邦楽・洋楽ファンが入り乱れて楽しむべきKNOTFEST JAPANという機会について思いを伝え、また「スリップノットがアルバム出したらさあ、今でも週間1位取れんだよ! 日本、まだまだ行けるっしょ!」と熱く語っていた。ただし、ただ憧れのバンドとの共演を喜ぶだけでなく、とりわけ“Fallen Idols”や“GUNSHOTS”といった新作『i AGAINST i』収録曲では、レゲエ/スカを取り入れて変幻自在にグルーヴするSiMワールド全開。人真似ではありえないミクスチャー感覚の、オリジナリティ溢れる表現でキャリアを開拓している姿がすこぶる格好良かった。ラストはSHOW-HATE(G)の火花を散らすようなギター・プレイが炸裂し、フロアを揉みくちゃにしてしまう“f.a.i.t.h”。最高である。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - PAPA ROACH ©KNOTFEST JAPANPAPA ROACH ©KNOTFEST JAPAN
<PAPA ROACH>
米カリフォルニア出身、結成21年目のベテラン。今や決して最先端でもなければカッティング・エッジという音でもないが、オーソドックスな正統派ヘヴィ・メタルとして、成熟の域に達しているというのが最新7作目『ザ・コネクション』を聴いた印象だが、ライヴでもそれは同様。手抜き一切なしの全力パフォーマンス、わかりやすく安定した演奏、サービス精神たっぷりの明るいキャラクター、ポップでキャッチーな楽曲、フェスという場を心得た振る舞いは、その場にいた多くの観客に暖かく迎え入れられていた。ヴォーカルのジャコビー・シャディックスの雄大な体躯を揺らしてのパフォーマンスは迫力と同時にどこか愛嬌があって、さすがに浮き沈みの激しいショウビズの世界を生き抜いてきただけのしたたかさが感じられたのだった。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - ONE OK ROCK ©KNOTFEST JAPANONE OK ROCK ©KNOTFEST JAPAN
<ONE OK ROCK>
初日、日本勢最後のアクトとしてステージに立ったのは、前述のように本国KNOTFESTにも出演したONE OK ROCK。TORU(G)、RYOTA(B)、TOMOYA(Dr)のイントロ・セッションを経て“Deeper Deeper”や“アンサイズニア”が特大シンガロングを巻き起こすのだが、とりわけゾクゾクさせられたのは“Mighty Long Fall”や“Decision”の、エクスペリメンタルなアレンジとドラマティックな展開を存分に披露する一幕であった。ヘヴィネスに訴える作風ではないけれども、4人の演奏スキルをより高いレヴェルで融合させようとする今のバンドの表現意欲が、ライヴ・パフォーマンスとして見事に形を成している。TAKA(Vo)は終盤、「このフェスにアメリカと日本で出させて貰えて、本当に嬉しかったです! KNOTFESTサイコーッ!!」と喜びを露にし、がっつりとオーディエンスを掌握したまま“The Beginning”に向かっていった。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - LIMP BIZKIT ©KNOTFEST JAPANLIMP BIZKIT ©KNOTFEST JAPAN
<LIMP BIZKIT>
『ゴールド・コブラ』の時は見逃したので、いつ以来のライヴ体験になるだろうか。久しぶりに見たフレッド・ダーストは髭もじゃのフィデル・カストロみたいになってたが、中身は相変わらずのリンプ節。全編悪ふざけのオンパレードで、やはり得がたいキャラと再認識した。いきなりオープニングがミニストリーの“Thieves”のカヴァーで、レイジののイントロだけやったり(すぐやめて、こんなクソ曲やるかと吐き捨てたのは笑った)、曲中にメタリカのリフを挟み込んだり、ガンズ・アンド・ローゼズの“Welcome to the Jungle”のカヴァーを披露したりとやり放題。その合間に“My Generation”“My Way”“Rollin' (Air Raid Vehicle)”といったヒット曲をプレイして盛り上げることも忘れない。ウェス・ボーランドの変態ギターも冴える。クライマックスは“Take a Look Around”“Break Stuff”とキラーチューンを立て続けにぶちかまして大盛り上がり。そしてエンディングはビージーズの“Stayin' Alive”が会場中に鳴り響いて大笑いのうちに幕。リンプは健在だった。

KNOTFEST JAPAN 2014(1日目)@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール - SLIPKNOT ©KNOTFEST JAPANSLIPKNOT ©KNOTFEST JAPAN
<SLIPKNOT>
エンタテインメントとラディカリズムの共存。あるいは、エクストリームなロック表現をいかに普遍的なカタルシスに落とし込みエンタテインメントに昇華するか。スリップノットのライヴの焦点はその一点にかかっているわけだが、もはや何も文句をつけるところのない完璧なパフォーマンスに、観客の熱狂はすさまじい。アメリカのKnotfestのステージセットをそのまま持ち込んで異世界を演出、ヒット曲をそつなく散りばめたセットリストは、たぶん誰もが満足するものだったし、観客を煽りまくるコリィのパフォーマンスといい、一糸乱れぬ高速リフとブラスト・ビートを叩きつける演奏といい、どこをとっても安定のエンタテインメントだった。誰かひとりの傑出したカリスマで引っ張っていくというより、集団戦の強みで圧倒していくタイプのバンドだが、シンメトリカルに配置されたステージ構成から拡散するように放射されるエネルギーは、楽曲の構成は比較的シンプルだからこそより効果的だった。新作ではいつになく聴かせるタイプの曲が多かったのが気になっていたが、こうしてライヴになるとまさしくスリップノット以外のなにものでもない。見事なライヴだった。

こうして1日目のライヴは終了。丸一日立ちっぱなしで足腰はボロボロ、最後のスリップノットで首振りすぎで首まで痛いというありさまだが、それだけイベントとしての密度は高く、同じラウド系とは言っても音楽的なバラエティには意外なぐらい富んでいて飽きるということがなかった。海外のバンドと日本のバンドがほぼ同数出演し対等の立場で演奏するという形式も理想的だ。同じフロアに2つのステージが並べて設置され、交互にバンドが登場するため観客も移動の手間がなく、ショウも無駄なく整然と進行する。その気になれば全アクトの全演奏を見ることもできるこのスタイルは今後のフェスにも参考になるかもしれない。(洋楽=小野島大、邦楽=小池宏和)
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