back number@Zepp Tokyo

back number@Zepp Tokyo  - All pics by 杉田真All pics by 杉田真
開幕早々ロックモード全開でいきなりクライマックス級の熱気に包まれるZepp Tokyo。歓喜に沸き返るフロアを見回して、「すごいなあ、ほんと最後の曲かと思った(笑)」と朴訥とした口調で語る清水依与吏の表情にも充実感が滲む――今年1月にリリースした最新シングル『ヒロイン』を携えて、ライヴハウス9ヶ所14公演+幕張追加公演2公演にわたって開催されている全国ツアー「urban live tour 2015」の13公演目にしてZepp Tokyo 2DAYSの2日目。すでにアリーナクラスのワンマンライヴも成功させている彼らが、スタンディング形式のライヴハウスという場で、改めて自身のロックと歌心の核心部分を高純度に研ぎ澄ませて放出したような、至上の一夜だった。[※以下、一部演奏曲目についての記述があります]

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清水依与吏(Vo・G)、小島和也(B・Cho)、栗原寿(Dr)の3人に村田昭(Key)、矢澤壮太(G・Cho)、藤田顕(G)を加えた、もはや鉄壁のラインナップと呼んで差し支えない6人編成で、冒頭からライヴバンドとしての底力をアピールしていくback number。かつて2013年の武道館公演でも清水自ら「女々しい歌も貫いていれば生き様になる!」と話していたくらい、メロディアスなシングル曲群で脚光を浴びてきた彼らだが、この日“bird's sorrow”や“青い春”などアグレッシヴなナンバーでがっつりフロアを揺らしまくるその姿は、これまでに観たどのステージよりも力強い肉体性とバイタリティに満ちていたし、Zepp Tokyoの舞台をとても近く感じさせるアクトだった。

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清水自身「今まで出した全部のアルバムから、バランスよく持ってきてるような格好になってます。“ヒロイン”しか知らない人には絶望的なお知らせになっちゃいましたけど(笑)」と話していた通り、最新シングル『ヒロイン』収録曲はもちろん、デビュー以降のアルバム3作『スーパースター』『blues』『ラブストーリー』に加えインディーズ時代のミニアルバム『逃した魚』&フルアルバム『あとのまつり』からも幅広くピックアップ。しかも、いわゆるシングルコレクション的な選曲ではなく(この日演奏したシングル表題曲は“ヒロイン”含め3曲のみ)、各アルバムの物語の中の名場面的な楽曲群を織り重ねることによってback numberの「今」を提示するような、意欲的な内容だった。“アーバンライフ”などアッパーなナンバーに“ヒロイン”のようなセンチメンタルなバラード曲を効果的に織り交ぜながら、終始オーディエンスを熱い高揚感で包んでいく。

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「正直、音楽って目に見えないじゃない? だから、『つながってる』とか口で言っても、なかなか難しくて。でも、こうやってライヴすると……特に今日みたいな日は、『ああ、なんかつながってるかもしれない』って思うんだよね。目に見えないと思ってたものが、目に見えたような気がする」と、この日のステージの手応えを真っ直ぐ誠実に語っていた清水。フロア一丸のハイジャンプとシンガロングを巻き起こした“スーパースターになったら”も、5月27日リリースのニューシングル『SISTER』からいち早く披露した“泡と羊”での晴れやかなロックンロールの躍動感も、すべてがダイレクトな訴求力をもって響いていたし、「これからも自分たちで、『これがいい曲だと思うんだよね』と思うものだけ作って、そういうものだけ持って、また会いに来るから」という言葉には、2015年ロックシーンきっての名曲工房バンドとしての決意がみなぎっていた。4月29日の沖縄ファイナル公演&6月の幕張メッセ イベントホール2DAYS追加公演へと続くツアーの「その先」への期待感を強烈にかき立てる、渾身の名演だった。(高橋智樹)
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