●井上苑子
トップバッターを務めるのは、若干17歳のシンガー・ソングライター=井上苑子。白ブラウスにリボンという制服のような衣装を当たり前に着こなし、5ピースのバンド編成で鮮烈なガールズロックを切り出す。キュートな歌声がバンドサウンドを牽引し、背伸びして盛り上がるフロアを見渡しては、はち切れんばかりの笑顔を浮かべていた。「宇宙まおさんと、何か共通点がないかと思って探したんですけど、小6でギターを始めたってこと以外、見事になかった(笑)」と歯に衣着せぬMCを届け、スピードに乗ったまま《一生側に居たいだなんて 大それたことは思ってないの》と瞬間を生きる、“青とオレンジ”のロックスピリットがまた痛快だ。「みんな踊られへんか!?」とハンドマイクで追い込みをかけるスカパンクチューン“Stay with Me”まで、片時も熱を逃がさないステージであった。彼女は7/1にミニアルバム『#17』でメジャーデビューを果たし、東名阪ツアーも予定されているので、ぜひ注目して欲しい。
〈セットリスト〉
1. グッデイ
2. ハレトケ
3. 青とオレンジ
4. Fly Away
5. 線香花火
6. Stay with Me
●wacci
続いては、メジャー3年目を迎えている男性5人組バンドのwacci。いきなりドゥーワップ風の上質なハーモニーが繰り出される“キラメキ”といい、橋口洋平(Vo・G)がヴィブラートを利かせて熱唱する郷愁のソウルバラード“東京”といい、メンバー全員の高いスキルにもの言わせたポップソングの世界にどっぷりと浸らせてくれる。普通なら、辣腕プロデューサーやベテランのサポートミュージシャンを迎えることで成立するようなクオリティの音楽を、DIYレヴェルでこなしてしまう5人組なのである。こういうバンドがいてくれると、シーンは本当に面白い。好反応を示すオーディエンスの様子に喜びながらも「みなさん、こんばんわっち! もうお気付きかも知れませんが、宇宙ツアーズ初の男性添乗員ですね。あ、それに関しては極端に拍手が少ないですね」と笑わせ、二の腕エクササイズの振り付けをレクチャーする華やかなディスコファンク“Weakly Weekday”がまた、恐ろしく盛り上がった。楽しい。
〈セットリスト〉
1. キラメキ
2. じゃあね
3. 東京
4. Weakly Weekday
5. 羽田空港
●宇宙まお
というわけで、トリを飾るのは宇宙まおである。喝采の中で“ブルーナ”を届けて来るというオープニングだ。けたたましいシンセフレーズが走るアンサンブルで展開し、続けて手拍子を求めながら披露される“ロックの神様”や“つま先”といった代表曲も、バンドの推進力を活かす形でアレンジが進化している。フロアからは自発的なOIコールも加わってバンドを後押ししていった。あらためて挨拶し、オーディエンスや、wacciと井上苑子、会場のO-nestに感謝の言葉を伝えると、「もっともっと大きくなりたいです」と語りながら、人々の夢に寄り添う応援歌として“無限の力”(J2水戸ホーリーホック応援ソング)を披露。チャントの如き歌声を誘い、スポーツの枠を越えて胸を熱くさせられるナンバーだ。
〈セットリスト〉
1. ブルーナ
2. ロックの神様
3. つま先
4. 無限の力
5. あの子がすき
6. 夢みる二人
7. おいしいごはん
(アンコール)
1. 宇宙ツアーズのテーマ
2. 百年の夢