cinema staff@Zepp DiverCity

cinema staff@Zepp DiverCity - all pics by 橋本塁【SOUND SHOOTER】all pics by 橋本塁【SOUND SHOOTER】
「ツアーたくさん回ってきたので、今日cinema staff最高のライヴをお見せします!」と呼びかける飯田瑞規(Vo・G)に「言うね!」と久野洋平(Dr)が突っ込み「……言っちゃったなあ(笑)。彼らなら、この4人なら、必ずやいいライヴを見せてくれると思います!」と飯田が返す――というやりとりからも、最新アルバム『blueprint』とそのリリースツアー「cinema staff 4th FULL ALBUM [blueprint] release tour "land=ocean"」の充実感が伝わってくる。8月の振替公演(宮古&仙台公演が飯田の体調不良により延期)が控えてはいるものの、ツアー18公演の集大成、しかもちょうど1年前の前回ツアーファイナルに続き2度目のZepp DiverCityワンマンということで、さらなる進化を求め日々切磋琢磨する4人の現在のモードが数多の名場面を生んでいた、最高のロックアクトだった。

cinema staff@Zepp DiverCity
 オープニングSE“陸にある海”から流れ込んだ“drama”で冒頭からフロアを揺らしていく4人。そのまま衝動炸裂ロックンロール“竹下通りクラウドサーフ”、凛とした緊迫感に満ちた“地下室の花”、とアルバム『blueprint』の楽曲を連射し、“theme of us”の高揚感と「岐阜から来ましたcinema staffです!」という三島想平(B)のコールにフロアが刻一刻と熱く沸き返っていく。“想像力”“奇跡”から伸びやかな名曲“borka”を経てサイケデリック&ダークな“ハトガヤ・ゲットー”へ……という流れも、すべてが4人の「今」の強烈なヴァイタリティに満ちているし、パンクギタリストの如く縦横無尽に飛び跳ねながら複雑なフレーズを次々に爆奏する辻友貴(G)の佇まいが、オーディエンスの魂をさらに煽り立てていく。

cinema staff@Zepp DiverCity
 「みんな、cinema staff好きで来てくれてるんでしょ?」という久野の言葉に続けて、飯田「そうなの? 俺も好きだよ!」、三島「愛してます!」、久野「愛してるに決まってんだろ!」、辻「(オフマイク絶叫で)愛してます!」と口々にオーディエンスへの感謝を表明していた4人。三島が17歳の頃に作ったという“daybreak syndrome”を飯田&三島のアコギ弾き語りで披露して「17歳で《静寂が加速していく》って天才だよね!」(飯田)と三島を褒め倒したり、“the g host”では辻が白装束のラッパー地縛霊「MC恨ミッシェル」に扮して登場したり……といった場面から滲む4人の開放感も、自分たち自身をシビアに見つめ直し解き放った『blueprint』を、ツアーによって血肉化し得た今だからこそのものだろう。

cinema staff@Zepp DiverCity
 “great escape”からは一気にクライマックスへ! シンガロングが沸き返る“exp”、“tokyo surf”の情熱的な躍動感、“青写真”の決然とした闘志……と曲が進むごとに、会場の熱量はどこまでも高まっていく。「cinema staffは内陸の、岐阜県出身の人間が多くて。海っていう自由の象徴を夢見て、たくさん曲を書いてきたんですけど……イメージの世界だけじゃなくて、ちゃんと地面を踏んで、やるべきことをやっていこうと」とツアータイトル「land=ocean」の由来を語り、「cinema staffはまだまだ止まりませんので。弱い人間ですし、弱いバンドなのかもしれないけど、僕らは正直に、ずっと音楽をやり続けます」と宣誓する三島に、拍手喝采が湧き起こる。本編ラストは三島いわく「嫉妬の曲」=“シャドウ”。高純度なメロディと、熾烈に研ぎ澄まされた4人のバンドサウンドが、「こういう曲を書くことで、自分を含め、誰かの背中を押せればと思ってます」という三島のMCの言葉とともに深く胸に刻まれた。

cinema staff@Zepp DiverCity
 アンコールでは「高校から数えたら13年バンドやってるんですけど。音楽は楽しいんですけど、楽しいだけじゃやれなくて。誰かのためにやりたいなと……」と語る飯田が思わず感極まって声を詰まらせるシーンも。「あなたたちひとりひとりの力になれればなと思うようになって、今もやってます。これからも観に来てね!」と想いを露にする飯田に、惜しみない歓声が広がる。ハイスイノナサ・森谷一貴(Key)を迎えて飯田&三島で美しく描き上げた“孤独のルール”から、ピアノを加えた5人編成で“望郷”を壮大に響かせて終了――と思いきや、まさかのWアンコールでは“Poltergeist”のカオスへ突入! ベースを辻に委ねた三島がフロアにダイヴ、上半身裸の辻も曲終わりでダイヴ、というエモーショナルな場面で、ライヴは圧巻の大団円を迎えた。「今年後半は、僕ら忙しいことになると思うんで」と話していた久野の言葉とともに、cinema staffの「これから」への期待感が抑え難く増幅される、珠玉の一夜だった。(高橋智樹)

●セットリスト

01.drama
02.竹下通りクラウドサーフ
03.地下室の花
04.theme of us
05.想像力
06.奇跡
07.borka
08.ハトガヤ・ゲットー
09.特別な朝
10.skeleton
11.compass
12.daybreak syndrome
13.the g host
14.great escape
15.exp
16.tokyo surf
17.青写真
18.シャドウ

(encore 1)
19.孤独のルール
20.望郷

(encore 2)
21.Poltergeist
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする