LUNA SEAが主催する初めてのロックフェス「LUNATIC FEST.」。バンド結成25周年イヤーを締め括る一大イベントとして、幕張メッセにて2DAYSで開催された。LUNA SEAと縁のあるバンドが世代やジャンルの壁を越えて集結し、長年にわたって堆積してきたロックの地層を見せつけたような2日間。そこから見えてきたのは、単なる祝宴の場ではなく、ひとつのロックの在り方を今の時代に提示する場としてこのフェスを企画したLUNA SEAの使命感、そして、それに全力で応えようとする出演バンドとオーディエンスの結束力だった。以下では初日の模様をレポートする。
LUNA SEAの先輩にあたるTOKYO YANKEESは、3ピースとは思えない激烈なアクトを展開。X JAPANのギタリスト・PATAを交えてメタリックな轟音をブチかまし、後輩への荒っぽい祝福のメッセージとしてみせる。一方coldrainは、LUNA SEAら先輩たちが築き上げてきたロックの歴史を硬質なラウドロックとともに世界に発信していく決意を表明。こうして各バンドがそれぞれの関係性からLUNA SEAへの想いを口にしていく場面も、当フェスのみどころの一つである。その後のLADIES ROOMは、途中からステージに上がったRYUICHIのたっての希望により河島英五の“酒と泪と男と女”を披露! Hyaku(Vo)との色香たっぷりの歌声対決に酔いしれるとともに、四半世紀来の付き合いである彼ら絆の深さを実感できる貴重なシーンだった。
SIAM SHADE
Fear, and Loathing in Las Vegas
初日の中間地点を折り返し、MOON SRAGEにはSIAM SHADEが登場。LUNA SEAと同じ時代を生き抜き、解散から復活を遂げた彼らだけに、フロアの歓迎ムードもひときわ大きい。中盤には真矢がオンステージし、“1/3の純情な感情”のプレイを促す一幕も。メッセの天井を突き破らんばかりの栄喜(Vo)のヴォーカルとハードエッジな音塊が鳴り響き、時を経ても色褪せることないロックンロールの輝きを解き放ってみせた。FATE STAGEのFear, and Loating in Las Vegasは、目まぐるしく曲調が変化するエレクトリカルなハードコアパンクを堂々開陳。「25年前は俺たち2歳でした。2日間通して最年少のバンドとしてこのフェスを盛り上げます!」というSxun(G)のMCもライヴの狂騒感を駆り立て、熱狂の只中へと突き進んでいった。
DIR EN GREY
DEAD END
映像を駆使したコンセプチュアルなステージでオーディエンスを釘付けにしたのは、MOON STAGEのDIR EN GREY。グロウルとファルセットを巧みに使い分けた京(Vo)の歌声、世の中にはびこる醜悪のすべてを音に変えたようなグルーヴから成るDIR EN GREYの音世界は、聴き手の価値観を反転させてしまうほどの凄みと説得力を持っている。中でもゲストとして登場したSUGIZOのヴァイオリンソロで幕を開けた“空谷の跫音”の深淵たる響きは圧巻だった。そんなDIR EN GREYが築いたディープな世界観を受け継ぐように、SHINE STAGEではDEAD ENDが艶やかで肉感的なアンサンブルを展開。RYUICHIとSUGIZOを交えての“serafine”のエモーショナルな音像に、思わず目頭を熱くさせたオーディエンスも多かったのではないだろうか。
そして。“LOVELESS”の神秘的な旋律とともに幕張メッセに歓喜の渦を巻き起こしたのは、この日のオーガナイザーにしてヘッドライナー、LUNA SEA。“Déjàvu”“Rouge”“TONIGHT”と新旧のキラーチューンを畳み掛け、オーディエンスの心をひとつにしていく。すでにLUNACYや先輩のステージで歌声を響かせてきたRYUICHIの声は嗄れかけ、他のメンバーも度重なるゲスト出演(SUGIZOに至ってはDIR EN GREYから4ステージ連続!)で消耗しているはずだが、渾身の力で放たれるグルーヴには凄まじいエネルギーが宿っているように感じた。後半には、ひとつのシーンを担ってきた仲間とともに今日を迎えられた喜びと、ここに来られなかった仲間への想いを告げたRYUICHIのMCを経て、hideの“ピンクスパイダー”をプレイ! そのまま“STORM”“TIME IS DEAD”“ROSIER”と連打して、絶頂への階段を一足飛びに駆け上がっていった。