UNISON SQUARE GARDEN@日本武道館

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「僕らは今日まで11年、『3人でしか作れないカッコいい音楽を作ってやろう』っていうことだけを続けてきたバンドです。不器用なバンドで、華々しい道を歩くタイプのバンドじゃないかもしれないけど、この3人でバンドを続ける限りは、最高の音楽を鳴らし続ける自信があります!」。開演から常時クライマックス状態だった満場(1階席はステージ背後まで360度!)の日本武道館が、本編終盤の斎藤宏介(Vo・G)の言葉にさらに熱く沸き返っていく。2014年8月リリースの5thアルバム『Catcher In The Spy』以降、結成10周年アニバーサリーイヤーを怒濤の勢いで駆け抜けてきたUNISON SQUARE GARDENが、結成11周年の記念日=2015年7月24日に開催したのが、ユニゾン初の日本武道館ワンマンライヴ「UNISON SQUARE GARDEN LIVE SPECIAL "fun time 724"」。トータル約3時間に及ぶこの日のステージは、3人のロックバンドとしてのアイデンティティそのものである、痛快なまでの音楽至上主義に貫かれていた。

UNISON SQUARE GARDEN@日本武道館
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冒頭の“誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと”の力強いアンサンブルから、「ようこそ!」の斎藤のコールをきっかけに“リニアブルーを聴きながら”へ流れ込むと、会場の高揚感は一気にクライマックスを越えて過熱、一面のシンガロングが武道館をびりびり震わせていく。“シュガーソングとビターステップ”をはじめとするシングル曲群はもちろん、「シングル表題曲以外の楽曲」でバンドの10年史を綴った『DUGOUT ACCIDENT』からの“23:25”“天国と地獄”などの楽曲も、それ以外の楽曲も織り重なって、ユニゾンのロックの輝度と躍動感が全方位的に開放されたこの日のアクト。抑え難い情熱のままに激しくステップを踏みステージ狭しと駆け巡る田淵智也(B・Cho)のプレイも、3人のアンサンブルに圧巻のダイナミズムを与えていく鈴木貴雄(Dr・Cho)のビートも、カラフル&ポップな眩しさとワイルドな熱量を備えた斎藤のヴォーカル&ギターも、この大舞台を全身で謳歌するようなヴァイタリティに満ちている。

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その楽曲とメロディのキャッチーな訴求力の一方で、ユニゾンは常に鋭利なロックバンドであり続けてきた。というか、3ピースロックンロールとしての強度と鋭さを増せば増すほど、そのサウンドと歌が色彩感を増す、という唯一無二のマジカルなサイクルを体現してきた。“スカースデイル”のセンチメンタルな歌世界や、ホーンアレンジのビッグバンドジャズ的ナンバー“like coffeeのおまじない”、ピアノサウンドが華麗に響く“harmonized finale”なども含め、その幅広い音楽のすべてをソリッドなロックとして鳴らし得たのも、ストイックなまでのロック求道心ゆえである――ということを、3人の歌とアンサンブルはリアルに物語っていた。その一方で、「10周年最後の日、昨日ね、引っ越したんですよ。新居に住んで、初めて出かける場所が今日のライヴ!」(斎藤)、「家を出てここに来るまで、ドアtoドアでタクシーで来てみるっていうのをやってみた」(鈴木)、「おみくじを引いたら、他の月はいいこと書いてあったのに7月だけ『言葉に注意』(笑)」(田淵)とそれぞれに「7月24日の迎え方」を語るMCからは、3人の「この日」への思い入れがひしひしと伝わってきた。

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“天国と地獄”でステージ一面に火の玉が噴き上がったり、終盤のドラムソロでは鈴木を乗せたドラム台が高々と上昇→田淵&斎藤が舞台下からせり上がって合流、といった見せ場もあったが、基本的に特効やセットの類いは最低限に留め、「音楽こそ最大のエンタテインメント」を真っ向から示していたユニゾン。《一瞬も飽きちゃいないからさ 人生を譲る気がないんだ》と決然と歌い上げた新曲“プログラムcontinued”。武道館を巨大ダンスホールへと叩き込んだ“徹頭徹尾夜な夜なドライブ”……全編名場面的な本編のラストを、デビューシングルからの2曲“ガリレオのショーケース”“センチメンタルピリオド”でアグレッシヴに締め括っていった。

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「君が好きなロックバンドは、他の誰が何と言おうと、絶対にカッコいいから、自信持っていいよ!」――田淵の宣誓に湧き上がった会場一面の感激の声が、アンコールの“3 minutes replay”“kid, I like quartet”“フルカラープログラム”連射で高らかなシンガロングへと変わり、武道館がなおも熱く揺れる。すべての音が止んだ後、舞台にひとり残った斎藤の「僕らは、僕らにとって大事なみなさんの、大事なバンドであり続けたいんです」の言葉に、惜しみない拍手喝采が広がっていた。11月からは全国ツアー「プログラムcontinued」をスタートさせるユニゾン。揺るぎない闘争心で3人の「これから」を真っ直ぐ指し示してみせた、最高のステージだった。(高橋智樹)

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●セットリスト

01.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
02.リニアブルーを聴きながら
03.MR.アンディ
04.ため息 shooting the MOON
05.マスターボリューム
06.サンポサキマイライフ
07.ワールドワイド・スーパーガール
08.like coffeeのおまじない
09.スカースデイル
10.シュガーソングとビターステップ
11.23:25
12.天国と地獄
13.プログラムcontinued
14.光のどけき春の日に
15.クローバー
16.harmonized finale
17.シュプレヒコール〜世界が終わる前に〜
18.桜のあと(all quartet lead to the?)
19.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
20.シャンデリア・ワルツ
21.場違いハミングバード
22.ガリレオのショーケース
23.センチメンタルピリオド
(encore)
24.3 minutes replay
25.kid, I like quartet
26.フルカラープログラム
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