UVERworld@神戸ワールド記念ホール

UVERworld@神戸ワールド記念ホール
「これからも、お前たちや、外にいる女Crewが信じてくれたUVERworldを守り抜くって、約束するよ……ふざけんな! 泣いてねえよ! 俺が泣くのは、まだ先だよ! 俺が泣くのは、東京ドームの男祭りって、決まってんだ! 4年前、250人で始まった男祭りが、横浜アリーナ12000人即完だよ。神戸ワールド記念ホールでやったって、360°埋まっちまうよ! これは、俺たちだけの力じゃないんだ。ここにいる一人一人が、UVERworldの音楽に反応してくれて、それぞれの仲間に、おい、UVERworldかっこいいから聴いてみろ、一度ライヴ行ってみろって、誘ってくれた結果なんだ」。

過去と未来の道程に馳せる思いが、雄々しい合唱と重なる“Ø choir”の前に、TAKUYA∞(Vo)はそんなふうに語っていた。「UVERworld LIVE TOUR 2015」ファイナルにして、今年2回目のどでかい男祭り「KING’S PARADE」。開演時間の5分前にOiコールが沸き上がってしまう神戸ワールド記念ホールには、最初から異様な興奮のムードが立ち籠めていた。ステージ真裏のスタンド席で幸運な女子Crewが見守る以外は、約8000人の男。登場時から上半身裸の真太郎(Dr)は、「16000個のキンタマが集まっております! 終わる頃には、明石焼きにしてやりますからね」と告げていた。

本編は、メンバー総掛かりの暴れ太鼓で“Collide”を切り出し、TAKUYA∞はさっそく「BRRAAAHH!!」と雄叫びを上げながら前線オーディエンスとゼロ距離でやりあう。「全員、俺の仲間だからな。中途半端に怪我させたらぶっコロすからな。男なら、自分の身は自分で守れ!」と、熱気の向かう方向に気を配りつつ、煽り文句は緩めない。“畢生皐月プロローグ”で克哉(G)と彰(G)、2本のギターリフが吹き荒れる頃には、豪快にしてタイトに引き締まったバンドの音像におののく。たった2曲で、ライヴ盤が欲しい、と思ってしまうぐらいだ。“誰が言った”では、ラウドな展開を信人(B)とTAKUYA∞がワルツのステップでユーモラスに締め括る。

前日のアニバーサリーライヴ後、会場に宿泊したというTAKUYA∞。徹夜組のCrewたちが、日課のランニングについてきたことを語る。中には、シューズからウェアまで揃えてウォームアップをしていた強者もいたらしく、「はぁ!? 俺のことぶっちぎろうとしてんの?」という思いで真剣勝負を繰り広げ、10km中の8km地点で全員を振り切ったという。「今日も同じだからな。お前ら全員、ぶっちぎってやるからな」。TAKUYA∞の肉感に満ちたMCは、いつでも音楽的で、ソリッドなロックと同じように挑発的で、熱いまま胸に刺さる。男同士でムキになる場面なら尚更だし、こんなときに披露される友愛の歌声“23ワード”は、ズルいとしか言い様がないだろう。

UVERworld@神戸ワールド記念ホール
“I LOVE THE WORLD”は、オーディエンスが一斉に《ROCK!》の掛け声を上げ、TAKUYA∞は伸びやかに狂おしく、コーラスのフックを歌ってゆく。その響きは、この曲が現在進行形の強烈なハウスミュージックにも負けない、しなやかな意志と歌メロを備えていることを証明していた。“ace of ace”以降、“7th Trigger”や“LIMITLESS”といったライヴ映えのする楽曲群が並ぶ一幕は、花道のようにせり出したステージでメンバーが密集体形をとり、コンビネーションが更に冴え渡ってゆく。「走り続けるって決めてから、雨の日に走るのなんか何でもねえ。怪我した日の夜に走るのなんか何でもねえ。それよりも、俺の、俺たちの大切なものや人が、どうかこの手から離れませんようにって、祈るための“PRAYING RUN”」。シングルのカップリング曲も含めて、今のUVERworldはすべてのリスナーをバンドの物語の中へと引き込んでしまう。

TAKUYA∞は、メンバー5人の名前を順繰りに呼びながら「お前らの音のレッスン、聴かせろ! UVERworldの境地、見せてやるよ」と告げ、披露されたのはインスト曲“境地・マントラ”。まるで大作映画のスコアのような説得力を帯びるロックである。そして“スパルタ”以降は真太郎が巨大なステージのドラムセットに戻り、「おい誠果! お前の15年は、俺たちのプライドだ!!」という煽り文句に誠果(Sax)の熱いサックスフレーズが吹き上がる“CORE PRIDE”。男祭りの熱気の中で、戦う歌の響き方をしていた“僕の言葉ではない これは僕達の言葉”は、TAKUYA∞の呼び掛けで、YAFUMI(LAID BACK OCEAN)、世田谷のりこ(愛笑む)、 星☆拓也(THE Hitch Lowke)という、MVにも参加した盟友バンドのヴォーカリストたちもオーディエンスに運ばれて飛び入り。それぞれがマイクを握り、4人ヴォーカルの共演を繰り広げるのだった。

オーディエンスも負けじと、“IMPACT”でチャントの如き盛大な歌声を上げ、冒頭で触れた“Ø choir”の一幕を経ると、“7日目の決意”では、にわかには信じ難い光景が目の前に広がっていた。会場全体のオーディエンスが、誰に言われるでもなく、肩を組んで揺れながら、この曲を合唱していたのだ。「新しい時代に足跡つける、俺たちが、俺たちが(会場をぐるりと指差す)UVERworld、よろしくどうぞ!!」と、TAKUYA∞の決めゼリフも、新しい意味を持ち始めていた。

アンコールに応えて再び姿を見せると「さっき、みんな肩組んでたけどさあ、あれって、知らない奴同士でやったんだろ? すげえな! それでいいと思うんだよ。外に行ったらイヤな奴いっぱいいるからさ、俺らの敵はそれでいいじゃん」「女Crewも、大事にしような。(男祭りは)男同士でカッコいいとこ見せて、自分の女を守ろうっていう機会なんだからさ」。そんな約束をじっくりと噛み締めるように、「俺がいつも、一番歌いたい曲」と披露されるのは“MONDO PIECE”。アートは競技とは違うけれど、それでも「新記録樹立」と呼びたくなるような、UVERworldらしい切磋琢磨とこだわりによって大成功した「男祭り」であった。間を置かず、物語は過去曲メインの「“15&10”Anniversary Tour」へと、引き継がれる。(小池宏和)

●セットリスト

01. Collide
02. 畢生皐月プロローグ
03. ナノ・セカンド
04. 誰が言った
05. 23ワード
06. NO.1
07. I LOVE THE WORLD
08. ace of ace
09. 7th Trigger
10. LIMITLESS
11. 在るべき形
12. PRAYING RUN (頭 X time ver)
13. 境地・マントラ
14. スパルタ
15. Don’t Think.Feel
16. CORE PRIDE
17. 僕の言葉ではない これは僕達の言葉
  零HERE~SE~
18. IMPACT
19. Ø choir
20. 7日目の決意
(encore)
21. MONDO PIECE
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