セットリストは、『コンク』からの新曲をお披露目しつつ、いまやアンセムとなった“ナイーヴ”や“シーサイド”なども盛り込まれたものとなった。『インサイド・イン〜』が、天然の輝きをきらきらと放つようなアルバムであったとすれば、『コンク』は、丁寧に磨き上げた自らの素質を、堂々と聴き手の目の前に広げてみせるようなアルバムだ。その屈託のなさ、瑞々しさによって、じわじわと愛され、広がっていった『インサイド・イン〜』に対し、『コンク』は、セカンドであるにも拘らず、圧倒的なファースト・インパクトを放っているアルバムなのだ。そして今日のライヴは、『コンク』で見せるタフさのなかに、持ち前のクークスらしさが光る、素晴らしいライヴだった。
身も蓋もない言い方をしてしまえば、その「クークスらしさ」とは、ずばりメロディの素晴らしさ、である。ちょっといいメロディやちょっといい曲なら書けるバンドはたくさんいるが、ここまで瑞々しく、しかし人懐っこくて、同時にめちゃくちゃポップでもあるメロディを書ける新世代のバンドはほとんどいない。さらに、サウンド面で骨太に成長しながらも、そのメロディを以前にも増して磨き上げることのできるバンドというと、皆無だ。矢継ぎ早に繰り出されていった18曲の3分間ポップは、そのことをはっきりと伝えていた。(羽鳥麻美)