開場時からGetting Better+FREE THROWという、テレフォンズと縁の深いDJチームによるバック・トゥ・バックが繰り広げられ、いよいよ本編、というときに鳴り響くのは“happiness, happiness, happiness”。テレフォンズの登場SEとして馴染み深いナンバーである。ステージには石毛輝(Vo・G・Syn)、長島涼平(B・Cho)、岡本伸明(Syn・Cowbell・Shriek)、松本誠治(Dr)が姿を見せ、石毛のハイトーンが「Last Partyyyy!!」とアリーナ一杯に届けられた。楽しそうな表情でシンプルに感謝の思いを伝え、来場者と共に「開会宣言DISCO」コールを巻き起こすのだった。
「埼玉県北浦和から……2つ隣の駅からやってきました、the telephonesです!! こんな素敵な場所を持てたことを、幸せに思います!」と告げ、同世代や同郷バンド、そして大勢のファンと紡ぐ1日に感慨を寄せる石毛だが、「いっか、曲やるか! 踊りたいよね!」と溢れる思いを抑え込もうとする素振りが健気だ。ウェットなレイヴ感に包まれる“SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!”から、壮麗なサウンドスケープで描き出される“Homunculus”までの流れは、確かに華やかなのだけれど余りにも情緒的かつドラマティックで、「プロなんだけどさあ、なんて言っていいか分かんねえや。人生で、なかなか味わえない気持ちをさせてもらってます」と狼狽え半分な石毛である。
ノブが「めでたい日だから」とシルバーのミラーボールシャツをゴールドに着替えて歓声を誘う間にも、石毛は「いやあ、今日のMCひどい! 結成10年で一番ひどい! 反省を思い出せ俺! 2009年を思い出せ!」と必死に感情をコントロールしようとするのだが、そんな姿を目の当たりにするほど、こちらもセンチメンタルな気持ちになるのは言うまでもない。ところが、“I Hate DISCOOOOOOO!!!”以降のDISCOヒッツ乱れ撃ちの一幕では、石毛のハイトーンヴォイスにも一層の昂りが加えられて、素晴らしい熱狂が育まれていった。“Keep Your DISCO!!!”の終わりに、「世界は変わったーーっっ!!」と勢い任せに叫ぶ石毛。“Monkey Discooooooo”では色とりどりのバルーンがフロアに投入される。
「みんな、しばらくDISCOって叫べなくなるよ。叫んだことがある人だけの特権です」と、エリアごとに“We are DISCO!!!”のコールを導き、「ありがとう。最後、愛とDISCOと10年間を込めて、皆さんに捧げます」と披露される本編最後のナンバーは、もちろん“Love & DISCO”だ。「10年間ありがとう!!!」のメッセージが書き込まれた大きな飛行船が中空をゆっくりと旋回し、アリーナ中央に設置されたミラーボールの脚が伸びて、煌きながら高く高く上昇する。4人が立ち去った後、アンコールの催促とばかりに、止まらないDISCOコールが会場全体から上がっていた。
再び姿を見せると、とにかく自分たちの力だけでここに立っているわけではない、ということを強調しつつ、あらためて感謝の思いを伝える。また松本は、2011年のたまアリ公演時に、大きなスクリーンが用意されていなくてモヒカンを見て貰えなかったと、バッチリ立ち続ける真っ赤なモヒカンのリベンジについて嬉しそうに語った。そして石毛。「テレフォンズは、間違いなく日本のシーンを面白くしたと思います。いい音楽は、いいんです。好きな音楽を自分で選んでくれたら、かっこいいと思うよ。みんながミーハーだと、ミーハーなバンドが増えると思います。みんながかっこいいバンドを好きなら、かっこいいバンドが増えます」。それは、テレフォンズが体現してきた、「リスナー/オーディエンスが主役の時代」を象徴する言葉だ。
「これからも、音楽続けますね?」「はい!」「はい!」「はい!」石毛の問いかけに3人がはっきりと答え、アンコールは“Urban Disco”が、そして新作から“Something Good”がプレイされる。「ベース、長島涼平! ドラムス、松本誠治! シンセサイザー、ノブ! ギターヴォーカル、石毛輝! 不器用な、不器用な4人組、the telephonesでした!」。スタッフやPAチームらも交えて記念撮影を行い、4人は“Thank You DISCO!!!”が鳴り響く中、ゆっくりとアリーナ通路を歩き回って、ファンと触れ合い、そして去っていった。決して、嬉しい、楽しいばかりではなかったけれど、最後にはみんなが笑顔を見せていた。アリーナに何度もこだました「We are DISCO!!!」は、今も耳の奥にこびりついている。(小池宏和)
〈セットリスト〉
・凜として時雨
01. SOSOS
02. DISCO FLIGHT
03. Enigmatic Feeling
04. Who What Who What
05. I was music
06. Telecastic fake show
07. 感覚UFO
08. 傍観
・dustbox
01. Riot
02. Break Through
03. Bird of Passage
04. Bitter Sweet
05. A.B.C.Disco
06. Dance Until Morning
07. Right Now
08. Here comes A Miracle
09. Hurdle Race
10. Tomorrow
11. Jupiter
・THE BAWDIES
01. NO WAY
02. YOU GOTTA DANCE
03. IT’S TOO LATE
04. SUNSHINE
05. HOT DOG
06. sick rocks
07. SING YOUR SONG
08. JUST BE COOL
・syrup16g
01. 生きているよりマシさ
02. Sonic Disorder
03. 生活
04. 神のカルマ
05. パープルムカデ
06. リアル
07. Reborn
・9mm Parabellum Bullet
01. 反逆のマーチ
02. Answer And Answer
03. The Revolutionary
04. Monkey Discooooooo
05. Black Market Blues
06. Cold Edge
07. 新しい光
08. Discommunication
・サカナクション
01. ミュージック
02. アルクアラウンド
03. 夜の踊り子
04. アイデンティティ
05. ルーキー
06. Aoi
07. 新宝島
・the telephones
01. HABANERO
02. sick rocks
03. D.E.N.W.A
04. Baby,Baby,Baby
05. SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!
06. electric girl
07. A.B.C.DISCO
08. Homunculus
09. I Hate DISCOOOOOOO!!!
10. oh my DISCO!!!
11. Keep Your DISCO!!!
12. Monkey Discooooooo
13. Love&DISCO
(encore)
14. Urban Disco
15. Something Good