Mr.Children × ASIAN KUNG-FU GENERATION@Zepp Divercity

Mr.Children × ASIAN KUNG-FU GENERATION@Zepp Divercity - Mr.Children/pic by 薮田修身(W)Mr.Children/pic by 薮田修身(W)
「昔、Mr.Childrenが大好きだという女の子に振られたことがあります(笑)。ざまあみろ! 対バンしたぞ! 昔の俺、観てるか?みたいな」とASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文(Vo・G)がこの特別な共演の喜びを語れば、アジカン“リライト”のサビを熱唱したMr.Children・桜井和寿(Vo・G)が「ASIAN KUNG-FU GENERATION、どうもありがとう!」とあふれんばかりの想いをハイトーンシャウトで叫び上げる――。

HEATWAVE/くるり/エレファントカシマシ/小谷美紗子といった多彩なゲストアーティストとともに、Mr.Childrenが熱演を繰り広げてきたライヴハウス対バンシリーズ「Mr.Children 2マンLIVE」のファイナル=東京・Zepp Divercity Tokyo公演、ゲストはASIAN KUNG-FU GENERATION! 昨年秋にファンクラブ限定Zeppツアーを行ってはいるが、今やアリーナ/スタジアムでのライヴがメインのMr.Childrenが対バン形式でライヴハウスを回るのは、2006年にthe pillowsと行った「Mr.Children & the pillows new big bang tour ~This is Hybrid Innocent~」以来実に約9年ぶりのこと。そんな激レアな共演ツアーのラストを飾るに相応しい、圧巻の祝祭感に満ちた一夜だった。

Mr.Children × ASIAN KUNG-FU GENERATION@Zepp Divercity - ASIAN KUNG-FU GENERATION/pic by 薮田修身(W)ASIAN KUNG-FU GENERATION/pic by 薮田修身(W)
Mr.Children × ASIAN KUNG-FU GENERATION@Zepp Divercity - ASIAN KUNG-FU GENERATION/pic by 薮田修身(W)ASIAN KUNG-FU GENERATION/pic by 薮田修身(W)
先攻はアジカン。最新アルバム『Wonder Future』を携えての全国ツアーから、そのまま南米&ヨーロッパツアーを経て戻ってきただけあって、ゴッチ、喜多建介(G・Vo)、山田貴洋(B・Vo)、伊地知潔(Dr)+サポートKey=下村亮介(the chef cooks me)のアンサンブルも絶好調。“Easter / 復活祭”“Little Lennon / 小さなレノン”のロックンロールはさらに熱量と切れ味を増しているし、パワフルな疾走感で序盤からフロアをがっつり揺さぶってみせる。そこへすかさず“リライト”炸裂! アジカンのワンマンライヴか?と思わせるくらいに、フロア一面に高々と指と拳が突き上がる。

Mr.Children × ASIAN KUNG-FU GENERATION@Zepp Divercity - ASIAN KUNG-FU GENERATION/pic by 薮田修身(W)ASIAN KUNG-FU GENERATION/pic by 薮田修身(W)
Mr.Children × ASIAN KUNG-FU GENERATION@Zepp Divercity - ASIAN KUNG-FU GENERATION/pic by 薮田修身(W)ASIAN KUNG-FU GENERATION/pic by 薮田修身(W)
“ソラニン”“君の街まで”といったセンチメンタル&エモーショナルな名曲群、“踵で愛を打ち鳴らせ”“マーチングバンド”“今を生きて”といったビートの躍動感で晴れやかな風景を描き出す流れも含め、最新モードもシングル曲も惜しげもなく凝縮してみせたアジカン。「Twitterでエゴサーチしたらさ、『アジカン、ミスチルの曲は何歌うのかな?』って。何その『対バンしたらお互いの曲をやり合う』みたいな期待?(笑)」とボヤきつつもゴッチは「……でもちょっとぐらい歌おうかな」と弾き語りで“花 - Memento-Mori -”を披露。会場の熱気はさらに高まっていく。「人の曲歌う方が緊張するって知ってる? 膝ガクガクだった(笑)。でも良い夜だね。最高!」という言葉に、さらに拍手が広がる。“ループ&ループ”の多幸感にさらに大きく会場が揺れ、“君という花”の間奏の「らっせーらっせー!」コールが高らかに響く。最後は『Wonder Future』のラストを飾る勇壮なロックナンバー“Opera Glasses / オペラグラス”で堂々のフィナーレを迎えた。

Mr.Children × ASIAN KUNG-FU GENERATION@Zepp Divercity - Mr.Children/pic by 薮田修身(W)Mr.Children/pic by 薮田修身(W)
そしてMr.Children! 7万人動員の日産スタジアムを沸かせた桜井和寿・田原健一(G)・中川敬輔(B)・鈴木英哉(Dr・Cho)+サポートキーボーディスト・SUNNYが、キャパ2500規模のステージに立っている――という感慨すらも、至近距離と呼んで差し支えないほど間近で“未完”を熱く鳴り渡らせる彼らの雄姿が爽快に吹っ飛ばしていく。前述の桜井の“リライト”弾き語りを経て“ロックンロールは生きている”“REM”へと流れ込んでいくその佇まいには、「スタジアムバンド」の余裕などは微塵もない。今この瞬間、目の前にいるオーディエンスをひとり残さず歓喜の果てへと導こうとする、日本屈指のライヴモンスターとしての野性と闘志が、その一音一音からあふれ出してくる。最高だ。

Mr.Children × ASIAN KUNG-FU GENERATION@Zepp Divercity - Mr.Children/pic by 薮田修身(W)Mr.Children/pic by 薮田修身(W)
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「ASIAN KUNG-FU GENERATIONと一緒にやれて、本当に幸せです! しかも……僕らの曲を歌ってくれたんだよね? それを聴き逃したのが、心残りで仕方がない!」。自身のライヴ準備のため、せっかくのゴッチの“花 - Memento-Mori -”を見逃してしまったことを悔やみつつ、「アジカンにはね、本当に勇気をもらったんです」と語る桜井。最新アルバム『REFLECTION』をレコーディングしている際、キーが高い曲が多いことに対して「もっとキーを低く設定して歌えばラクじゃん?」と言われたこと。でも、1曲目に歌った“未完”のような曲は、叫んでないと意味がないと思っていたこと。「そこにアジカンですよ! 車の中でアジカン聴いてみたら……叫んでんじゃん! これなのよ!と思ったの。丁寧に歌おうとするのも大事だけど、叫びたい!っていう衝動があるのも、ものすごく大事に思えて。アジカンにはものすごく、自信をもらいました――勝手にだけどね(笑)」……そんな情熱的な桜井の言葉からも、この日の充実感が伝わってきた。

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Mr.Children × ASIAN KUNG-FU GENERATION@Zepp Divercity - Mr.Children/pic by 薮田修身(W)Mr.Children/pic by 薮田修身(W)
“fantasy”“FIGHT CLUB”“忘れ得ぬ人”など、計100万人規模のアリーナツアー〜スタジアムツアーを通してよりいっそう磨きのかかった『REFLECTION』の楽曲群を軸としつつ、“youthful days”“Sign”“掌”といったポップミュージック史を彩ってきた歴代シングル曲までも、アジカンと同じ12曲の本編の演奏の中に盛り込んでみせたMr.Children。テレキャスターをかき鳴らしながら桜井が轟かせた、“終わりなき旅”の喉も裂けよとばかりの絶唱。“足音 〜Be Strong”のメロディとアンサンブルが生み出す、ロックソングの雄大な地平……そのひとつひとつが珠玉の名場面として、鮮やかに頭と心に刻まれていく。「アジカンがすげえライヴやってくれて。いつも違うところで活動してるバンドですけど、こうやって一緒にやれて、音楽がいっぱいの人をつないでくれてる気がして……そんな、人と人との壁を取っ払うような曲を、最後にお届けします」という桜井の言葉とともに演奏した最後の曲は“隔たり”だった。コミュニケーションの核心へと迫るこの曲が、途方もないスケールの感動を呼び起こして……本編終了。

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鳴り止まない手拍子に応えて再び登場した4人+SUNNYが“名もなき詩”で会場一丸のシンガロングを巻き起こした後、「いろんな人と対バンして回ってきたこのツアーがね、ここで終わっちゃうんですよ……ほんと、今も楽しいし、楽しかったし、終わってしまうのがすごく寂しいんですけど」と桜井が再び語る。「このタイミングで、みんなに聴いてほしい――『聴いてほしい』のとはちょっと違うかな? 歌いたい曲があるんです」と披露したのは、スタジアムツアー大阪公演のリハーサル直前にできたという新曲“忙しい僕ら”。「『スケジュールに追われて忙しい』っていうわけではなくて、泣いたり笑ったり、いろんなことがあって心が“忙しい僕ら”っていう曲」と説明しつつ「絶対売れない曲」「おっとりした曲」と照れ臭そうに話していた桜井だったが、ピアノをベースとしたやわらかなバラード越しに、僕らのありとあらゆる感情と真っ向から対峙しポップとロックに変えてきた稀代の表現者・桜井和寿の迫力が滲んできて、胸が震えた。Mr.Childrenの燃え盛る真髄に触れる、夢のような時間だった。(高橋智樹)

●セットリスト

ASIAN KUNG-FU GENERATION

01. Easter / 復活祭
02. Little Lennon / 小さなレノン
03. リライト
04. ソラニン
05. 君の街まで
06. 踵で愛を打ち鳴らせ
07. マーチングバンド
08. 今を生きて
09. ループ&ループ
10. 君という花
11. 転がる岩、君に朝が降る
12. Opera Glasses / オペラグラス

Mr.Children

01. 未完
02. ロックンロールは生きている
03. REM
04. fantasy
05. FIGHT CLUB
06. youthful days
07. 忘れ得ぬ人
08. Sign
09. 掌
10. 終わりなき旅
11. 足音 〜Be Strong
12. 隔たり
(encore)
13. 名もなき詩
14. 忙しい僕ら
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