AL × Polaris @LIQUIDROOM

AL × Polaris @LIQUIDROOM - AL/all pics by 杉田 真AL/all pics by 杉田 真
最高の一夜だった。「まだCDも出してないバンドを観に来てくれて、ありがとうございます!」とAL・小山田壮平(Vo・G)は言っていたが、大阪・umeda AKASOでの「AL×Nabowa LIVE」に続いてここ東京・恵比寿LIQUIDROOMで開催された「AL×Polaris LIVE」のソールドアウト超満員の会場の熱気が、4月にリリースされるALの1stアルバム『心の中の色紙』への期待度の高さを如実に物語っている。何より、小山田&長澤知之(Vo・G)のユニットとしての始動から約1年の現段階で、すでに目映いくらいに体現しているロックスタンダード的な存在感が、フロア狭しと伸びやかに鳴り渡っていた。

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先攻はゲストバンド:Polaris。「今日のライヴから、3人編成になりました」という大谷友介(Vo・G)の言葉通り、これまでの4人編成ではなく大谷/柏原譲(B)/サポートドラマー=あらきゆうこの3人で舞台に臨んだ彼ら。キャリアも世代もALのメンバーよりもずっと上だし、大谷自身も「なんでALとPolarisなんだ?って思ってる人もいると思うんですけど(笑)」と言いつつ「散歩が趣味」「昼飲みは楽しい」と熟年リラックスオーラ満開だった(あらきに「40越えてからのMCだよね(笑)」と突っ込まれていた)。が、そんなリラックス感と地続きの空気感のまま、ダブ/レゲエ/ポストロックなどが渾然一体となった音像越しに、フロアを抗い難い多幸感で満たしてみせたのはまさに、長い時間をかけて磨き上げたPolarisワールドの輝度と揺るぎなさゆえだろう。

“天気図”“ねじまわし”“深呼吸”と、1stフルアルバム『Home』(2002年)~2nd『Family』(2003年)からの選曲を中心に披露していたPolaris。「壮平とは、すごい昔から友達で。ミュージシャンつながりの友達とかいう以前から……まだ彼が大学生だった頃からの友達で。今は、飲み友達(笑)」(大谷)というMCで、ALとの関係性の「種明かし」をしたところで、「壮平がどっかで歌ってくれたことがあるっていう曲を……」と披露したのは“光と影”。麗しのメロディと極上のグルーヴが、フロアをゆったりと揺らしていく。「3人でやるって、いいね!」とこの日のアクトの充実感を語りつつ、「長~くこのバンドをやってますんで。みんながおじいちゃんおばあちゃんになっても、やってると思いますんで」と今後への意志を語っていた大谷。ラストの“瞬間”まで6曲でほぼ1時間、悠久のタイム感に包まれたアクトだった。

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そして、後攻:ALの登場! 「ようこそ!」と小山田&長澤が相次いで呼びかけた後、1曲目“HAPPY BIRTHDAY”へ。リードヴォーカルをリレーしながら、ふたりの声を重ね合わせながら、感情の高ぶりのままに激しいシャウトを聴かせながら、いきなりクライマックス級のテンションへと昇り詰めていくその姿が、一瞬また一瞬とオーディエンスの感激を呼び起こしていく。

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熱唱とともにリードギターも担う長澤の、ブルース~ロックンロール感を強く滲ませる卓越したプレイ。リズムギターを奏でながらのヴォーカルを基本スタイルとしながら、時にスタンドマイクで、時にハンドマイクで眩しい歌を聴かせる小山田。“シャッター”のシャッフル感も、3拍子ロックバラード“ランタナ”のパワフルなビートも叩き出す、藤原寛(B・Cho)&後藤大樹(Dr・Cho)の鉄壁リズムセクション。メンバー構成だけ見れば「初期andymori+長澤知之」ではあるが、andymoriとも長澤知之とも明らかに異なる化学変化をこの1年で生み出し、何よりそれをメンバー自身が全身で謳歌していることが、そのアクトからも伝わってくる。

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早くも静かな熱気あふれる中、序盤のMCで「イヤモニっていうのはいい感じですね。音が取れる」とイヤホンを指して話していた小山田だが、実はここまでイヤモニの音が出ていなかったことがスタッフの指摘で判明。「耳栓状態だったから、音が取りやすくなっただけか(笑)。ALへようこそ!」。照れ隠しのように呼びかける小山田の声に、満場のフロアに笑いと歓喜が広がる。

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“Mt.ABURA BLUES”の荒馬ロデオ的な痛快爆走感。晴れやかな歌声からセンチメンタルなブルース感があふれ出す、小山田リードヴォーカル曲“さよならジージョ”。小山田のブルースハープの調べとともに、長澤がアコギを弾きながら《バンドなんて組むもんじゃないと思った》と焼け切れそうなフォークと衝動を響かせた“15の夏”……小山田&長澤のふたつの才気が響き合いながら、濃密な祝祭感を繰り広げていく。特に終盤、“メアリージェーン”で聞かせた至上のコーラスワークとアンサンブルのスケール感は、戦慄にも似た高揚感を感じさせるものだった。

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アルバム表題曲“心の中の色紙”、さらに“会いにいくよ”の軽快な疾走感まで、Polarisと同じ1時間の本編・全14曲を風のように駆け抜けていった4人。アンコールは「Polarisの大谷さんとは、もう10年ぐらいの友達で。今日、はじめて対バンしました。嬉しかった!」という感慨深げな小山田の挨拶からスタート。“ハートの破り方”では後藤がピアノとドラムを担当、ロックとブルースの魔法そのもののような小山田のメロディが、4人一丸のハーモニーが、LIQUIDROOMの観客の情熱と溶け合って、奇跡のような空間を生み出していった。この日のラストナンバーは“花束”。《花束をあげるよ みんな愛してるよ》の歌声が、熱く深く胸に残った。アルバム『心の中の色紙』は4月13日リリース。そして4月18日からは「AL 1st Tour」開催!(高橋智樹)

●セットリスト

Polaris

01.天気図
02.ねじまわし
03.深呼吸
04.月の恋人
05.光と影
06.瞬間

AL

01.HAPPY BIRTHDAY
02.風のない明日
03.シャッター
04.ランタナ
05.あのウミネコ
06.リンリンリン
07.北極大陸
08.Mt.ABURA BLUES
09.さよならジージョ
10.ワレモノ
11.15の夏
12.メアリージェーン
13.心の中の色紙
14.会いにいくよ
(encore)
15.ハートの破り方
16.花束
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