6月25日、水曜日のカンパネラがメジャーデビュー作『UMA』のレコ発ワンマンツアー、「未確認ツアー」を開幕させた。ソールドアウトの新木場STUDIO COASTに用意されたのは、アルバムジャケットを思わせる原生林やクリスタルなどのオブジェで彩られた舞台。その奥の壁面に投映される、本作の各楽曲にその名が冠された未確認生物たちをトレーディングカード形式で解説する映像。動物の鳴き声を響かせる場内BGM。開演前から遊び心とともに異世界へ誘う本公演は、“メデューサ”で幕を開けた。
ここでMCタイム。『UMA』が発売されてから3日しか経っていない現状に、「『未確認ツアー』って名前に決まったとき、アルバム自体が未確認かと思った」とファンが聴き込めていないのではと自虐ぎみに語る。しかし大半の人がしっかり聴いていたことを知り、「ここで改名したいと思います!」と口にすると、なんとスクリーン上の「未確認ツアー」の文字が「確認済ツアー」へと変貌。お客さんの心をがっちり掴んでから、キャッチーかつ洗練されたハウス・ナンバーの“ツチノコ”へ。コムアイの身体は音と共鳴し、まるで各部位が別の生き物であるかのように踊り、観る者をさらに引き込んでいく。
彼女はまだまだノンストップ! 吸血UMAがテーマの“チュパカブラ”では注射器を持ったナースと鬼ごっこ、加えてサウンドプロデュースを担当するケンモチヒデフミも姿を見せる。インダストリアルテクノ風味の“バク”では幕が半分ほど下り、暗闇の中で懐中電灯を振り回すことで曲の不穏さを表現。“ラー”ではMVでコラボしたカレーメシ2くんが舞台に。喋れない彼とTwitter上で会話し、その模様を中継した。おそらく会場にいない人にとっては意味不明のツイートだったろう……。
舞台と客席、ネットとリアル、この世とあの世……。自身の顔さえも舞台装置にして、様々な垣根をひょうひょうと飛び越えたこの日のコムアイ。「同じことをやっても飽きちゃうから、もっと新しいことをって、どんどんいろんなことをやっていきたいと思ってます」という言葉の通り、水曜日のカンパネラは今後、我々が「未確認」なことを次から次へしでかしてくれるに違いない。だってまだ、メジャーデビューしたばかりなのだから。(秋摩竜太郎)
1.メデューサ
2.シャクシャイン
3.ツチノコ
4.ナポレオン
5.ディアブロ
6.小野妹子
7.雪男イエティ
8.フェニックス
9.チュパカブラ
10.ウランちゃん
11.バク
12.ユタ
13.ツイッギー
14.ラー
15.ミツコ
16.ユニコ
17.桃太郎
(Encore)
18.ドラキュラ