“ブルーバード”で吉岡の鮮烈な歌声と山下のハーモニカが駆け抜けると、水野は海老名公演が雨天に見舞われたことを受けてか「厚木の皆さん、晴れましたーっ!!」と喝采を誘う。そして吉岡は「ここ、小学校のときに体育で使った」という話題を絡めながら、「こんにつあー!!」の一斉コールを巻き起こしていた。「別れ」と「今」にじっくりとフォーカスする最新シングル曲“ラストシーン”では、水野が「映画(『四月は君の嘘』)、観てね。すげえいいとこで使われてっから」と告げていた。音源よりも幾分、パーカッションが効いたグルーヴィなパフォーマンスだ。
NHK全国学校音楽コンクールの課題曲となった名曲“YELL”(小田急線本厚木駅の接近メロディにも採用されている)では、吉岡の出身校である厚木市立南毛利小学校の児童(1年生と6年生の70名)がステージに招かれ、好きな給食のメニューは?といったインタビューを交えつつ盛大にコーラス参加。パフォーマンス後の「純粋な、大きな声で一生懸命に」というメンバーのコメントどおりの、原曲とは一味違う溌剌としたエネルギーに満ちた一曲になった。
メジャーデビューに至るまでの3人の歩みをスライドショーで(一部、加藤諒や古田新太がユーモラスに演じるコメントシーンあり)振り返ると、本編後半は初ワンマンのオープニングを飾った“花は桜 君は美し”、積み上げた経験値が弾ける“ラブとピース!”、日が暮れるタイミングに、花火や華々しい照明演出に彩られた“気まぐれロマンティック”や“じょいふる”と、アップリフティングなナンバー連打で誰ひとり置き去りにせず高揚感の中へと巻き込んでゆく。過去のライブ映像を用いながら、“心の花を咲かせよう”で、本編は幕を下ろすのだった。
緑の小高い山々に囲まれたロケーションだったからだろうか、大所帯バンドのリッチな演奏が、ナチュラルな音響効果で増幅するさまも素晴らしい。楽曲への思い入れや思い出を語り、それぞれの曲調を解釈し同化するように、多彩な歌唱スタイルを届けていた吉岡。“ブルーバード”や“じょいふる”の迫力の歌声も良いけれど、最後はやはり、切々とした美声で届けられる“SAKURA”だ。地元に盛大なお祭りを持ち帰る野外ライブというだけではなくて、すべての人々の心の故郷になりうる名曲の数々が咲き乱れ、その代え難い役割の大きさを再確認するライブでもあった。(小池宏和)
1. ありがとう
2. 風が吹いている
3. キミがいる
4. ブルーバード
5. ラストシーン
6. 翼
7. 地球
8. HANABI
9. ちこくしちゃうよ
10. YELL
11. 花は桜 君は美し
12. ラブとピース!
13. Sweet! Sweet! Music!
14. 気まぐれロマンティック
15. じょいふる
16. 笑ってたいんだ
17. 心の花を咲かせよう
(アンコール)
1. ぼくらのゆめ
2. コイスルオトメ
3. SAKURA