初の全国流通盤となるミニアルバム『Move on』のリリースツアーを敢行中の大阪出身4ピースバンド・NEVERSTAND。そのツアーの一環である高田馬場CLUB PHASEでのライブを観たのだが、「RO69JACKで優勝した若手メロディックパンクバンド」なんて簡略化された肩書きでは到底収まりきらないほど大きな可能性に満ちたバンドだった。
アルバム収録曲である “focus”を背にステージインした小路知也(Vo・G)、横井優(G・Cho)、岡本卓馬(B)、カイチ(Dr)の4人は、小路の「大阪NEVERSTAND始めます」の言葉を合図に“Memories”を投下。初っ端からカイチが叩き散らす爆音ツービートの迫力と炸裂する小路のハイトーンのコンボでフロアの意表を突いたかと思えば、疾走感溢れる“Time Never Stops”で軽快に走り抜けていく。ここまでたった2曲だが、全身が感じ取った4人の演奏力の高さには目と耳が離せなかった。大胆なアクションでプレイしているにも関わらずズレを一切生じさせないカイチの絶妙なドラミング、繊細さを持ちつつも高い熱量で超絶技巧を繰り出す横井のギター、堅実に弾く音粒が逞しく響く岡本のベース、そして滑らかな発音なのに確実に胸を刺す言葉の糾弾を撃つ小路のボーカル。そのバランスは、結成5年目のバンドにしてはあまりにも出来過ぎているほどだ。
そんな彼らは「全然スカスカなフロア、俺らは現状こんな感じです」と自分たちを評価し、「ただ、ダサいライブするつもりはないんでよろしくお願いします」という宣戦布告を掲げた。“The Face Of The Fake”“Heavy Rain”と曲を追うごとに豪快なまでに増幅していく鋭さと熱量からは、大阪という若手バンド激戦区で培った負けん気の強さや誇りを強く感じた。
その勢いの理由を語るように、小路が「最近はあんまりいないけど、今日のお客さんノってくれないなとか、客がなんたらって言う人がいる。でも俺は、観てくれている人に俺らがどれだけできるかってことだと思ってます。誰にも負けたくないです、こういうところでは特に」と話して、新曲“帰り道”をプレイ。これまでとはまた違った雰囲気を携え、哀愁を帯びたメロディラインが心地良く響いた。
そして今まで「それなりに」やってきた小路自身の生い立ちを語り、「でもバンドだけはほんまに誰にも負けたくないって思う。音楽に勝ち負けはないって言うけど、俺は気持ちだけでは絶対に負けたくない。正解なんて分からないけど、俺の信じた道を真っ直ぐ進んでいく」という強い決意を“Crossing Sky”に込めた。ラストは「こんな世の中だから、信じられるものを信じてください。俺たちは信じられるバンドになるんで」という誓いと共に新曲“Dear Comrade”を爆音爆速でプレイし、東京の地にしっかりと爪痕を残してステージを去った。
ジャンルなんて関係なく自分たちが良いと思ったものを信じてここぞとばかりに拾い上げても全て立派に育てられる器用さとセンス、さらにそこに負けん気と真面目さが備わっている彼ら。その伸びしろは計り知れない。(峯岸利恵)
NEVERSTAND/高田馬場CLUB PHASE
2016.09.06