VINYL JUNKIE RECORDINGS presents 33/45 JUNKIES vol.8 @ 渋谷クラブクアトロ

勢いのあるUKの新人バンドなどを続々と発掘、独自の選択眼がインディ・ロック・ファンから愛されるレコード・レーベル=ヴィニール・ジャンキー主催による人気イベント、今回は第8回目の開催となる。

なお、当初出演が予定されていたオーストラリアはブリスベン発のディスコ・パンク・バンド、フラミンゴ・クラッシュはメンバーの怪我により、残念ながら急遽来日がキャンセルとなっている。

イェルプスは、ザ・ビューやザ・メトロスを輩出した、<1965 RECORDS>の新人バンド。このレーベルはあの、ザ・ストロークスやザ・リバティーンズを発掘した元<ラフ・トレード>のA&Rジェイムス・エンディコットが創設したもの。彼の審美眼にかなったバンドということで、気になっている人も少なくないのでは。フロントマンのオリバーはかなりの美貌の持ち主。いわゆる王子系で、凡人では着こなせないエキセントリックな柄のジャケットを羽織っていても様になる。ただそんなルックスはしているけど、曲が始まれば、かなりアグレッシヴにステージ上を動きまわる。コンセプチュアルなアクションではなく、みなぎる衝動にそのまま身を任せ、歌を歌い上げているという感じのスリリングなもの。そんな中に天性の妖艶さが染み出てくるところが、憎い。彼らの楽曲自体、ポップながらも、ひたすら予定調和を拒むようないびつさを宿しており、そのいびつさこそが胸を突いてくるところなのだが、ライブでは、その衝撃がさらに増幅される。バンドの演奏もかなりエネルギッシュで、結成から間もないこともあり、かなり荒削りなところもあるが、後半になるに従い調子が良くなってきていて、終盤みせた長めのインタールードの演奏も、CDなどでは伝わってこないこのバンドのグルーヴ・センスを垣間見せていたように思う。

続いてオーストラリアで国民的人気を博す男女混合5人組バンド、オペレーター・プリーズのフロントマン=アマンダと、ドラマー=ティムによるDJタイム。2人とも「DJ任されたけど、どうしよう〜」という緊張感が100パーセント顔に出ていたけど、それがまたなんとも初々しくてかわいい! フロアの盛り上がり方をみながら、ティムと手元のiPodを覗き込んで選曲してる姿も微笑ましく、通常のライブではみられない素の表情がみられるところがファンにとってはたまらない。M.I.A.、CSS、フォールズから、マドンナ、マイケル・ジャクソンといった80\'sの鉄板チューン、そしてエイメリーまで、彼女達世代のリアルなリスナー感覚が反映されたプレイは、上世代の自分にとっては興味深くもあり、かなり楽しませてもらいました。

ラストはグラスゴー発の4人組、パーカ。これまで様々な個性をもつバンドが出演してきた同イベントの歴代出演陣の顔ぶれの中でもひときわ野郎度の高いバンドといえるかもしれない。のっけからカウベルをたたきまくってパワフルにステージに登場したフロントマン=マットは、親しみやすい茶目っ気キャラでオーディエンスをぐいぐいひきつけている。キレのある力強いビート繰り出すドラマーのマットと、キーボードのマークの息もぴったりで、一曲目の時点で、かなり高い演奏力を備えていることがビシビシ伝わってくる。スコティッシュ・パンク、ダンス・ミュージック、加えてファンクやニュー・ウェイブなどを融合させた間口の広いサウンド。加えて、初見の人でも一度聴いたら思わず合唱したくなるサビをもつ楽曲、観客を一体化させていく盛り上げ上手のパフォーマー、確かな演奏力もあり、ということで、このバンド、かなりフェス向き。パブのギグなんかにもちろんハマるけど、そうやって日常の隙間をお祭り空間に塗り替えていくだけでなく、祝祭感溢れる野外のフェスのステージとなればさらに精彩を放つタイプのバンドだと思う。ずっとアゲられっぱなしの場内だったけど、終盤、現在の彼らの代表曲ともいえる“ベター・エニウェイ”では一段の盛り上がりをみせていた。(森田美喜子)
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