LiSA/さいたまスーパーアリーナ

LiSA/さいたまスーパーアリーナ - All photo by hajime kamiiisakaAll photo by hajime kamiiisaka

「ようこそ、『LiTTLE DEViL PARADE』アリーナツアーへ!」「今日は16,624人の“LiTTLE DEViL”と一緒に、最高の日を作りに来ました!」
弾けんばかりのエネルギーに満ちたLiSAの快活な言葉に、さいたまスーパーアリーナを満たしたオーディエンスから怒濤の大歓声が沸き起こる――。

5月にリリースしたばかりの最新アルバム『LiTTLE DEViL PARADE』を携えて、6月17日の神戸ワールド記念ホールを皮切りに6月24・25日:さいたまスーパーアリーナ、7月1日:日本ガイシホールを巡るアリーナツアー「LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~」の2本目にして、LiSAにとって初のさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブでもあるこの日のライブは同時に、彼女の30回目の誕生日を祝うバースデーライブでもある。
ということで、開演前から熱気と期待感あふれる観客を、こちらの想像を遥かに超えた演出の細部にまで張り巡らされた明確なコンセプト、その裏側に脈打つ強烈なメッセージ性、そして彼女自身の熱唱と不屈のエモーションによって、ロックと歓喜の極致へと導いてみせた、最高のステージだった。
LiSA/さいたまスーパーアリーナ
ツアーファイナルの日本ガイシホール公演が控えているため、ここではセットリスト全掲載や演出についての記述は割愛、一部の楽曲に触れるに留めさせていただくが、デビューから7年間の彼女自身の経験を踏まえた「人と違う自分を愛することで、自分の未来を明るいものに変えていくことができる」というメッセージを、オープニングや中盤に挿入されたアニメーション映像、そしてダンサーチーム「メガどーナッツ」を交えたパフォーマンスによって鮮烈に体現し尽くしてみせたアクトだったことは間違いない。
LiSA/さいたまスーパーアリーナ
ハードエッジなロック感でたまアリを揺らした“LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~”、“the end of my world”や、LiSAやダンサー陣のみならずサポートバンド「にゅーメンズ」のメンバーも含め会場中央のセンターステージまで大行進を繰り広げた“そしてパレードは続く”……など、この日のライブは最新作『LiTTLE DEViL PARADE』の楽曲を軸に構成されたものだった。
だが、特に印象的だったのは、“オレンジサイダー”(シングル『Rally Go Round』カップリング)、“Believe in myself”(1stミニアルバム『Letters to U』収録)などの既存曲まで含めた楽曲群が有機的に絡み合いながら、ひとつの壮大なストーリーを編み上げていくような、意欲的なステージングそのものだった。
LiSA/さいたまスーパーアリーナ
そして何より、LiSAの圧倒的なボーカルとパフォーマンスに驚愕と感激を禁じ得なかった。
彼女がロックヒロインと評されるのは、単に「ロックなアレンジの曲を歌っているから」ではなく、己のすべてを振り絞って「その先」の希望の風景を目の前に描き出そうとする、情熱の爆発力と切実さにおいてである――ということを、約3時間に及ぶ熱演の中で限界に挑むアスリートのように終始眩しい歌声を響かせる姿がどこまでも雄弁に伝えていた。

「今日は6月24日なんですけど――今日から30年前に、私は生まれました!」と終盤のMCで語るLiSAに、割れんばかりの大歓声が降り注ぐ。
そして、本編の最後、にゅーメンズのアンサンブルを全身に受けながら「もしかしたら、生きている意味なんてないのかも。だけど……」と高らかに叫び上げるLiSA。続けて「……みんなと作った今日みたいな最高の日が、私の人生の30年後にあるんだとしたら、生きている意味は絶対にあったなって思います!」と呼びかける言葉に応えて、惜しみない拍手喝采が広がっていった。
LiSA/さいたまスーパーアリーナ
アンコールでは『僕のヒーローアカデミア』第2クールのエンディングテーマに決定した新曲“だってアタシのヒーロー。”(8月2日リリースのニューシングル曲)を披露、会場の熱気をなおも高めていく。
「ひとりだとハミ出し者だけど、こんだけ集まれば強いでしょ? ひとりで始まったパレードでしたが、みんなが集まってくれたことで、『LiTTLE DEViL PARADE』になりました!」というLiSAの感謝の言葉から、この日の正真正銘ラストナンバーへ――と思いきや、ここでバースデーケーキとともにミニオンたちが登場!
2015年の『ミニオンズ』に続き、7月21日公開の映画『怪盗グルーのミニオン大脱走』に日本語吹替えキャストとしてLiSAが出演することをサプライズ発表、客席がどよめきと歓喜に包まれる。

「せっかくなんで、ミニオンたちもラストの曲、一緒にやる?」とLiSAが誘って、最後はミニオン&メガどーナッツ一丸となって“best day, best way”で大団円! 観る者すべての孤独も寂しさも輝かせる、渾身のポジティビティが、この日のさいたまスーパーアリーナには確かに、感動的なまでのスケールで炸裂していた。
アリーナツアーに続いて、9月からは全国ホールツアー「LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~『そしてパレードは続く』」の開催が決定しているLiSA。全国の「ハミ出し者」の魂を奮わせる彼女のパレードは、まだまだ続いていくのである。(高橋智樹)
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