フレデリック/新木場STUDIO COAST

フレデリック/新木場STUDIO COAST - all pics by Viola Kam (V'z Twinkle)all pics by Viola Kam (V'z Twinkle)

●セットリスト
1. オンリーワンダー
2. オワラセナイト
3. 愛の迷惑
4. かなしいうれしい
5. ミッドナイトグライダー
6. ナイトステップ
7. スローリーダンス
8. ディスコプール
9. パラレルロール
10. USO(FAB!)
11. ハローグッバイ(FAB!)
12. まちがいさがしの国
13. RAINY CHINA GIRL
14. リリリピート
15. オドループ
16. KITAKU BEATS
(アンコール)
EN1. たりないeye
EN2. TOGENKYO


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昨年に東名阪クアトロ&全国ツアーを終えた、そして今年2月に台湾単独公演、4月に神戸ワールド記念ホール公演を控えているフレデリックによる、新木場STUDIO COAST 2デイズ「フレデリズムツアー リリリピート公演~みんなのTOGENKYO~」、その2日目。ネオン管の光に彩られた“TOGENKYO”のMVを彷彿とさせるステージ上に4人が現れたのは、定刻を少し過ぎた頃のことだった。SEが響くなか、高橋武(Dr)が鳴らしたシンバル4発を合図に演奏がスタート。お立ち台にヒョイと上り、オーディエンスの表情を確認する三原健司(Vo・G)、三原康司(B)、赤頭隆児(G)の笑顔には確かな自信が表れている。

フレデリック/新木場STUDIO COAST

「フレデリズムツアー、みんなのTOGENKYOへようこそ。本日は我々の音楽を素直に楽しんでください」。健司が告げたその一言を機に、展開は加速していく。ビートを前面に打ち出すことにより、音源よりも力強いサウンドに変貌した“かなしいうれしい”。タイトに刻むリズム隊と気持ちよく伸びる上物とのコントラストが鮮やかな“ミッドナイトグライダー”。ソロ回し的なイントロに沸いた“ナイトステップ”は、ヘッドを振り上げながらグオンと抑揚をつける康司のベースラインが心地よいうねりを生み、休符を効かせたアンサンブルとファルセットメインのボーカルが新鮮な“スローリーダンス”は独特の浮遊感を生み出した。そして4人一斉に刻むリズムを徐々に転調させながら“ディスコプール”~“パラレルロール”間の橋渡しも華麗に完了。――という具合に、4~9曲目は、昨年夏頃からこのバンド内のトレンドになりつつある、MCなしで複数曲を続けて演奏するスタイルだった。メンバーのアレンジセンスや演奏技術も試されるこのスリリングなスタイルは、HIP LAND MUSICのクリエイティブ・ディビジョン INTが手掛けたVJやレーザー光線の演出が加わったことによって一層華やかなものに。目にも耳にも楽しい、ノンストップのダンスホールが誕生だ。

フレデリック/新木場STUDIO COAST
フレデリック/新木場STUDIO COAST

しかしまだまだ止まらない。一旦暗転したあとは、アコースティック編成に切り替え、“USO”、そして“ハローグッバイ”を演奏。アルバム『TOGENKYO』の初回限定盤に付属されていた『アコースティックスタジオライブ「FAB!! ~Frederic Acoustic Band~」』を踏襲し、両曲ともテンポを落とし、歌やコードの響きを聴かせるようなアレンジが施されていた。このコーナーは昨年のクアトロ&全国ツアーではなかったものだが、今回取り入れた意図、そして2018年におけるフレデリックの戦い方について、健司は「どんどん楽曲を洗練させていきたいし、音楽の可能性を広げていきたい」とコメント。その後披露された2曲――ハンドマイクに持ち替えた健司のステージングや鋭い筆致の歌詞にちょっと意外性を感じる“まちがいさがしの国”、肩の力の抜けたようなリズム感が新鮮な“RAINY CHINA GIRL”――もまた、別の角度から彼らの「可能性を広げる」ような曲であった。

フレデリック/新木場STUDIO COAST
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ここまで書いてきたように、この「リリリピート公演(※自身の楽曲に因んで、このバンドは追加公演のことをこう呼んでいる)」は、来るアリーナ公演を見据えたバンドの「進化」を多角的に見せていくようなステージとなった。そのため、ある意味ストイックなライブであったはずだが、「上京してから初めて4人一緒にディズニーシーに行った」というエピソードを軸にしたメンバー紹介MCの脱力感然り、場内が終始温かな空気に包まれていた感じが何ともフレデリックらしい。特に印象深かったのは、「リピート地獄に陥ってください」、「次はダンスフロア天国を作りませんか!?」、「そろそろ帰宅のお時間です。どうする? 遊ぶ、遊ばない?」と各曲に因んだ言葉を挟みながら“リリリピート”、“オドループ”、“KITAKU BEATS”と畳み掛けた流れ。演奏にも気合いが滲み、曲数を重ねれば重ねるほど、ステージ上にもフロア内にも笑顔ばかりが広がっていたのだ。ちょっと感極まってしまうほどに。

フレデリック/新木場STUDIO COAST

もはや一つの単語で括ることなどできないこのバンドの多彩なグルーヴに心身を委ね、自分なりのノリ方で自由に楽しむオーディエンスの姿。そして、(1曲目の“オンリーワンダー”からそうだったのだが)手拍子やシンガロングなどのリアクションを「煽る」のではなく「委ねる」ようにしていたバンド側のやり方。今のフレデリックにおける「ストイックだけど楽しい」モードの根底にあるのは、聴き手との間に培った互いを委ねあえるような関係性であり、それは「信頼」とも言い換えられるのかもしれない。ミュージシャンとしての好奇心や探究心に基づくバンドの「進化」、そんな彼らの音楽を慕い集う聴き手が抱く「信頼」の連鎖が止まらない限り、このバンドを中心とした円のような縁はもっと大きく広がるはず。それこそが彼らの思い描く「桃源郷」なのではないだろうか。

フレデリック/新木場STUDIO COAST

《遊びきってから帰宅》のフレーズに合わせて綺麗に幕を落とした本編の締め方。その幕越しに演奏を開始、もやのかかったようなライティングが幻想的だった“たりないeye”。桃色の紙吹雪までもが舞い踊ったフィナーレの“TOGENKYO”――と、オーディエンスを最後まで喜ばせたい/驚かせたいという気持ちの詰まったラストシーンまで美しく、そして鮮やかに。去り際、「2018年の音楽シーン、フレデリックが全部掻っ攫っていきます!」という宣言に思わず「よし、行ったれ!」と返したくなるような、会心のステージだった。(蜂須賀ちなみ)

  • フレデリック/新木場STUDIO COAST - 1/13公演より

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終演後ブログ
【速報】フレデリックの新木場STUDIO COAST 2デイズ、その2日目を観た!
アリーナを見据えた光や映像による演出、アコースティック編成での演奏を盛り込みつつ、リピート地獄からダンスフロア天国までを縦断、最終的に全員まとめて桃源郷へと掻っ攫っていった2時間弱。もう、最高だった。 2018年におけるフレデリックの戦い方について、三原健司(Vo・G)は「どんどん楽曲を…
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