【来日レポ】ブルーノ・マーズ @ さいたまスーパーアリーナ公演

【来日レポ】ブルーノ・マーズ @ さいたまスーパーアリーナ公演

グラミー賞7冠に輝いた『24K・マジック』を引っ提げて、4年ぶりの来日を果たしたブルーノ・マーズだが、その『24K・マジック』のファンク・サウンドを全面にたたきつけながら、徹底的に観客を楽しませる鉄壁なライブ・パフォーマンスとなった。

観客席側にせり出したステージには、前面と側面が幕に覆われており、会場が暗転すると、沸き上がる歓声の中、ブルーノがオートチューンのかかったボーカルでザップのロジャー・トラウトマン風に「アー・ユー・レディ?」と観客を煽り続け、幕が上がるとライトが一斉に当てられる眩さの中、オープナーの“Finesse”に突入。

ブルーノとバンドのザ・フーリガンズのメンバーは、それぞれにプロ野球やプロバスケットボールのユニフォームを着用してそれを彩りとしながら、ステージの各所に陣取っていく。とにかく、どこまでもタイトな演奏でこの曲のグルーヴをぶちかましてくる。

フーリガンズは極限までその演奏を鍛え上げてきていることでも有名だが、もともとこの“Finesse”がモチーフにしているのは90年代前半のニュー・ジャック・スウィングで、本来ニュー・ジャック・スウィングはプログラミングを前提に編み出されたビートでもある。そんなビートを生バンド演奏で、のっけからバキバキにタイトなグルーヴとしてぶっぱなしてくるブルーノとバンドに、ほとんど呆れてしまうような驚きと歓喜とで迎えるしかなかった。

【来日レポ】ブルーノ・マーズ @ さいたまスーパーアリーナ公演

続く“24K Magic”はズブズブのファンク・チューンだが、アルバムではパーラメント=ファンカデリックのバーニー・ウォーレルばりのシンセによるベースラインがグルーヴを生み出していく曲になっていたが、ライブではベースのジャマレオ・アーティスがこのメロディアスなファンキー・ベースラインを弾きこなしているのが身体にぶんぶん響いてきて異常に心地よかった。

さらに、この曲はボーカルのほとんどがブルーノとコーラス(ホーン・セクションも兼務)とのフレーズの掛け合いとなっていた。これがどこまでもジェームス・ブラウン的で、なおかつラップ的でもあるこのグルーヴに乗り、どこまでも心地よく、モダンなエッジも備えた素晴らしい演奏になっていた。

【来日レポ】ブルーノ・マーズ @ さいたまスーパーアリーナ公演

続いては、オールラウンドなポップ・アルバムだった2nd『アンオーソドックス・ジュークボックス』からの唯一のポップ・ファンク・ナンバーの“Treasure”も披露し、そのままセットの前半は一気に『24K・マジック』の楽曲で押しまくる展開に。

完璧なほどまでの80年代R&Bバラードとなった“Versace On The Floor”に続いては、1st『ドゥー・ワップス&フーリガンズ』からの“Marry You”になるが、もともとはミッド・テンポのポップ・ナンバーとしてのこの曲を、バンドとともにポップ・パンクとして披露し、会場の熱をそのまま上げていくところはさすが。

ドラム・ソロを挟んだ1stからの“Runaway Baby”は、アルバムではブルースをベースにした性急なロックになっていたが、このライブではどこまでもタイトなR&Bとして演奏された。バンド全員でステップを踏みながら演奏するその様子は、60年代のソウル・レヴューのパフォーマンス的でもあって、とても楽しかった。

【来日レポ】ブルーノ・マーズ @ さいたまスーパーアリーナ公演

終盤はブルーノ最強のロック・ナンバー“Locked Out Of Heaven”、そして最初のヒット曲にして名曲“Just The Way You Are”で本編終了。そしてアンコールはマーク・ロンソンに声をかけられ、ファンクへの傾倒に背中を押してもらった“Uptown Funk”という完璧な締めになった。

今考えれば、明らかに“Uptown Funk”はブルーノにファンクをど真ん中からやることを強いた楽曲だったはずだ。それは2ndでブルーノとコラボレーションしたマーク・ロンソンがおそらく、ブルーノの中に、ずっと抑えられてきたファンクへの欲求がマグマのように沸々としているのを察知したからだろう。マークはブルーノの背中を押して、それが『24K・マジック』として形になるという、その自己解放のストーリーをこのライブはあまりにも如実に体現しており、そこがとても爽快でカタルシスに満ちていて素晴らしかった。(高見展)



4月14日(土)追記:ライブ写真を追加しました
※ライブレポートは4月12日(木)、ライブ写真は4月11日(水)のものです
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