●セットリスト
1. StaRt
2. VIP
3. 我逢人
4. REVERSE
5. WanteD! WanteD!
6. WHOO WHOO WHOO
7. PARTY
8. Love me, Love you
(アンコール)
EN. Speaking
4月17日、連日暖かい天気が続いていた中、雨が降り寒くて息が白くなるほどの野外で行われた、Mrs. GREEN APPLEの3rdアルバム『ENSEMBLE』リリース記念フリーライブ。
冒頭に書いた言葉は、大森が、雨が降る中のライブで、お客さんがまさにビチョビチョに濡れて楽しんでいる様子を見て出た言葉だろう。
そのとおり。みんな雨に濡れたって、高くジャンプして高く手を上げていたし、後ろの人は傘を差しながらも身体を上下に揺らしていた。
ライブで盛り上がれば汗で濡れるだろうし、確かに雨だろうが関係ない。もう、雨すら味方というか、雨すら用意された演出であるかのような堂々としたミセスの出で立ちに、今のミセスにあふれた自信と、本日リリースのアルバム『ENSEMBLE』、4月20日の初『Mステ』出演、5月からのツアーという大きな道に向かって大股でずんずんと進んで行くパワーを感じた。
ライブが始まる前、『SCHOOL OF LOCK!』のとーやま校長とあしざわ教頭が登場。当日より配信がスタートしたアルバム『ENSEMBLE』が、iTunesのチャートで1位を獲得していることを報告すると、会場からは大歓声が。
この時期にしては寒すぎる野外だったが、ふたりのトークで会場がだいぶあったまったところで、Mrs. GREEN APPLEを呼び込む。
寒さに凍えた会場をあっためる&小手調べと言わんばかりにおなじみ“StaRt”からスタート。しかし観客は、寒さも雨も忘れ、大声で歌う。傍から観てたら「あれ、もうライブ中盤だっけ?」と思うくらいに。ミセスにもファンにも、ウォーミングアップなんていらないのだ。最初から全力&全熱量でお互いに楽しみ合う、それがミセスのライブなのだ。(ということを頭っからいきなり見せつけられて、仕事で来ていることが歯痒く思えてしまったことはここだけの話だ。)
そして開き直って、「今日、ビチョビチョになりにきたんだよってくらいのライブするんで」と、自分たちのファンは雨にも寒さにも負けないと信じ、自分たちを逆に奮い立たせるように言う。
“REVERSE”では遊ぶように歌い、「雨に負けてませんか!?」と大森が会場に呼びかけると、観客もひときわ大きな声で応え、“WanteD! WanteD!”では、大きな声で歌い、そして大きく手を振っていた。
「お話ししませんか!!??」と大森が叫んで始まった“Speaking”。最後の最後まで、ミセスと観客の最大エネルギーがぶっ放されると、曲の途中から雨が小降りになり、曲が終わる頃には雨が止んでいた。まさしくミセスとお客さんのパワーで吹き飛ばされた……と言ったらクサイかな(笑)。
「雨ニモマケズ」とは有名な言葉だが、まさしくミセスもそのファンも、雨にも、寒さにも負けないエネルギーがある。それを、今回のフリーライブではまじまじと見せつけられたし、雨や寒さくらいじゃMrs. GREEN APPLEというバンドに立ちはだかっても、倒されるどころか利用されてしまう――今やMrs. GREEN APPLEにとって怖いものはないという感じだ。
私は以前、“Love me, Love you”について書いたコラムで、「Mrs. GREEN APPLEは、自分たちをとても客観的に見ることができているバンドだと思う」と書いた。だからこそ、彼らにとって、一番の敵はMrs. GREEN APPLEであり、自分なのだ。
今回は、2年前の自分達にリベンジした。それと同時に、本日、今の自分達が最高と言えるアルバムをリリース、さらに、5月からのツアーと、自身最大キャパである幕張メッセ2デイズへの挑戦が始まった。
ミセスは常に高みを目指し、挑戦し続け、一つ越えるごとに大きくなる。
今回のフリーライブは前哨戦でしかなく(それでもここまでのアツいライブだったわけだが)、『ENSEMBLE』の楽曲たちがこれからのツアーでさらに熟していき、それにともない、ツアーファイナル幕張では、「今」最高のミセスより、壁をいくつも越えた「もっと最高」になったミセスに会えるだろうと確信した。(中川志織)