【来日レポ】デュア・リパ @ Zepp Tokyo公演

【来日レポ】デュア・リパ  @ Zepp Tokyo公演 - Photo by SARU (Ayumi Saruya)Photo by SARU (Ayumi Saruya)

これが22歳の、アルバムを一枚しか出していないアーティストのパフォーマンスなのかというほど、堂々たる躍動感と説得力に満ちたショウだった。コソボ生まれUK育ちのシンガーソングライター、デュア・リパ。昨年の「SUMMER SONIC 2017」出演を経て、今回は初の単独来日公演である。その間に、彼女はブルーノ・マーズのUSツアーに帯同し、また「BRIT Awards 2018」で2冠を獲得するなど、新世代ポップ・スターとして華やかなステップを踏みながらワールド・ツアーへと乗り出した。破竹の勢いを見せる中での一夜限りの来日公演ということもあり、Zepp Tokyoのフロアはみっちみちに践め尽くされている。

ギター/キーボード、ベース/キーボード、ドラムスというサポート・バンドの面々に続いて登場し大歓声を浴びるデュア・リパは、上下の柄物ロングタイツにワークアウト・ウェアを重ね着するというアクティブな装いだ。ファッションモデル並の美貌を持ちながら、ステージではハスキーな歌声を響かせながら率先して跳ね上がり、所狭しとステップしてオーディエンスを煽り立てる。のっけからの“Blow Your Mind (Mwah)”に続き、ショーン・ポールやワーレイに客演したナンバーを織り交ぜてゆくアップリフティングな展開だ。モダンなダンス・グルーヴを吸収しながら、生々しい躍動感を打ち出してゆくバンド・サウンドもすこぶるタイトで良い。

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一貫してフィジカルなパフォーマンスを繰り広げる、視覚的にも華やかなステージ。ただ華やかさだけを追求するのならば、ゲストのダンサーを何人か迎え入れればいい。しかしデュア・リパはそれをしない。彼女が大勢のオーディエンスを前に一人きりで繰り広げるダンスは、彼女の歌に、またソングライティングに込めた感情を自ら可視化するためのものなのである。ひっきりなしに動き回りながら、「歌」を血肉化してゆくプロセスを感じさせる。ただ歌って踊れるというレベルの話ではなく、彼女にとってはダンスも「歌」を伝えるための手段なのだ。

オーディエンスはいつしか、デュア・リパ個人の人生の途上にこのライブ・ツアーがあり、エモーショナルなラブ・ソングの数々を共有しているのだという事実を理解させられることになる。我々はライブを通して、デュア・リパの物語に巻き込まれているのである。瑞々しいダンス・サウンドの中で満場の歌声を呼び起こす“Be The One”も、ギター伴奏だけでソウルフルな節回しを炸裂させる“Thinking 'Bout You”も、ライブ中盤はもはや会場の空気はデュア・リパに完全に掌握され、自由にコントロールされる状態にあった。

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マーティン・ギャリックスとの共作曲として紹介された“Scared To Be Lonely”は、人力フューチャーベースのサウンドの中で思うさま熱いエモーションが咲き乱れ、終盤の“Hotter Than Hell”の爆発力は凄まじいものがあった。ただ歌唱力やダンスの技術で魅了するのではなく、デュア・リパは自らの楽曲を全身で表現することで「理解」を勝ち取っているのである。盛大なデュア・コールで迎えたアンコールは、けたたましいサイレンが鳴り響く中スクリーンに警告の文字が記され、「ここにいるみんな、中指を突き立てるのよ」というメッセージが踊る。愛ゆえの、生身の人間の怒りに満ちた“IDGAF”は、熱狂とともにこの上ないクライマックスを描き出すのだった。

デュア・リパの素晴らしさは、ただ若さでも美しさでもない。生身の感情を歌に乗せ、確実に理解を得ようと歌を体現するその姿勢である。勢いを感じさせながらも説明を怠ることなく、物語的にオーディエンスを巻き込んでゆくステージは、初めて彼女に出会った人でも魅了されるに違いない、と思わせるものだった。彼女はステージ上でまた来日することを明言していたので、再会が訪れる日は近いだろう。より多くの人々が「デュア・リパという物語」に共鳴する光景を、ぜひ観てみたいものだ。(小池宏和)

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〈SETLIST〉
1. Blow Your Mind (Mwah)
2. Dreams / No Lie
3. My Love
4. Lost in Your Light
5. Garden
6. Last Dance
7. Be The One
8. Thinking 'Bout You
9. New Love
10. Genesis
11. Scared To Be Lonely
12. Homesick
13. No Goodbyes
14. Hotter Than Hell
15. Begging
(encore)
01. IDGAF
02. New Rules
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