ASIAN KUNG-FU GENERATION/Zepp DiverCity (TOKYO)

ASIAN KUNG-FU GENERATION/Zepp DiverCity (TOKYO) - ASIAN KUNG-FU GENERATION/All photo by TEPPEIASIAN KUNG-FU GENERATION/All photo by TEPPEI
「『芋』、『骨』と題したツアーなので、あんまりライブでやってないやつを今日はやります。あの曲聴きたい、この曲聴きたい、ってたくさんあると思うんですよ。でも、作ったのは全部俺たちだからさ。分け隔てなく抱き締めてあげてほしいなあって」
ツアー初日の、しかも序盤からエモーショナルに沸き返るフロアに向けて後藤正文(Vo・G)が呼びかける言葉が、Zepp DiverCityをさらに熱く高ぶらせていく――。

2012〜2018年の楽曲を収録したベストアルバム第2弾『BEST HIT AKG 2』と、同時発売のゴッチ選曲によるコンピレーション盤2作品『BEST HIT AKG Official Bootleg“HONE”/“IMO”』を携え、15会場・22公演にわたって開催される「ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018 『BONES & YAMS』」。
そのツアーの幕開けを飾る、Zepp DiverCity 2Days公演の1日目。アルバム曲・カップリング曲も含めアジカンヒストリーがリアルに立ち昇ってくるような選曲越しに、その道程の隅々まで時代に/ファンに愛されてきた4人の在り方が明確に伝わってくる、最高の一夜だった。

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    ニック・ムーン

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    ニック・ムーン

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ツアー全公演で開場時間中のオープニングアクトを務めるのは、4月に初のソロアルバム『CIRCUS LOVE』をリリースしたKYTEのフロントマン=ニック・ムーン。キーボード/サンプラー/PCを駆使しながら、“So Well”では自身の声をループさせて二重三重のひとりコーラスワークを生み出し、“Something”ではシーケンスとリズムとリアルタイムのシンセ演奏と絡み合わせ――といったハイパー&ハイブリッドな表現方法を通して、KYTEのドリームポップから多幸感と神秘性を高純度で抽出したような音世界を繰り広げてみせる。
「よろしくお願いします。私は、ニックです。イギリスから来ました」とMCでは日本語で呼びかけつつ、『CIRCUS LOVE』から5曲を披露。「アジカンのライブを、楽しんでね!」と最後に披露したエレクトロポップナンバー“You & Me”でフロア一面のクラップを巻き起こしながら、Zeppの空間を凛とした多幸感で満たしていった。

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そして、ほんの2〜3分のインターバルを挟んで、ニックと入れ替わりで後藤正文、喜多建介(G・Vo)、山田貴洋(B・Vo)、伊地知潔(Dr)とサポートメンバー・下村亮介(Key/the chef cooks me)が登場。序盤からアグレッシブにフロアを揺らし、熱いクラップと歌声を呼び越していく。

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「いつもの『フェスのアジカン』を求めて来てる人もゼロではないし、それは間違いではないし。いろんな人がいるから、みんな楽しんでほしいんだよ」とゴッチはMCで話していたが、“Right Now”、“今を生きて”といった『BEST HIT AKG 2』収録曲はもちろんのこと、“無限グライダー”(『君繋ファイブエム』/2003年)や“ロードムービー”(シングル『ブルートレイン』カップリング/2005年)といった楽曲のイントロが鳴るたびに、オーディエンスから驚きと感激の声が湧き上がる。
シングル表題曲やフェスアンセムのみならず、アジカンの生み出してきた楽曲群は、それこそ表も裏も関係なく、時代を生き抜く鼓動としてのロックを響かせ続けてきた――ということを、力業ではなく観る者すべてを伸びやかに高揚感の果てへと導いてみせたこの日のアクトは改めてはっきりと伝えていた。

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「どの曲も、意外と作った時のことを覚えてて。演奏しながら『おおーっ』みたいな気持ちになりますけど」とゴッチ。「まったくピンと来てない人がいてもいいんだよ? 『ファンになったのが昔の人の方が偉い』とか、そんなのないからね、音楽には。今日が『はじめまして』でもいいんだよ」と語る言葉に、ひときわ高らかな拍手喝采が響き渡る。

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『BEST HIT AKG 2』に収められた最新ナンバー“生者のマーチ”の、憂いに満ちた詞世界とコードワークを包み込むような雄大なアンサンブル。2016年の2ndアルバム『ソルファ』再レコーディングを通してさらに精緻かつダイナミックに磨き抜かれた“Re:Re:”のサウンドスケープ。楽曲そのもののラフでストレートな疾走感を、ゴッチ/喜多/山田/キヨシ/シモリョーの一体感でさらに痛快にドライブさせていった“夜を越えて”……。フロア激震の熱狂空間を描き出した、“君という花”や“遥か彼方”といった初期からのキラーナンバーも含め、次から次へと名場面が押し寄せ、オーディエンスを刻一刻とロックの頂へと誘っていく。

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「いい感じでアルバム作ってるし。それ作ったら、またそのアルバムの曲をたくさんやるライブもやるし」とバンドの「その先」について話していたこの日のゴッチ。「仲間たちも頑張ってるし、ストレイテナーとかね。ELLEGARDENも復活するじゃない? なので、俺たちもすごいアルバムを作ってね――ツアーは来年になっちゃいそうだけど、またライブハウスに観に来てください!」……そんな言葉に応えて、割れんばかりの拍手と歓声がZepp狭しと鳴り渡っていた。

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ファイナルの京都KBSホール2Days(7月19日(木)・20日(金))まで全22公演を約1ヶ月半で駆け抜ける「BONES & YAMS」ツアー。来るべき新作への期待感が天井知らずに高まる、珠玉のステージだった。(高橋智樹)

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