UKロックの蒼き彗星=ザ・サブウェイズ、『サマーソニック08』以来の来日にして東京&大阪単独来日公演、実現! アルバム『ヤング・フォー・エタニティー』で若さと衝動を振り撒きながら華々しくシーンに登場してから早4年。昨年リリースした2ndアルバム『オール・オア・ナッシング』ではその衝動をがっちりバンドの推進力に変えて成長した彼らの「今」を目撃するべく、渋谷クラブクアトロ2Days・1日目のフロアには開演前からぐつぐつ音を立てる勢いのキッズの熱気、熱気!
19:05。オープニング・アクトで登場したのは、ELLEGARDENのドラマー・高橋宏貴を擁する新バンド=Scars Borough(スカーズ・ボロ)。なんとこの日が初ライブ! たった4曲ではあったが、そのタフなロックンロール・サウンドとKYOKOのボーカルのスリリングなせめぎ合いが強く印象に残った。彼らの音楽の全貌は、4月22日にリリースされるミニアルバム、そして5月からの全国40本に及ぶツアーでがっちり確かめたいところだ。
19:52、いよいよザ・サブウェイズの3人が登場!――なのだが、すでにビリー(G/Vo)とジョシュ(Dr)は上半身裸、しかもジョシュは膝下丈のパンツに黒の覆面をかぶっているという「男版『けっこう仮面』」状態。それも、いわゆるアメリカのパンクやハード・ロックのバンドみたいな「脱ぎ慣れた」感じのハダカではなく、それこそサークルの合宿で熱くなって脱いじゃった!みたいな、学生っぽい蒼臭いハダカ姿なのが微笑ましい。単体では充分なまめかしいノースリーブのワンピース姿のシャーロット(B/Vo)嬢の出で立ちを凌駕する2人の「露出度」(?)に、まずはフロアはひと盛り上がり。だが、ことビリーに関して言えば、この日のハダカは彼の熱血ぶりのいち側面を表したものにすぎなかった。
開演早々「ハロー、トキオ!」「ミンナ、テビョウシシテ!」と日本語MCでオーディエンスを煽り倒し、「ヘイ! ヘイ!」とフロアのエモーションと拳を天高く導いてみせ、“オールライト”では「トキオ! アー・ユー・レディ……トゥ・ジャーンプ!」と床が抜けるほどのジャンプ大会を演出してみせ、ジョシュの荒馬リズムに乗って、「ィヤアアアアア!」とメタル寸前のシャウトを聴かせるビリー。一方、キュートな歌声を披露した次の瞬間、首がもげるんじゃないかと心配になる勢いでヘッドバンギングしながらゴリゴリのベース・サウンドをうねらせるシャーロット。それこそ『オール・オア・ナッシング』ジャケットの、燃え盛りながら高くジャンプする車のような、3人一丸となった火の玉ぶり。最高だ。
クアトロ2目もあるので曲順掲載は控えるが、当然ながら2nd『オール・オア・ナッシング』の曲はほとんど全部やる、それ以外の必殺ナンバーもやる、みたいな、「今」のサブウェイズならではの最強のセットリスト。ポップ感やセンチメンタルさ、メランコリックさ満載の楽曲を、パンク・バンド顔負けのバイタリティで爆走させることで至上の輝きを生み出す――そんな彼らのロック・マジックは、いよいよ即効性とタフさを増している。アンサンブルの分厚さや巧みさで彼らの上をいくバンドはいくらでもいるが、彼らの汗の滴とともに飛び出してくる「生」のリアリティは、そんなテクニカルな次元を超えた快感を与えてくれるに十分なものだ。
「日本にまた来れてすげえ興奮してる! 君たちにこの曲を贈るよ。ミンナ、ジャンプ!」と“シェイク! シェイク!”で再びジャンプの嵐を巻き起こすビリー。途中、ドラム・セットに昇ったりして激しくステージ上を動き回っていたら一瞬ギターの音が出なくなって焦るビリー。それでも「トキオ! ファッ●ン・クレイジー!」と絶叫しながらエンディングへ向けてさらに加速していくビリー……この日のビリーは、まさに歩くロック・ショウそのものだった。アンコールで、フラッシュする照明に浮かび上がったシャーロットの妖艶なシルエットも魅力的だったが、最後の最後、ギターを置いて再びドラムに昇り、そこからフロアまで一直線にダイブをキメたビリーが美味しいところ全部持ってっていた。(高橋智樹)
1. Kalifornia
2. Young For Eternity
3. Holiday
4. Obsession
5. Oh Yeah
6. All Or Nothing
7. Alright
8. Mary
9. Always Tomorrow
10. Shake Shake
11. I Won\'t Let You Down
12. I Want To Hear What You Have Got To Say
13. Turnaround
14. With You
15. This Is The Club Quattro
アンコール
16. Lostboy
17. Strawberry Blonde
18. Girls And Boys
19. Rock & Roll Queen