luki/渋谷LUSH

luki/渋谷LUSH - All photo by Yuka OchiaiAll photo by Yuka Ochiai

●セットリスト
1.麦わら帽子
2.WITHOUT MY UMBRELLA
3.君は勝手に泣いてくれ
4.ACTRESS
5.三毛猫シェリー
6.LA DOLCE VITA
7.Child Voice(新曲)
8.空色の部屋
9.女子ウォーズ
10.FAKE
11.熱気球
12.ハイエナ
13.孤独を抱きしめ空を仰ごう
(アンコール)
EN1.台風の目の中で(新曲)
EN2.まだ間に合うから


「夏休みの宿題は今日終わらせます」と題されたこの日のlukiワンマンライブは、最新アルバム『ACTRESS』の楽曲を軸にしつつ、彼女自身がMCで語っていた通り、これまでリリースした作品の中のしばらくライブで歌っていない楽曲たちも織り混ぜられた構成となっていた。ラジオパーソナリティーとしても活躍中の彼女ならではの、愛も毒もユーモアも山盛りの人間味溢れるトークが曲間に挟まれることによって、作られた時期はバラバラの楽曲たちがひとつの物語のように綴られていくのも楽しい。さらにはランナーとしての顔、映画評論家としての顔、闇や孤独からも目を背けずにまっすぐ真摯に生き続けてきた一人の女性としての顔——様々なlukiの顔が今の彼女の音楽の肉体性を支えていることも、陽性でリラックスしたムードの中、深く、そしてわかりやすく伝わってきた。

luki/渋谷LUSH
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まず印象的だったのは、lukiの歌へと向かう感情の原点が最も純度高くこもった作品とも言える2013年リリースのミニアルバム『パープル』からの“君は勝手に泣いてくれ”や“三毛猫シェリー”が、洋楽的な洗練度と体温のある歌謡性を兼ね備えた『ACTRESS』の音楽性と見事に溶け合って、それぞれの楽曲のメッセージを引き立たせ合っていたこと。そして中盤とアンコール1曲目にそれぞれ披露された新曲“Child Voice”、“台風の目の中で”は、どちらもシンガーソングライターとしての個の強さによってロックを感じさせる楽曲になっていて、これらの新曲と“熱気球”(2ndフルアルバム『黒うさぎ』より)、“孤独を抱きしめ空を仰ごう”(3rdフルアルバム『その瞬間、見えた風景。』より)といった過去のアルバムの楽曲がライブ後半では、どこまでも濃厚な化学反応を起こしていた。

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個人的にも最も心を揺さぶられたのは、アンコールラストに歌われた、またもや『パープル』からの“まだ間に合うから”。この日、彼女は自分が人に言ってほしいけれどなかなか言ってもらえないことを歌にしてきたところがあるとステージで語っていた。音楽的な着実な進化と共に、聴き手が自分のために歌われていると強く感じられるような歌をどうすれば届けられるかを模索し続けてきた、そんなlukiの大きな始まりの場所のような歌でこの日のライブが締めくくられたことがとても感動的だった。

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ライブアーティストとしてこの日、大きく新たな一歩を踏み出したluki。12月に次のワンマンを行うことも発表し、ますますその進化から目が離せない。(古河晋)
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