miwa/日本武道館

miwa/日本武道館

●セットリスト
1.chAngE
2.Faith
3.リトルガール
4.君に出会えたから
5.ミラクル
6.360°
7.Kiss you
8.ホイッスル~君と過ごした日々~
9.片想い
10.夜空。
11.あなたがここにいて抱きしめることができるなら
12.don't cry anymore
13.めぐろ川
14.441
15.ヒカリへ
16.We are the light
17.アコースティックストーリー
(アンコール)
EN1.RUN FUN RUN
EN2.シャイニー
EN3.春になったら
EN4.結 -ゆい-


《今はもうみんながいる》――miwaが本編ラストで歌った“アコースティックストーリー”には、そんな印象的なフレーズがあった。昨年7月にリリースしたベストアルバム『miwa THE BEST』に新曲として収録した1曲だ。その歌に込めた想いこそ、この日、miwaが日本武道館でもっとも伝えたいことだったと思う。ただ音楽が好きで歌いはじめたひとりの少女が、やがて女性へと成長していく道のりのなかで、その歌の周りに大勢の人が集まっていた。だから、ひとりじゃない。miwaがデビュー9年目の武道館で見せたものは、そうやって出会えた仲間たちに捧げる感謝と、これからも「光」であり続けるという決意だった。

miwa/日本武道館
開演を待つあいだ、スクリーンには『miwa THE BEST』のジャケット写真のモチーフになっている目を閉じたmiwaの顔が映し出されていた。定刻、その閉じた目がパチッと開き、コツコツと足音が響き渡ると、ライブがスタート。1曲目は“chAngE”だった。ステージにはmiwaの愛器=フライングVをイメージしたような鋭角なデザインのセットがあり、その最上段に登場したmiwaはエレキギターを掻き鳴らしながら、凛とした表情で歌い出した。バンマスのeji(Key)をはじめ、オバタコウジ(G)、生本直毅(G)、山口寛雄(B)、よっち(Dr)、藤田真由美(Cho)という6人のサポートメンバーが繰り出すアグレッシブなロックサウンドにのせて、“Faith”では、miwaのライトハンドが炸裂。「みなさん! もっと盛り上がっていけますか!?」と声を上げた“リトルガール”で思いっきり笑顔を見せたmiwaは、軽快なハンドクラップを浴びて、くるくる回りながら楽しげに歌っていた。

miwa/日本武道館
抜けるような青空をスクリーンに映し出した“君に出会えたから”や、サンバのリズムが弾んだ“ミラクル”で、武道館は一気に夏らしいムードに。昨年トレードマークだったロングヘアをばっさりと切り、人生初のショートへアになったmiwaは、天真爛漫なキュートさと色っぽさが溶け合う新鮮な雰囲気を放っていた。「初っ端からすごい盛り上がりで、さすが武道館!」と、毎年3月に武道館のステージに立てる喜びを伝えると、ピアノのみの伴奏にバンドが加わりドラマチックに聴かせた“片想い”など、ラブソングの名手でもあるmiwaの代表曲が惜しげもなく披露された。なかでも「大切な人を心のなかに思いながら聴いてください」と伝えた“夜空。”は、サポートギターのオバタと共に歌い、男女ふたりの目線で切ない別れのシーンを描く美しいハイライトのひとつだった。

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中盤、スクリーンに1990年の誕生から現在までのmiwaの軌跡が映し出された。母親に抱かれた赤ちゃんのころ、セーラー服の学生時代、ピアノの発表会、路上ライブ、下北沢LOFTのステージ。デビュー以降、次々にキャパを広げながら繰り広げてきたライブ映像の数々。そこからmiwaは自身の原点であるアコースティックギターの弾き上がりで、デビュー曲“don't cry anymore”を届けた。《一人きりだって/負けたくないの》。当時、そんなふうに孤独な戦いに立ち向かっていたmiwaの歌に、いまは武道館を埋め尽くす大勢のお客さんが耳を傾けていた。続けて、活動初期からサポートを務めるeji、オバタ、よっちによるアコースティック編成で届けた“めぐろ川”のあと、再びバンド編成に戻って“441”へ。ひとりから4人、そして8人へと、ひとりずつ演奏者を増やしながら楽曲を紡いでいく流れは、「もうみんながいる」という今回のライブのテーマを体現しているようだった。

miwa/日本武道館
近未来感のあるライティングがステージを派手に彩ると、miwaの歴史上、大きなターニングポイントになったEDM調のナンバー“ヒカリへ”で、一気に会場のボルテージが高まっていった。洋楽のニュアンスが色濃い最新系のmiwaサウンドにのせて、《“誰もが誰かの光”》と歌い上げる“We are the light”は圧巻だった。どんなに苦しいことがあろうとも、誰かと共に生きることで「光」を見つけることができる。それはmiwaの根源的なテーマだが、何の迷いもなく力強く届けることができるのは、いまのmiwaだからこそだ。

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ラスト1曲を残して、miwaは語りかけた。「私は小さいころから歌うことが大好きで、ステージで歌うことが夢でした。そんな私が19歳のときにデビューすることができて、こうして素敵な仲間に出会うことができて。みなさんが照らしてくれた光のおかげで、わたしは9年という月日を歌い続けることができました」と。丁寧に言葉を紡ぐmiwaの大きな目には、うっすらと涙が浮かんでいるようにも見えた。さらに、「これからもみんなの光でありたいです」と伝えると、ラストソングとして届けたのは“アコースティックストーリー”。歌のなかでは、常にストーリーテラーであり続けたmiwaが、初めて自分自身の物語を歌ったナンバー。その歌の《最高の景色見に行こう》というフレーズで会場全体が眩しい光で包まれると、最後にmiwaは「ありがとー!」と叫び、快心の笑顔でこぶしを突き上げた。

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アンコールでは、「新曲やります」と言って、英語詞を交えたスタイリッシュなポップナンバー“RUN FUN RUN”を披露。大胆にアップデートされた新機軸となる楽曲が、10年目以降のmiwaも変化を恐れずにアップデートされていくことを予感させてくれる。さらに、春の訪れが待ち遠しくなる“シャイニー”と“春になったら”のあと、「最後、みんなで歌ってくれますか?」と言って、ラストソング“結 -ゆい-”で、およそ3時間のライブを締めくくった。《僕たちはなにより強い絆(きずな)で結ばれている》と、この日いちばんの大合唱を巻き起こした楽曲は、9年の活動のなかで「絆」という大切な宝物を手に入れたmiwaが、大きな節目のタイミングで迎えた武道館ライブの終わりを飾るのに相応しい1曲だった。(秦理絵)

※記事初出時、内容に一部誤りがありました。訂正してお詫び致します。
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