go!go!vanillas/Zepp Tokyo

go!go!vanillas/Zepp Tokyo - All photo by ハタサトシAll photo by ハタサトシ
※以下のテキストでは、演奏曲のタイトルを一部表記しています。ご了承の上、お読みください。

4月14日にZepp Tokyoにて、go!go!vanillasのワンマンライブ「LIVE! TO \ワー/ RECORDS feat. go!go!vanillas ~新曲大解禁~」が行われた。今回のイベントはTOWER RECORDSとの共同企画で、4月28日(日)のZepp Nagoya公演をラストとする東名阪3カ所で行われるツアー。そのため当記事内では、セットリストの掲載や演出に関する記述はせず、さらに演奏曲も極力控えてお伝えするが、大阪・名古屋公演に参加される方はネタバレにご注意頂きたい。

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昨年事故に遭った長谷川プリティ敬祐(B)が現在療養中とのことで、この日のライブは牧達弥(Vo・G)、ジェットセイヤ(Dr)、柳沢進太郎(G)の3人で行われた。サポートベーシストを迎えるという選択肢もあったと思うが、go!go!vanillasがこの日選んだのは「プリティが事故以前に演奏したベース音を同期する」という選択肢だった。アレンジの効かない同期音を流しつつそこに生音を合わせるということは、何が起こるか分からないライブ現場で、いつも以上に緊張感を持って挑まなければならなかっただろう。けれど「それでも4人の音で、バニラズのライブを完成させたい」という想いの強さの方が遥かに上回った故に迎えられたこの日のライブは、メンバー同士のみならず、バンドを信頼しているオーディエンスとの絆の深さを再認識できたものだった。そしてそれは、“カウンターアクション”プレイ前に行われた、柳沢による「プリティ! 絶対帰って来いよ!」のコール&レスポンスがこの日最大の声量で行われたことからもビシビシと伝わってきた。

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「メンバーが不在であることを感じさせない」と言うと語弊が生まれてしまうかもしれないが、そこを弱みや妥協点にせず「この3人で出来る最大限の楽しませ方とは?」と考え尽くした結果であろう演出の数々。「立ち止まって待つ」ではなく「進んだ先で待つ」という選択をしたことから分かる、「あいつなら絶対に帰ってくる」と信じる人間と「必ずそこまで行ってやる」と決意した人間との間でしか成立しない信頼。そして、そういったバンド側のその想いをめいっぱい汲み取って120%楽しむことでバニラズを応援したいと思うオーディエンスのパワー。そういった様々な要素がプラスに作用した結果がまさにこの夜だったし、そのポジティブなエネルギーに最初から最後まで心を打たれっ放しだった。

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そして今回は、今年1月にシングル『No.999』をリリースし、5月15日(水)にはフルアルバム『THE WORLD』をリリースする彼らが「新曲大解禁」と銘打ったライブということで、新旧織り交ぜながら「今のバニラズと、これからのバニラズ」の双方をしっかりと味わえる内容だった。「色んな窮地だったりピンチだったり苦しいことがあったけど、この曲が救ってくれたと思っています。みんなもこの曲でデスから這い上がろうぜ!」とプレイされた新曲“No.999”含め、バリエーション豊かな楽曲たちが披露された。「ワクワクと緊張とドキドキと色々あるんですけど、これだけ音楽を楽しめているということに感謝して作ったアルバムです」という自評の通り、バニラズらしい明るさもありつつ、これまでにない領域に一歩踏み込んだ新鮮さも楽しめる作品だということが伝わってきた。「楽しみたい/楽しんでほしい」という想いの込められた楽曲たちは、耳にはめ込んだイヤホンからではなく、生音で身体を揺らしながらワクワク感を体感できるという特別な方法をしっかり味方につけていた。

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そして、牧の口から「このツアーのファイナルシリーズを東京でやります。この時にはあいつを絶対帰ってこさせるから、その時にこの続きをやろうや!」と追加公演の発表があった。牧はMCで「こうやって音楽を続けること、そしてバンドをやっていけること。やる使命があると、今、俺は思っています」と話していたが、人は何かを背負った時にこそ自分でも想定していなかった力を発揮できるものだ。未曽有の事態を止まることなく乗り越えたという経験は、間違いなくgo!go!vanillasの礎になる。その経験値が上乗せされて、更にパワーアップした4人がステージに立つ姿を見られる日を心待ちにしている。(峯岸利恵)

※記事初出時、内容に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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