ゆず/東京ドーム

ゆず/東京ドーム - Photo by 立脇卓Photo by 立脇卓

●セットリスト
01.青
02.DOME★BOMBAYE
03.贈る詩
04.飛べない鳥
05.スミレ
06.桜木町
07.陽はまた昇る
08.嗚呼、青春の日々
09.マボロシ
10.Hey和
11.うたエール
12.マスカット
13.シュビドゥバー
14.3番線
15.タッタ
16.岡村ムラムラブギウギ
17.夏疾風
18.サヨナラバス
19.夏色
20.SEIMEI(新曲)

(アンコール)
EN01.栄光の架橋
EN02.少年
EN03.終わりの歌



ゆず/東京ドーム - Photo by 岩﨑真子Photo by 岩﨑真子

たったふたりだけの音楽が、オーディエンスの芯の部分にまで食い込み、オーディエンスと共鳴し合い、そして途方もないスケール感のスペクタクルを生み出す。「ゆず 弾き語りドームツアー2019 ゆずのみ~拍手喝祭~」は、日本の音楽史上初となる弾き語りのドームツアー。5月から名古屋・東京・大阪・福岡で計8公演が繰り広げられたうちの、5月30日・東京ドーム2日目の模様をレポートしたい。

ゆず/東京ドーム - Photo by 岩﨑真子Photo by 岩﨑真子

まず目を奪われるのは、ステージに佇む巨木のセットだ。オープニングを告げるアニメーション映像にはゆずマンが登場し、森の奥深くに生え育つ生命の象徴=ユズドラシルの存在が明らかにされる。LED処理が施されたステージ上のユズドラシルの根元に北川悠仁と岩沢厚治が姿を見せると、伸びやかなハーモニーボーカルとともにギターを奏で“青”を放っていった。互いのパフォーマンスを高め合うようなリレーを繰り広げ、北川は「東京、来い!!」とオーディエンスの歌声を誘う。

ゆず/東京ドーム - Photo by 田中聖太郎Photo by 田中聖太郎

バスドラムと鍵盤ハーモニカが持ち込まれる、ドーム公演名物“DOME★BOMBAYE”で盛り上がりに拍車をかけると、挨拶を挟んで裸一貫の“贈る詩”へ。ゆずのスタンダードと呼ぶべきスタイルで、会場内を二組に分けたコーラス合戦へと持ち込む。岩沢の滋味深い歌い出しにグッとさせられる“飛べない鳥”にしても、個々に超一流のフォークシンガーとしての姿を伝えている。日替わり曲として披露される“スミレ”や“桜木町”を含め、デビュー後数年間のシングル曲が並ぶ序盤の選曲は、その演奏の包容力によって、ゆずの成長をまざまざと見せつけていた。

ゆず/東京ドーム - Photo by 太田好治Photo by 太田好治

ドーム内に幾筋もの光の柱が立ち、北川がピアノ、岩沢がアコギを奏でる“マボロシ”は、サンプラー操作も加えた重厚かつ幻想的なパフォーマンスで素晴らしい。フォークデュオとしての原点を再確認するVTR、そしてユズドラシルをよじ登るゆずマンのアニメーションが映し出された後には、ドーム内に灯される無数のスマホのライトの中、ステージ上の巨木の頂点(地上30メートル)に立つふたりが、温かく厳かな“Hey和”を披露していった。北川は少し気恥ずかしそうにしながらも、「どうかこの令和という時代が、素晴らしい時代になりますように」と願いを込め、《Hey和》のコーラスを《令和》に差し替える。

ゆず/東京ドーム - Photo by 立脇卓Photo by 立脇卓

ふたりきりのパフォーマンスをアップデートしつつ、リスナーに対して親密な距離感を保ち続けること。キャリアの中で何度も見直されてきたそのスタイルが、今やこの壮大なスペクタクルを生み出している。巨木のセットや大掛かりな演出によるビジュアル効果は、ふたりきりのパフォーマンスを補完するものではない。むしろ、今のゆずのパフォーマンスには、これぐらい壮大なビジュアルイメージでなければ追いつけないのだ。

ゆず/東京ドーム - Photo by 田中聖太郎Photo by 田中聖太郎

天空から降り注ぐような勇気のメロディ“うたエール”を経てステージに降り立った後には、色とりどりのフルーツのデザインが配された車に乗り込んでドーム内を移動する“マスカット”や“シュビドゥバー”、インタラクティブなリズム遊びが盛り込まれる“3番線”、そして丸裸のフォークアレンジによる“タッタ”と、賑々しいパフォーマンスで後半戦を盛り上げてゆく。“岡村ムラムラブギウギ”で、ゆずのルーツにある何気ない街並みを振り返ることも忘れない。この巨大なスペクタクルは、決して特別でも何でもない場所から始まっているのだ。

ゆず/東京ドーム - Photo by 岩﨑真子Photo by 岩﨑真子

昨年、北川が嵐に提供した“夏疾風”のセルフカバーは、エモーショナルなメロディが剥き出しになってグッとさせられる。頭から歌メロをオーディエンスに預ける“サヨナラバス”の後には、「もう後半なんだけどさ、俺、体力有り余ってんだよね!!」と傾れ込む“夏色”で鉄板の盛り上がりである。最後には北川自身がゆずマンに変身するサービス精神も発揮。そしてたどり着いた本編ラストは、人それぞれのルーツ、命の連なりに思いを馳せるシングル曲“SEIMEI”である。ふたりきりの音楽で数万人の人々の命の共鳴を導き出すステージ。それを締めくくるのにも相応しい、壮大なナンバーだ。

ゆず/東京ドーム - Photo by 太田好治Photo by 太田好治

ドーム内に、壮観な光のウェーブが巻き起こされて始まるアンコールでは、“少年”を歌った後に北川が「あの、クサってなったらごめんなさい。今、湧き上がった気持ちを正直に言います……君たちを愛しています」と語り出す。2001年の初のドーム公演では、とにかくガムシャラで、オーディエンスに立ち向かうような心持ちだったこと。しかし今では、オーディエンスをずっと近くに感じていること。そんなふうに告げると、感謝の思いを込めた“終わりの歌”をじわりと胸に響かせてゆくのだった。果てしない生命の連なり、その可能性に触れるために、ゆずはふたりきりのステージを続けてゆくのだろう。(小池宏和)

ゆず/東京ドーム - Photo by 立脇卓Photo by 立脇卓
ゆず/東京ドーム - Photo by 田中聖太郎Photo by 田中聖太郎
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