ハノイ・ロックス @ 赤坂BLITZ

ハノイ・ロックス @ 赤坂BLITZ - ハノイ・ロックスハノイ・ロックス
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「ハノイ・ロックスは2008年末をもってバンドを解散させることを決意しました。マイケル・モンローとアンディ・マッコイはこのバンドでできることを成し遂げられたと考えており、別々の道を進むことを願っています」……フィンランドが生んだグラム/ハード・ロックの華麗なる徒花=ハノイ・ロックスのホームページに、前述のような公式声明が掲載されたのは昨年10月のこと。なので、オフィシャルにはバンドは「すでに解散」という奇妙な状態の中でのフェアウェル・ツアーではある。

ともあれ、3月8日の東京・新木場STUDIO COASTを皮切りに福岡/大阪/名古屋/川崎/仙台と巡ってきたこの「最後の」ジャパン・ツアーも、いよいよここ赤坂BLITZでの追加公演でフィナーレ!というわけで、BLITZは年季の入ったオジ……もといお兄さんお姐さんたちでがっつり超満員! 19:11、場内暗転とともに湧き上がる「ぃやああああっ!」とも「ぅおおおおおっ!」ともつかないタフな絶叫も、ラスト・スタンド・イン・ジャパンにかけるオーディエンスの気合いの入りっぷりを証明している。

「トキオ! ヒア・ウィ・ゴー!」というVo=マイケル・モンローのコールとともに、いきなり“TRAGEDY”“MALIBU BEACH NIGHTMARE”と80年代=1度目の解散の前の曲へ突入、あっという間に絶頂を迎えるフロア! 下のセットリストを見ていただければ、80年代の楽曲を軸にしつつも、00年代再結成後の楽曲も巧みに盛り込んでいることがおわかりいただけると思う。しかも素晴らしいのは、どう見ても両時代の楽曲で演奏のアグレッシブさもオーディエンスのテンションも変わらないところだ。アレンジ的には、グラム色の強い80年代曲に比べ、00年代の曲のほうがストレートなハード・ロック寄りかな?というくらいの差はあるが、どちらの曲もここでは圧倒的な熱気のマグマの一部となってごうごうと押し寄せてくる。

素肌の上にギンギラギンのベスト、その上にギンギラギンのスパンコールをあしらった黒の革ジャンを身にまとったマイケル。マイク・スタンドをぶん回しながら大開脚を披露し、ド派手な赤&金のサックスを吹きまくり、アンプによじ昇り、ステージを降りて柵前のトップ・オーディエンスにサービスし、と激しいアクションを展開する一方で、革ジャンを脱いだり、その上から紫のスケスケのジャケットをはおったり(そこにもスパンコールありあり)、と激しく衣装チェンジを繰り返しつつ、とにかくどの瞬間も必ず身体のどこかがキラキラしてるという念の入れようだ。

そして、アンディ・マッコイのギター! 哀愁と激情がデッドヒートを繰り広げるような怒濤のギター・リフとソロ・プレイに、文字通り震えが来るほどの快楽を味わった瞬間が何度もあった。数あるロックの物差しの中で、「誰よりも華やかに、誰よりも激しく咲き誇る!」という座標においては間違いなく世界トップレベルの輝きを、この日のハノイ・ロックスは、というかマイケル&アンディは体現してしまっている。というか、とても今年で47歳とは思えない壮絶なステージを見せつけるこの2人が「このバンドでできることを成し遂げられたと考えており」? 「別々の道を進むことを願っています」? 嘘だろ?と思わずにいられない。

終盤、「トキオ……ラスト・タイム! グレイト・トゥ・ビー・ヒア!」というマイケルの声に、悲鳴にも似た黄色い声が湧き上がる。そして、最後の時間を惜しむように、“HIGH SCHOOL”の「シスター、シスター!」で拳を突き上げ、アンコールの“THIS ONE’S FOR ROCK’N’ROLL”では割れんばかりの大合唱でバンドを讃えるオーディエンス。そんな熱狂を目の当たりにして、「ゴッド・ブレス・ユー! ベスト・クラウド!」と実に満足げだったマイケル。2時間とちょっとの間に、アンコールまで含め実に29曲! 感傷なんかに捕まるな!とでもいうようにフルスピードで駆け抜けるような、最高のライブだった。

ちなみに。冒頭に引用した公式ステイトメントは、「2009年の春に日本をフェアウェル・ツアーで回り、その直後に80年代に彼らがキャリアをスタートさせたフィンランド・ヘルシンキの伝説的なクラブ『タヴァスティア・クラブ』で数回のショウを行い、すべてを終わりとさせることにしています」と続いている。が、この日のアンコールのラスト、“UP AROUND THE BEND”をやりきった後でマイケルは「シーユーアゲイン!」と叫び上げていた。彼がどういう形で「アゲイン」を迎えようとしているのかは、この時点では知る由もない。が、ここ日本で僕らは、93年の解散から16年間「絶対に始動しないバンド」と思われていた5人が勢揃いしているのを2009年の今では目の当たりにしているし、「絶対にない」ということはない……と信じたい。そう思わせるに十分すぎるほど熱量大放出の、問答無用のロック・アクトだった。(高橋智樹)

1.TRAGEDY
2.MALIBU BEACH NIGHTMARE
3.MOTORVATIN’
4.BOULEVARD OF BROKEN DREAMS
5.STREET POETRY
6.FASHION
7.GYPSY BOOTS
8.UNTIL I GET YOU
9.OBSCURED
10.HYPERMOBILE
11.HIGHWIRED
12.POWER OF PERSUASION
13.WHATCHA WANT
14.CAFÉ AVENUE
15.SELF DESTRUCTION BLUES
16.BACK TO MYSTERY CITY
17.A DAY LATE, A DOLLAR SHORT
18.I CAN’T GET IT
19.WORLDSHAKER
20.DON’T YOU EVER LEAVE ME
21.DELIRIOUS
22.PROBLEM CHILD
23.11TH STREET KIDS
24.HIGH SCHOOL
25.ORIENTAL BEAT

アンコール
26.THIS ONE’S FOR ROCK’N’ROLL
27.PEOPLE LIKE ME
28.TAXI DRIVER
29.UP AROUND THE BEND
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