sumika/Zepp Tokyo

sumika/Zepp Tokyo - All Photo by 後藤壮太郎All Photo by 後藤壮太郎

●セットリスト
1.春夏秋冬
2.Lovers
3.カルチャーショッカー
4.Flower
5.ペルソナ・プロムナード
6.いいのに
7.enn
8.Traveling
9.チェスターコパーポット
10.ゴーストライター
11.まいった
12.フィクション
13.ふっかつのじゅもん
14.FUN
15.「伝言歌」
16.イコール
(アンコール)
EN1.坂道、白を告げて
EN2.Summer Vacation
EN3.彗星


sumika/Zepp Tokyo

sumikaが、10月29日に「sumika Live Tour 2019 -Wonder Bridge-」のZepp Tokyo公演を開催した。

今年3月に2ndフルアルバム『Chime』をリリースし、6月末までバンド史上最大規模のツアーをまわっていたsumika。それから3ヵ月も空けずに始まった今回のライブハウスツアーは、きっと原点回帰的な意味合いもあったはず。両A面シングル『イコール / Traveling』のリリースを挟み、先月には映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』やドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』の主題歌起用がアナウンスされ、来月にはまたもやニューシングルのリリースを控えるなど、1年を通して大きな話題が尽きなかった。そんな目に見えて絶好調だった2019年を締め括るように、彼らが今回のツアーで再提示したのは、どんなにsumikaの音楽が遠くまで広がり続けても絶対に変わらないスタンス。対大勢ではなく、一人ひとりに深く届けていく。そんなsumikaの音楽がどれほど信頼出来るものかを改めて実感したZepp Tokyo公演の模様をレポートしたい。

会場に一歩足を踏み入れると、すでにフロアには外の肌寒さを忘れてしまうほどの熱気が漂っていた。大きなフラッグが掲げられたステージセットは至ってシンプルで、6月に行われた横浜アリーナ公演とはまた違ったドキドキ感で開演の時を待つ。暗転したステージにメンバーが登場し、片岡健太(Vo・G)が両手を広げてお辞儀をすると“春夏秋冬”でライブがスタートした。無数の光が散らばる薄暗い会場に、いつもよりも生々しく聴こえる楽器の音が響き渡っていく。「飛ばしていこうぜトーキョー‼︎」堰を切るように片岡が叫び“Lovers”へ突入すると、会場中が一気に明るくなり、タイミングバッチリの大きなかけ声が起こった。片岡はその様子を見渡しながら「トーキョーでっかい音だなぁ!」と嬉しそうに飛び跳ねてアコギをかき鳴らす。割れんばかりのハンズクラップから始まった“カルチャーショッカー“では、観客のジャンプがZepp Tokyoの地面を揺らした。

sumika/Zepp Tokyo

ここでギターを置きマイクを手に持った片岡が「インターネットの中でもない、スマートフォンの中でもない、あなたの目を見て歌いにきたsumikaですよろしく!」と挨拶をし、“Flower”へなだれ込んだ。客席ギリギリまで近づいては、目線をなるべく観客と合わせるように身をかがめ、一人ひとり指差しながら歌う。激しいライトが会場中を駆け巡り、息をつく暇もなく始まった“ペルソナ・プロムナード”では、黒田隼之介(G・Cho)が骨太なギターソロを、荒井智之(Dr・Cho)が激しいドラムプレイを炸裂させ、迫力満点のメンバーの演奏に客席のボルテージはますます急上昇していった。

曲が終わってもざわめきは止まず、メンバーの名を呼ぶ声がひっきりなしに飛び交う。その中には威勢がいい男性の声も多く、以前に比べ男性ファンの割合が確実に増えていると感じた。「東京でワンマンライブをするの、実は今日がもう今年最後なんですよ。だからね1年間、sumikaのこと目を離さないで応援してくれてありがとうって気持ちと、来年もよろしくっていう気持ちを持って最後の1曲……いや、最後の1音まで愛情を込めて演奏していきますので」そんな宣言の後は“いいのに”、“enn”を立て続けにプレイ。“enn”は小川貴之(Key・Cho)のリードボーカル曲だが、彼の歌声は力強さの中にも甘さがあり、片岡とはまた違った魅力で観客の胸を震わせる。ステージがピンク色のライトに照らされると“Traveling”が放たれ、曲が終わり「楽しいー!」とまるで子供のようにはしゃぐ片岡の姿に、会場は温かい笑いに包まれた。

sumika/Zepp Tokyo

ここでメンバー紹介へ。サポートベース・井嶋啓介の紹介時にどのメンバーよりも大きな歓声と拍手が起こると、片岡は「おかしいだろ!」とジェラシーを露にする。こんな風にメンバーとファンの距離感が近く、始終笑いが絶えないMCも毎回sumikaのライブで楽しみにしている時間だ。ちょうど折り返し地点となる9曲目は、“チェスターコパーポット”か“ここから見える景色”のどちらを聴きたいかその場で観客にアンケートを取り、結果、拍手が多かった“チェスターコパーポット”が披露された。その後はガラリと雰囲気を変え、抒情的なピアノの音で“ゴーストライター”、夕日色のライトに照らされながら“まいった”と続き、客席からは一際気持ちが込められた拍手が沸き起こった。

sumika/Zepp Tokyo

ライブもいよいよ終盤に差し掛かり、“フィクション”から“ふっかつのじゅもん”、“FUN”とアップテンポなナンバーを畳みかけていく。バンドのテーマとも言える大切な曲“「伝言歌」”では、力強く感動的なシンガロングが会場中の空気を震わせた。ラストナンバー“イコール”を披露する前に片岡は、音楽にかける想いやツアータイトルに込めた気持ちを語り「いろんな街をまわって、今日あなたの前に辿り着くことが出来ました。本当にありがとうございました」と丁寧に感謝の言葉を紡いだ。sumikaのライブを観る度に、音楽が言葉以上の感情を伝える力を持っていることを思い知らされる。曲が終わると、sumikaの嘘偽りない覚悟と愛をしっかり受け取った観客から温かい拍手が送られ、そこには音楽で繋がった絆がはっきりと浮かび上がっていた。

sumika/Zepp Tokyo

こうして本編は終演したが、もちろんすぐにアンコールを求める手拍子が起こり、メンバーがステージに再登場。アンコールは“坂道、白を告げて”、“Summer Vacation”、そしてライブハウスで生まれた一曲“彗星”が披露された。「あなたにとって、そしてあなたの大事な人にとって、いつでも帰ってこられるような、待ち合わせ場所のようなバンドでいたいです。天下を取りたいとかはなくて、一番の目標はバンドを続けることです」そんな片岡の言葉からはバンドの結束力の強さ、そしてsumikaを続けていく固い意思が伝わってきた。「出会ってくれて本当にありがとうございました!」メンバー同士が向かい合って最後の一音が鳴らされると、大きくて長い拍手と「ありがとう」の声が会場中を飛び交い、これ以上ないほどの多幸感に包まれながらこの日の公演は幕を閉じた。(渡邉満理奈)
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