WANIMA/無観客ライブ@ZOZOマリンスタジアム

WANIMA/無観客ライブ@ZOZOマリンスタジアム - All photo by 瀧本JON...行秀All photo by 瀧本JON...行秀

●セットリスト
SE.COMINATCHA!!のテーマ
1.JOY
2.Hey Lady
3.つづくもの
4.Japanese Pride
5.BIG UP
6.夏のどこかへ
7.GONG
8.Mom
9.Milk
10.渚の泡沫
11.いいから
12.ともに
13.りんどう
14.宝物
15.GET DOWN

(アンコール)
EN1.Cheddar Flavor
EN2.春を待って


WANIMA/無観客ライブ@ZOZOマリンスタジアム
宙ぶらりんになったままの心を、何が何でも巨大な歓喜の中へ連れてゆくこと。これがWANIMAのライブだという、素晴らしいツアーファイナルだった。全30公演、25万人を動員するはずだった「COMINATCHA!! TOUR 2019-2020」は、残念ながらコロナウイルスの影響によりアリーナ16公演を残して中断。しかし、ZOZOマリンスタジアムで開催された「COMINATCHA!! TOUR FINAL」は、「出来るだけ大きい音でWANIMAのライブを体験して頂きたい」というメンバーの希望により、全国の映画館・ライブハウスでのライブビューイング+インターネット配信を実施。世界初の映像技術soundiv.やドローンも用いられた映像は、壮観さと臨場感をいずれも逃さず伝えていた。

スタジアムいっぱいに設置された2万5千本のサイリウムが、この日を待ちわびたファンの思いそのもののように色とりどりに煌き、客席には「COMINATCHA!! TOUR」の大きな文字を描き出す。今ツアーで用いられてきた賑々しい登場SE“COMINATCHA!!のテーマ”で姿を見せた3人は、さっそくフィールド中央のセカンドステージへと躍り出てサイリウムを手に視聴者を煽り、FUJI(Dr・Cho)が銅羅を打ち鳴らすと、KENTA(Vo・B)が「COMINATCHA!! TOUR FINAL、ZOZOマリンから、かーいさーいしまーす!!」と高らかに宣言するのだった。

WANIMA/無観客ライブ@ZOZOマリンスタジアム

雨の降りしきる中での性急なスタートダッシュ“JOY”は、しかし触れる者を掴んで離さないメロディに満ちている。無観客だろうと問答無用のシンガロングを誘発する“Hey Lady”を経て、KO-SHIN(G・Cho)は「ありがとうございまーす!!」と満面の笑顔&ガッツポーズを見せた。映像中継で繋がった各地ライブビューイング会場に向けてFUJIは熱い言葉を投げかけ、ライブの温度感を共有させる。オーディエンスとの掛け合いこそがキモになる選曲の“つづくもの”、そして熱いアカペラ歌唱から突入する“Japanese Pride”や“BIG UP”には刺激的な映像エフェクトが加えられていった。ひっきりなしにカメラの向こうのオーディエンスへと言葉を伝えるKENTAだったが、一方で、3人のわちゃわちゃとした距離感の近い対話を目の当たりにするのも楽しい。

「今の俺はどう映っとるかなあー? 生きてるうちに伝えたかったけど、遠くの遠くのばあちゃんに歌います」と届けられるKENTAの思い“Mom”を、FUJIのビートが優しく力強く支え、そしてKO-SHINは揺らめくようなギターのサウンドスケープを重ねていった。華やかな演出に満ちたステージも、このときばかりは歌に焦点を当てるシンプルな照明だけだ。「今観てるみんなをもう、俺らは失いたくないけん。WANIMAとともに、生きてってください。よろしくお願いします」。汗と雨でびしょ濡れのKENTAは、そんなふうに言葉を添えるのだった。

WANIMA/無観客ライブ@ZOZOマリンスタジアム

KO-SHINの奏でる“Baby Sniper”のギターリフとともにセンターステージへと移動し、ここでは5月放送の『ミュージックステーション』で初披露された“Milk”を届けてくる。大切な人との大事な時間を熱い歌心に込めたこの曲では、向き合ってプレイする3人の姿をカメラが捉えていた。KO-SHINもFUJIも濡れた髪が額に張り付いた姿で、“渚の泡沫”の猥雑な情熱を迸らせ、あるいは“ともに”の真っ直ぐなメッセージを投げかける。バレットタイム撮影による映像演出もダイナミックでかっこいい。

メインステージに戻ると、KENTAは「俺らも目の前のことが全部白紙になったけど、みんなもいろんなことがあったと思います。何とか生きるのを諦めずに済む方法はないかなって、俺らもスタッフもやってきました」、「いつもは言わんけど、今日は言わせてくれ。大丈夫やから。弱いままで、強くなっていこう」と告げ、そのしなやかなメッセージを乗せた“りんどう”では、ストリングスセクションを含めた壮麗なアレンジが立ち上がってくる。続く“宝物”は、クリスピーな歌を爆発させるストリングスアレンジが見事だ。そしてライブ本編を締めくくるのは、何度でも再会を願って歌う“GET DOWN”。笑顔まみれの爆走を繰り広げ、ステージ後方の空には盛大な花火が打ち上げられるのだった。

ここで大団円かと思いきや、緊急告知の映像が流れる。ニュースとして報じられた通り、翌9月23日に2ndミニアルバム『Cheddar Flavor』をサプライズリリースすることが発表されたのだ。「やっと言えたー!!」と沸き立ちながらアートワークも公開し、タイトル曲“Cheddar Flavor”をライブ披露する3人。コンビネーションを一段階上のレベルに到達させる、強いドライブ感に満ちたロックナンバーだ。不安の日々への反撃は、ここから始まる。さらには、ツアー中断後に緊急配信リリースされ、新作にも収録された“春を待って”が、今回のステージのフィナーレを飾る。ありとあらゆる手段を講じて、人々とともに今を生きようとするWANIMAが、そこにはいた。(小池宏和)

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