UVERworld/横浜アリーナ

UVERworld/横浜アリーナ - All photo by 森好弘All photo by 森好弘

●セットリスト
SE. NEVER ENDING WORLD
01. Wizard CLUB
02. stay on
03. ODD FUTURE
04. EMPTY96
05. AFTER LIFE
06. Forever Young feat. UVERworld
07. AVALANCHE
08. ハイ!問題作
09. THUG LIFE
10. Making it Drive
11. PRAYING RUN
12. イーティー
13. えくぼ
14. OUR ALWAYS
15. Spreadown
16. NO.1
17. Touch off
18. IMPACT
19. EN
20. One stroke for freedom


一筆書きの人生の、今日が一番若い日。「UVERworld ARENA LIVE 2021〜THE DAWN WILL BREAK〜」は、10月26日の大阪城ホールから12月31日のマリンメッセ福岡まで、各日2公演ずつがスケジュールされた全14公演(また、期間中にはファンクラブ限定のライブハウス公演も開催)。横浜アリーナ公演の2日目にあたる12月21日は、TAKUYA∞(Vo・Programming)生誕祭である。その夜公演の模様をレポートしたい。UVERworldの生誕祭は、誕生日を迎えたメンバーがライブのセットリストを決める趣向でお馴染みだ。翌日にリリースを控えた(つまりこの日がフラゲ日)ニューアルバム『30』の収録曲をふんだんに配しつつ、ロックな過去曲も思うさま振り回す今回のステージには、TAKUYA∞とUVERworldによる最新の、体当たりのメッセージが凝縮されていた。

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フィルムのような質感のオープニング映像と『30』収録の“NEVER ENDING WORLD”をSEに、真太郎(Dr)の鋭さと爆発力を兼ね備えたドラムソロが繰り広げられてライブはスタート。メンバー総がかりの暴れ太鼓から切り出される“Wizard CLUB”では、ドルチェ&ガッバーナの新作カーディガンを纏ったTAKUYA∞のスキャットが弾け、瞬く間に熱狂のトップギアへと持ち込まれる。“stay on”や“ODD FUTURE”では、Crew(ファンの呼称)から寄せられたコーラスの音声が楽曲の熱量を増幅させており、信人(B)は仁王立ちになってのたうつようなベースラインを繰り出していた。プレーンな声とオートチューンの2本マイクを使用することが多いTAKUYA∞だが、“EMPTY96”の剥き出しのロックサウンドにはプレーンな歌声1本で生身の熱を込める。オーディエンスの灯したスマホのライトが、無数の流星のようにアリーナを満たす“AFTER LIFE”は壮観の美で、それぞれに気高い孤独を抱えた人生を祝福するようだ。

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TVドラマ主題歌となった“AVALANCHE”の斬新なサウンドデザインに、TAKUYA∞が「うわあ、クソかっこいい! 最高だな、リアルで!」と感嘆を漏らすと、ここからは新作『30』収録曲が次々に披露される時間帯だ。克哉(G)によるセミアコのリフがメッセージを運ぶ“THUG LIFE”や、途方もなく壮大でロマンチックなラブソング“えくぼ”、珠玉のメロディとともに渾身のバンド愛を伝える“OUR ALWAYS”などは、まだまだ耳馴染みの薄い曲でありながら、早くもアリーナ規模の感情表現としてリスナーの心を揺らす。そんな最新曲たちの合間に、痛快極まりない“ハイ!問題作”や、実践のアンセム“PRAYING RUN”(誕生日の日付を迎える深夜、TAKUYA∞は他のメンバー全員と10kmランを行い、Crewのランナーたちともアプリを通じて連絡を取り合ったそうだ。30分43秒で10kmを完走した猛者もいたという)といった楽曲も届けられるのだった。

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「暗く長いトンネルを抜けた先が、思うようにいかないこともある」。そんな思いとともに放たれた“イーティー”は、世界中の誰しもが生活を脅かされ、未来を振り回される時期だからこそ生まれた、現代のタフなロックンロールだ。今回のステージで“EMPTY96”や“ハイ!問題作”といった過去曲が重要なアクセントとなっていたのと同じように、新作『30』ではストレートなロックの疾走感とエネルギーを奪還しようとする姿勢も窺える。ライブでこそ真価を発揮するインストチューン“Spreadown”では、ここぞとばかりに彰(G・Programming)の骨太なリードギターが鳴り響き、誠果(Sax・Manipulator)のサックスが吹き荒れ、怒涛の終盤戦へと向かっていった。さまざまな感染症対策が講じられたライブ環境で「自由だった頃以上の、最高の一体感、迎えに行こうぜーっっ!!」と放たれる“Touch off”や“IMPACT”が、アリーナを激しく波打たせる。

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そして、「この曲を聴いてほしくて、俺は今日、ステージに立っているのかもしれない。心の底から言うよ。買わなくてもいい。ただ、聴いてほしい」と切実に語るTAKUYA∞が歌い出すのは、『30』の冒頭に配置された“EN”である。スポークンワードとも、ラップともつかない節回しで、激流のように溢れ出す強烈な言霊。オーディエンスはそれを余さずキャッチするかのように、腕を伸ばし、掌をかざすのだった。跳ね回り、身を振り絞ってこの曲を歌い切ったTAKUYA∞は、「俺は、みんなでこの曲を歌える日まで、諦めないよ。絶対に、一緒に歌おうな!!」と告げていた。

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生誕祭の主役だけではなく、他のメンバーも率先して祝福し、オーディエンスに祝われることを心底喜んでいた幸福なライブ。それを締めくくるのは、新たに生まれた自由の讃歌“One stroke for freedom”だ。フィニッシュと同時に「よっしゃあぁぁっっ!!」と歓喜の雄叫びを上げたTAKUYA∞は、信人や克哉とハイファイブを交わし、「彰ぁぁ! 来い!!」と構えを取る。ステージの反対側から猛ダッシュしてきた彰は、そのまま飛びつきハグを決めるのだった。がっちりと受け止めるTAKUYA∞の体幹がすごい。困難なときにも、自らの手で自由を勝ち取り、共有すべき喜びを掴むこと。素晴らしい生誕祭ライブであった。(小池宏和)

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