メタル新世代筆頭バンドとして、ここ日本でもLOUD PARKやサマーソニックへの出演などを通して、幅広い層への認知度を高めてきているフロリダ州出身の4人組トリヴィアム。4th『将軍』を発売してからは初となる日本ツアーが実現した。
5月6日の大阪IMPホール公演からスタートした今回のツアーは、平均年齢10代というマイアミ発の新星ブラック・タイドとのカップリング。「トーキョー」という雄叫びとともに幕開けた彼らのパフォーマンスは、まさに全力疾走そのもの。のっけから上半身裸で登場し、どっしりとした打音を響かせるドラムのスティーヴンを除く弦楽器隊3名はステージを所狭しと跳ね回る。弱冠16歳のフロントマン、ガブリエルのハーフ・パンツからスッと伸びた膝下のあまりの細長さに「こんなとこも新世代だなあ」と、思わず目を奪われてしまったりもしたけれど、デビュー以来のキャリアは5年近くとあって、各メンバーともステージでの身のこなしは実に堂々としている。一切無駄な肉がついていない成長過程にある少年らしいシャープな身体つきをしている彼らだけに、ひとつひとつの所作にもひたむきさが滲み出ていて、まずはそんなところに拍手をおくりたくなってしまうが、そうした音に対する貪欲な姿勢があることで、バンドとしての表現力にダイナミズムが加わってきていることを“ライト・フロム・アバヴ”などでは感じさせた。ガブリエルの歌声も、変声期真っ只中といった感じで、低音化してきており、ニュー・アルバムでどういった方向性をみせるのかも注目されるところだ。
ステージ背後のバック・ドロップも掛け換えられいよいよトリヴィアムの登場だ。SEとともに、スポットライトが点火。ステージ前線に等間隔で配置された5本のマイク・スタンドがしばらくの間照らし出されて異様な存在感を放っている。『闘魂』のハチマキを巻いたドラマーのトラヴィスが姿をみせ、続けて他のメンバーも登場。左端マイクがコリィ、中央マシュー、右端がパオロの定位置だが、以降3人は5本のマイクをかわるがわる活用し、ステージ中を駈けずり周り続けた。照明がブルーに切り替わると同時に、閃光のようなギター・リフが響き渡る。フロア中から拳が突き上げられた“斬り捨て御免”に続いて“ダウン・フロム・ザ・スカイ”と新作からの楽曲が続く。空間が彼らの色に塗り替えられていき“イントゥ・ザ・マウス・オブ・ザ・ヘル・ウィ・マーチ”あたりからは、フロア前方にサークル・ピットが。ボーカリストの通称マット(もしくはキイチ)こと、マシューの「トーキョー!サワゲー!」といった日本語MCや、オーディエンスの間を走りまわったベースのパオロの熱演、プロテイン・ボディのコリィによる迫力のギター・ソロなどに煽られ、フロアもさらにヒートアップ。“ライク・ライト・トゥ・フライズ”では一斉にジャンプをかましてみせる。“ホエン・オール・ライト・ダイズ”あたりで「Hey!Hey!」と声を掛け合ったときの場内の一体感は、鳥肌が立つほどだった。本編終盤の“アンセム(ウィー・アー・ザ・ファイア)”でのフロア中が一斉に拳を前後に振りながらの合唱もハイライトのひとつだろう。メタリカの“フォー・フーム・ザ・ベル・トールズ”カバーも飛び出し、フロアにひときわ大きなうねりをもたらしていた。ラストのアンコール2曲まで、全力で弾ける若いオーディエンスの姿も印象的で、あらためて彼らが「今のフロア」が渇望するサウンドを鳴らしていることを実証するような光景だった。そしてやはり今回も、終わった瞬間、早くもあの爆音が恋しくなってしまう見事なライブ・パフォーマンスをみせてくれた。
余談だが、“フーガ(アイ・レヴェレイション)”の演奏前に機材トラブルが発生。日本語MCの得意なキイチだが、その際とっさに出てきた「ちょっと待ってね」の見事な活用っぷりと自然なイントネーションに、思わずフロアから笑いが漏れるという場面も。キイチの愛される理由のひとつが垣間見られた瞬間だ。極限までに緊張感を高めた鬼神のようなギター・パフォーマンス、甘く伸びやかな歌声と独特な味わいをもつデス・ボイスなど魅力の多い男だが、堂々とした佇まいとは対照的に、「トーキョー、オマエラサイコー」「ホーリー・シット」を連呼したりと、23歳の青年らしい兄貴っぽい気さくさがまたたまらなかったりもする。2005年の初来日以来、着実に日本ツアーの規模も拡大させてきた彼ら。新世代シーンの旗振り役にのしあがった今、今回の経験は次の一手にどう反映されていくのだろうか。楽しみなかぎり。(森田美喜子)
トリヴィアム @ 新木場STUDIO COAST
2009.05.10
